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学生が損をするだけの"変な"優越感

ホンネの就活ツッコミ論(41)

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今回のテーマは、「優越感」です。人は誰もが優越感と劣等感を持っています。日本の学生はやや劣等感が強く、自己肯定観が低いことは各調査でも明らかになっています。これは就活の初期段階でも同じ。

劣等感が強すぎると、それこそ就活に踏み切れない、という状態になってしまいます。これは連載35回でもご紹介しました。今回、ご紹介するのはそれより一歩先、変な優越感についてです。就活に踏み切るのはいいのですが、変な優越感を持っていると結果的に学生が損をしてしまいます。では、変な優越感とはどのようなものでしょうか。

「××には勝っている」を社会人はあまり出さない理由

変な優越感とは具体的には「××には勝っている」というものです。これは別に学生だけでなく社会人でも同じ。そうした感情を持つこと自体は自然なことです。他でもない私もその一人。ただ、こうした感情を社会人はあまり表には出しません。優越感、あるいはライバル意識を持つのはいいのですが、それが強すぎるとどうでしょうか。事情を知らない人からすれば困惑するだけになってしまいます。

たとえば、私がこの連載や自著で「××には勝っている」と優越感やライバル意識ばかり書くとどうでしょうか。私の記事や本は読者にとって就活の情報を得るために存在しています。その存在意義を無視して、誰それに勝っているだの、どこそこの記事はダメだ、だの、優越感・ライバル意識を丸出しにしても読者の皆さんは失望してしまうはず。

これは他の社会人も同じです。優越感やライバル意識は持つにしても、自身の存在意義、あるいは仕事の目的を大きく外れてまで丸出しにすることはまずありえません。ところが世間知のない学生は、ときにこの優越感を丸出しにしてしまいます。

「並の関関同立には勝っている」学生の限界

就活と言えば大学名差別を気にする学生がいまだに多数を占めます。一方、売り手市場の中では企業側の方が大学名を気にする余裕がなくなってきています(このあたりの事情は連載5回をどうぞ)。

学生も、極端に気にして大手企業を志望しない、というところまではいかなくなりました。それはいいのですが中堅以下の私大で目立つのが「××には勝っている」です。首都圏だと「並のMARCHには勝っている」、関西圏だと「並の関関同立には勝っている」。付言しますと、MARCHは明治、青山学院、立教、中央、法政という準難関私大グループ。関関同立は関西、関西学院、同志社、立命館という難関私大グループ。どちらも受験用語で学生の間で使われることもあります。

大学受験の偏差値では自分の大学よりもMARCH、関関同立が上。そこで「並のMARCHには勝っている」と考え、かつ、それを公言してしまうのです。確かに早い時期から就活に動く、という点では、何もしていない上位校の学生よりは活発です。そうした意識を持つのも無理からぬところかもしれません。

実際、こうした学生は選考の中盤程度までは勝ち進みます。ところが、企業の使用担当者の声は次のようなものです。

「あんまり『うちの大学はバカなんで』『でも並のMARCHには勝っている』と話し過ぎる学生はそういえば内定まで行きません。優越感でもあり、かつ、劣等感の裏返しでもあります。社会に出たら大学の看板など無関係な仕事が増えるはずなのですが」(商社)

「うちの顧客は大卒とは限りません。様々な方がいます。それを『関関同立には勝っている』と言いすぎる学生は入社したら、ちょっと怖いですね。たとえば高卒のお客さんに『僕は大卒ですから』と自慢してそれで相手を怒らせる、そんなトラブルが想定できてしまうからです」(流通)

否定的に見る企業が大半です。

インターン自慢もほどほどに

前回(40回)の記事では、グループディスカッション中に参加したインターンシップを自慢する学生についてご紹介しました。名付けて「A社ちゃん」。このA社ちゃんも、「××には勝っている」とする学生の変化球でしょう。すなわち、インターンシップに参加していない学生より私の方がすごい、と。

企業からすれば、どの企業のインターンシップに参加しようがしていまいが、気にしません。もちろん、インターンシップに参加すれば、それが1日タイプのものであっても、様々な発見や気づきがあることは事実です。それで成長する学生もいるでしょう。そこに自信を持つのは悪くありません。ただ、その自信が過剰すぎると周囲が困惑してしまうのです。

ところで、このA社ちゃん、前回書いていなかった事情をご紹介しましょう。実はこのA社のインターンシップ、様々な種類があります。申し込みさえすれば誰でも参加できるタイプもありますし、書類選考を経て一部の学生しか参加できないタイプもあります。話を聞く限り、A社ちゃんが参加したのはどちらか......、そこは読者のご想像にお任せするとしましょう。

優越感は劣等感の裏返し

ほかにも「私は4年制大学に編入するほど勉強した。遊びまくっていた短大卒とは違う」と自己PRで話して、短大出身者の採用トップを怒らせた女子学生など、変な優越感を持つ学生の例はいくらでもあります。

こうした学生の共通点は、実は劣等感を強くもったまま、ということです。「並のMARCHに勝っている」だと、優秀な明治なり中央なりの学生には負けている、との自覚があります。インターンシップ自慢も同じ。

学生が自身の分析で負けている、と考えるのはいいでしょう。さらに前向きな学生であれば、その負けている部分を変えるにはどうすればいいかを考えます。たとえば、大学名で負けている、と判断すれば大学を変えることは容易ではありません。

一方、上の部類のMARCHの学生がやっていること、たとえば、日本経済新聞を読むとか、社会人と話す機会を増やす、などと言ったことは大学名に関係なく実行することが可能です。そして前向きな学生であれば、自分を伸ばすにはどうすればいいかを考えて、さらに実行します。こうした学生は企業からも好まれて内定が出やすくなります。

では、負けている、という分析の後に、「××には勝っている」と考えるのはどうでしょうか。この優越感は、他者からすれば単なる自己満足でしかすぎません。それから、何の前向きさもありません。むしろ、後ろ向きな感情と言っていいでしょう。もし、本稿で挙げたような優越感をお持ちの方がいれば、その後ろ向きさにぜひ気づいていただきたいと思います。そのうえで自分に何ができるか、考えてみてください。

石渡嶺司(いしわたり・れいじ)
 1975年札幌市生まれ。東洋大学社会学部卒。2003年から大学ジャーナリストとして活動開始。当初は大学・教育関連の書籍・記事だけだったが、出入りしていた週刊誌編集部から「就活もやれ」と言われて、それが10年以上続くのだから人生わからない。著書に『キレイゴトぬきの就活論』(新潮新書)、『女子学生はなぜ就活で騙されるのか』(朝日新書)など多数。

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