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AIスピーカーになぜ注目? 音声認識が一段と高度に

AIスピーカーになぜ注目? 音声認識が一段と高度に

 AIスピーカーが日本でも相次いで発売されているみたい。どんなことができるの? 注目されているわけは? 将来はスマートフォンのように誰もが持つようになるのかな?

 AIスピーカーの可能性について奥平和行編集委員に話を聞いた。

――AIスピーカーが相次いで発売されていますね。

AIスピーカー「エコー」の日本発売を発表するアマゾンジャパンのジャスパー・チャン社長(中央)ら

 2017年11月8日に米アマゾン・ドット・コムが日本で「エコー」を発売すると発表しました。日本で買える主な製品は米グーグルの「グーグルホーム」、LINEの「クローバウェーブ」と合わせて3つになります。この分野ではアマゾンが先行し、2016年に米国で1100万台も販売したとの推計があります。20年には世界で1億7000万台が普及するという予想もあり、日本でも年末商戦の目玉になるとの声が出ています。

 音声AI(人工知能)を利用し、スピーカーに話しかけて様々な操作ができます。まずスピーカーなので、各社の製品は音楽の再生ができます。天気予報やニュースの確認、目覚まし時計やタイマーといった機能も共通しています。簡単なゲームができたりAIが冗談を言ったりする遊び心も似通っています。

 そんな中、グーグルはもともとインターネット検索の会社なので調べ物が得意という特徴があります。一方でアマゾンは買い物、LINEはメッセージの送受信といった具合に、得意分野を生かして違いを出そうとしています。

――なぜ今、注目されているのですか。

 以前との大きな違いは、コンピューターが人の声を正しく認識する技術が高まっていることです。13年には間違って認識する割合が約25%ありましたが、現在は5~6%まで低下したのでは、との見方もあります。グーグルによると、米国ではすでにスマートフォン(スマホ)などモバイル機器を通じた検索サービスの利用のうち20%が音声によるものだそうです。

 コンピューターの操作の仕方を振り返ると、1995年に米マイクロソフトがパソコンの基本ソフト(OS)「ウィンドウズ95」を発売し、家庭でキーボードやマウスを使うのが一般的になりました。2007年には米アップルがスマホ「iPhone」を発売し、手で触れて操作するタッチパネルの利用が普及しました。およそ10年ごとに新たな入力方法が登場してきたことも「次は音声」と注目が高まる理由かもしれません。

 国内での価格はいずれも1万円台前半で、最新の技術を利用した製品としては比較的手ごろです。音声AIは話しかけて与えた情報が増えるほど性能が高くなる特徴があり、各社はなるべく早く普及させて情報をたくさん得ようとしています。価格を抑えて普及を優先し、ネット通販や広告といった事業で稼ごうとする姿勢も透けて見えます。

――音声操作は他の分野にも広がりそうですか?

 スピーカーを「音声AIを搭載した最初の製品」と位置付ける企業が目立ちます。今年1月の米家電見本市「CES」では、アマゾンの音声AIを搭載した700もの製品が登場しました。LINEも<企業 tid="7203" nid="0001353">トヨタ自動車やファミリーマートなどと組み、自動車の中や店舗に音声AIを普及させようとしています。

 キーボードや小さな画面を使わずに様々な機器を操作してサービスを利用できれば、子供や高齢者の利便性が高まりバリアフリーにつながります。双方向の会話機能が進化すれば、将来は認知症予防に活用するといった使い道も出てくるかもしれません。

――個人情報が漏れる恐れはありませんか?

 各社は音声データを暗号化して送信・保管しているといいます。会話を聞かれたくないときに押すボタンや、どういうデータが送られたか利用者が確認できる方法も説明しています。それでも米国では犯罪捜査にAIスピーカーを通じて収集した音声データが使われたという話題が関心を集めるなど、利用者の懸念が完全に払拭できていないのが実情です。繰り返し丁寧に説明し、不安を解消することが普及にあたって必要です。

ちょっとウンチク
外部との連携、普及のカギ
 AIスピーカーが普及するカギを握りそうなのが、各社が「スキル」などと呼ぶ機能の充実だ。自社のサービスだけで利用者を満足させるのは難しく、各社は外部企業との連携を急いでいる。日本で米アマゾン・ドット・コムは外部との連携により、タクシー配車やレシピ検索、家電操作といった250を超える機能をそろえた。米グーグルやLINEも同様の取り組みに力を入れている。
 企業の「仲間づくり」はDVDなどの映像メディアや家庭用ゲーム機、最近ではスマートフォン(スマホ)のアプリでも繰り広げられてきたおなじみの光景だ。成長分野における勝者を目指し、パートナーとなる企業の獲得合戦が熱を帯びることになりそうだ。

(編集委員 奥平和行)[日本経済新聞夕刊 2017年11月20日付、NIKKEI STYLEから転載]

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