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やりたいことの見つけ方(5)私が自転車日本一周の旅で考えたこと

やりたいことの見つけ方(5) 私が自転車日本一周の旅で考えたこと
authored by 八木彩香

 前回は飲食店の立ち上げの話をメインでお話しいたしました。池袋にオープンしたお店の名前は「旅する酒場 サカタビ」。このお店は名前の通り、「旅」がテーマとなっています。

 さて、今回はなぜ「旅」をテーマにしたバーを開いたのか。それは私が22歳の時に経験した「自転車日本一周の旅」が深く関係しています。そして、この旅が「本当にやりたいことって何だろう?」と、深く考えるきっかけになりました。

自転車の旅 出発の時の写真

入社前研修の前後で日本を一周

 まずは簡単に旅の概要から。私が自転車で日本一周の旅に出発したのは7月。まずは東京から北海道を目指しました。群馬や岩手、青森を通過して、フェリーで北海道の函館へ。そこから北海道をぐるっと一周。ここまでは約2カ月、費やしたお金は13万円程度でした。

 9月初旬に翌年から就職する予定の会社の研修があったので、一度東京に帰り、研修が終わってから再出発。次は南へ向かいます。関西や四国、九州まで渡り、最後は屋久島を一周してフィニッシュ!南への旅も約2カ月、費やしたお金は15万円程度でした。宿泊に関しては、幸いなことに全国各地に友人がいたので泊まらせてもらったり、地域のゲストハウスに泊まったり、旅先で友達になった人の家に泊まったり、マンガ喫茶に泊まったり...。出発当初は不安もありましたが、思った以上に快適で楽しい旅になりました。

 そもそも、なぜ日本一周をしようと思ったのか?実は出発したときはそこまで深い考えはなく、あえて理由を挙げるのであれば、
(1)自分の住んでいる国をじっくり自分の足でまわってみたいと思ったから。
(2)日本一周しておけば初対面の人でも「どこ出身ですか?」という話題で盛り上がれると思ったから。
(3)単純に冒険っぽいことがしたかったから。
くらいでしょうか...。

 そんな曖昧な理由で出発した旅でしたが、私の中では大きな学びがありました。それは経歴や肩書きで評価されない、「等身大の自分の価値」に気が付けたことです。

自転車の旅最終日 屋久島にて

 普通に生きていると、人は皆どこかに属している状態がほとんどで、自分のことを知っているコミュニティが周りに存在しています。中学、高校、大学、そして就職した会社。家族や友人、恋人、恩師、同僚など。

 私は学生時代にスポーツで活躍していたこともあり、周りから一定以上の評価を受けていたと思います。出身大学も一般的には「優秀」と言われるところで、地元の友達からは「○○大学、すごいね!」と言われることも多々ありました。

 しかし、そこに対して何となく違和感を抱いていたのです。この違和感を無理やり明文化すると、ただの結果でしかない事実が私を象徴する「ラベル」として貼り付き、周りの人はそこばかり見ているような状態。例えるならば愛する人に「私の好きなところは?」と聞くと、「そのピアスかな! かわいいよね!」と言われてしまったような心境でしょうか。

 そんな違和感を解消できたのが、この自転車の旅でした。旅先で会った人は、当然私の経歴なんて知りません。それどころか、名前や年齢、出身地も知りません。それでも、ものすごく優しくしてくれました。私との会話を楽しんでくれました。偶然の出会いを心から喜んでくれました。経歴や肩書きで評価せず、「何者かよくわからない八木彩香」を見てくれていたと思います。この経験から私は肩書きや経歴ではなく、自分に自信を持つことができるようになりました。逆にいえば、肩書きや経歴に必要以上にこだわらなくなったんです。

「本当にやりたいこと」と向かい合う

 おそらく人って無意識に肩書きや経歴、そして周りからの評価を気にして生きていると思います。そして何かを選択するときも、その意識が働いていると感じています。「自分の本当にやりたいことが○○でも、××のほうが親は喜ぶよな」とか、「本当は海外に行きたいけど、いい大学出たんだから大手企業に就職しなくちゃ!」とか、「自分の本当にやりたいこと」と「肩書きや経歴を守ること(周りの期待に応えること)」は違う選択になることも少なくありません。私は自転車の旅で肩書きや経歴に必要以上にこだわらなくなったからこそ、自分の「本当にやりたいこと」に対してアプローチできるようになったと思っています。

旅する酒場サカタビ 内装工事中

 私が22歳の時に経験した自転車で日本一周の旅。全く知らない誰かとの出会いの連続によって、心の底から人間が好きになり、自分自身も好きなることができました。そして自分の「本当にやりたいこと」に向かって進む考え方ができるきっかけにもなりました。

 「そんな私の経験を誰かが味わえるような場所を作りたい」という漠然とした想いから、飲食店の立ち上げを決めました。新しい発見や、人生を変えるような出会いがある場所。どこかに旅に出たときのような、あのワクワク感を楽しめるような場所にしたいという想いから、「旅」をテーマにしたバーにしようと決めました。ここから人生という名の旅に欠かせない、人とのつながりを楽しめる人々をたくさん増やしていきたいと思っています。皆さんもぜひ、池袋の「旅する酒場 サカタビ」へ遊びにきてください!

【旅する酒場 サカタビ】
住所:東京都豊島区西池袋3-29-4 ジェスト7ビル 地下1階(階段を降りた左手の一番奥のお店)
営業時間:18:00 - 24:00
電話番号:03-6874-8134

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