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skill up-自己成長

和える(aeru)の夢(3)自分の想いを伝えることからすべてが始まる

和える(aeru)の夢(3) 自分の想いを伝えることからすべてが始まる
authored by 矢島里佳和える代表

 前回は、自分的職業と社会的職業について考えてみるというところまでお話しました。みなさんその後、ご自身との対話は進みましたか。実は、最も身近な自分という人間との対話を、みなさんは意外と忘れがちではないでしょうか。

 自分の目標や、やりたいと思っていること興味関心について、もしくは自分の体調についてなど、まずは自分のことを自分自身が知らないと何も始まりません。とはいえ私自身、「今から自己対話の時間を取ろう!」と、張り切って時間を作るわけではなく、頭の中が暇な時間、対話する相手がいないときに、自然と自分と対話をしています。

日々の対話、隣の人に目を向けよう

京都市文化芸術産業観光表彰を受け、門川大作市長(右奥)と懇談

 今日は何を食べたいのか、どんな気分なのか、今何が気になっているのかなどなど、とても日常的なことから多岐にわたって自分という人間の感じていること、考えていることを知ろうと努力しています。己を知ると、自然と自身の決断に迷いがなくなり、人生の限られた時間がより本質的な時間の積み重ねになると感じます。

 さて、自分との対話は日々積み重ねるとして、次は隣の人に目を向けてみましょう。今あなたの隣りにいる人が何を考えているか、わかりますか?もしくは、身近な家族や友人など大切な人々が、今何に興味を持ち、何をしたいと思っているのか、もしくは何に困っているのか、何をしようとしているのか......。

 どんなに親しかったとしても、聞いてみないとわかりませんよね。自分ではなく他人なのですから。それと同じで、みなさんが今、何を考えているのか相手も知りません。ですから、今日何かしらのご縁で出逢った方々に、自分の考えをお伝えすることからすべてが始まるのです。

 私は今何に興味を持っているのか、どんなことを考えているのか、どんな人を探しているのか、毎日お出逢いした方々にお伝えしています。口に出し続けることで実現するのです。口に出さなければ何も実現しないのです。

 どちらから始めても良いのです。相手に何に興味があるのかを聞くことから始めてもいいですし、自身の興味を話すことから始めても良いです。今日から必ずどちらかを始めると、あなたの世界はすぐに変わり始めると思います。

がむしゃらにではなく、大切な4つのこと

 最後にもう一つ。本気で何かに興味を持つことが出来たのであれば、できる、できないを考える前に、まずはやってみることが大切です。けれども闇雲に、がむしゃらにやり続けてもよくありません。「やってみよう!」というのは直感的に決めて良いと思うのですが、決めた後は何事も、「分析」「仮説」「検証」「実証」の4つをワンセットにしたサイクルが大切だと感じています。

 私の人生を振り返ると、まずは直感で感じつつ、その後その直感を現実にすべく、サイクルを回し続ける努力をし続けてきたように感じています。

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 どんな小さなことも、分析・仮説・検証・実証をする。この過程を経ると、偶然できたということが少なくなります。意図を持った上で挑戦ができるので、結果が成功であれ、失敗であれ、そこで得た学びを必ず次に活かすことができるのです。けれどもがむしゃらに、ただ体当たりをしてしまうと、なぜ成功したのか、失敗したのか、検証することが出来ませんので、次への再現性が低くなりますし、学びの質が低下します。

 慶応義塾大学の学生時代に遡る東京都主催の学生起業家選手権に始まり、3年前のDBJ(日本政策投資銀行)女性起業大賞、昨年のAPEC(アジア太平洋経済協力)女性起業家大賞など、様々なビジネスコンテストで賞を頂きましたが、どれもこの分析・仮説・検証・実証を繰り返してきたことで、得られた結果だと感じます。ですから、私にとってもっとも重要なのは、結果よりも思考の過程ということです。

言語の持つ力、周りを巻き込む

 成功していると見られがちなことも、その裏には成功の数以上に多くの失敗があると思います。けれども、自分自身の意識下に、あまり失敗をしたというイメージがないのです。それは、意図を持ち物事を考え挑戦することで、思考過程を辿り直すことでき、次の成功につなげるための学びに変えられる。だからこそ、失敗したではなく、成功のために必要な学びの過程であったと体感しているのだと思います。

 私たちは皆、生まれながらにして社会を変える力を持っています。そしてその力を発揮するためにはまず、己を知ること。そして、自分の考えを人に発信し続けることが大切です。自身の夢や目標、考えなどを誰かに話すことで、自然と情報が集まってきたり、チャンスが巡ってきたり、新たな考えを得たり、また話しているうちに自分の思考が整理されてひらめいたりします。

 私自身も「伝統を次世代につなぎたい」と考えていること、なぜその考えに至ったのかなどを周りの人に話し続けた結果、周囲の方々の応援を得て「和える」を生み出すことになりました。普段考えていることを言語化し、他者と共有することで、周りがそれに賛同してくださり、夢でしかなかったことが、一歩ずつ着実に現実へと変わっていくのです。

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