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career-働き方

交渉役に役者12人 三井物産が挑んだ新卒採用合宿とは
三井物産の古川智章人材開発室長

交渉役に役者12人 三井物産が挑んだ新卒採用合宿とは三井物産の古川智章人材開発室長

 10月に2018年入社の新卒の内定式を開いた三井物産は、17年から年間を通じた採用活動を始めた。これまで新卒採用は6月が大半だったが、夏にも選考を実施。8月には初めて合宿形式での採用を実施した。海外での面接や中途採用など人材確保に向けた戦略について人事総務部の古川智章人材開発室長にたずねた。

 ――合宿形式での面接を始める狙いはなんですか。

大手商社も10月に新卒の内定式を開いた(三井物産)

 「横並びの採用活動に一石を投じたかった。多くの企業が経団連の指針に合わせて6月に選考を始め、数日間で一斉に面接を実施して内定を出している。それよりも時間をかけて、企業と学生がお互いを理解した結果として採用につながるようにしたいと考えた」

 「6月は30分間の面接を3回実施して内定を出しているが、これではコミュニケーション能力の高さは測れるが、忍耐力や人間性そのものはわからない。原則として6月の採用試験を受けた人は合宿採用に参加できないので、学生は自分がどちらがいいのか選んでもらえればいい」

 ――8月に実施した合宿採用はどのようなものでしたか。

 「上旬に2泊3日で2回に分けて実施した。1回につき30人程度で合計60人だったが、数百人の応募があった。内容はグループ討議のほか、仕事観などを含めた個別の面談、実際の仕事であるトレーディングを模した疑似体験、夜はバーベキューなどを通じてどんな人物かを見極めた」

 ――疑似体験とはどのような内容でしたか。

 「5人1組になって、化学品ベンゼンの取引をするという設定にした。取引相手と相場観や今後の見通しといった情報を交換しながら、いくらで仕入れて、いくらで売るというのを実際に電話や対面で交渉してもらった」

 「実際の営業部の経験を基にいくつかのシナリオを準備。会場には12人の役者さんに来てもらい、シナリオや人物像の設定を理解してもらい、交渉相手になってもらった。相手とどうやって信頼関係を構築、維持するか、社内での情報共有をどうするか、最終的にどういう判断をするかなどストーリーを進めながら、実際の営業担当者が観察した」

 ――海外での採用にも力を入れています。

 「4月に英ロンドンやエディンバラで説明会を開き、三井物産のビジネスの体験イベントや面接をした。11月からは米ニューヨークやロサンゼルス、シアトルなど5カ所前後でも同様の説明会や採用活動を実施する予定だ」

 「海外での採用活動は必ずしも外国人のみを対象としているわけではない。現地にいる日本人も参加できる。当社で挑戦と創造を体現できるポテンシャルのある人材採用につなげたい」

 ――今年は6月に引き続き、7月にも採用活動をしました。

三井物産の古川智章人材開発室長

 「採用人数は10人以下だが、7月にも採用活動をした。海外の学校に留学して6月に卒業した学生が帰国後でも間に合うようにしたのが理由の一つ。ただ留学生だけでなく、6月の選考で他社の拘束などがあって参加できなかった学生についても7月に改めて選考した」

 ――中途採用にはどう取り組んでいますか。

 「毎年30人強を採用しているキャリア採用は他企業とは違う価値観で挑んでいる。金属やエネルギー、機械、インフラなど全16の事業本部に加え、法務部やIT推進部などがそれぞれ必要としている人材について公表し、応募を受け付けている」

 「書類選考やインターネットでの試験を受けてもらい、面接を経て採用を決める。7月に弊社の中途採用の門戸が開かれることはかなり知られており、毎年数千人規模で応募がある。今年からはもう一度中途採用をすることを検討している」

 ――インターンについてはどうですか。

 「これまでは夏にインターンを実施していたが、今年は夏に合宿採用を実施したこともあって冬に移行して実施する予定だ。具体的な内容は当社の仕事の醍醐味を強く実感してもらえるよう、さらに充実した内容に向けて作り込みを進めている」

 ――これから就職活動をする学生向けの取り組みも進めています。

 「19年4月に入社する学生向けに10月以降、大学を訪問するなどして実施していく。総合商社とはどういう仕事なのかなどを知ってもらう機会したい」

 「キャリア教育は東京一極になりがちだが、今年は北海道や九州など各地方に積極的に出向いていく。地方では総合商社が就職先として認知されるのが遅く、特に女性は商社が選択肢として入っていないことも多い。親御さんを含めて総合商社を知ってもらう場を設けていく」
(堤正治)[NIKKEI STYLE 2017年10月27日付]

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