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ホンネの就活ツッコミ論(43)マスコミ志望者が知っておきたいキーワード3点

ホンネの就活ツッコミ論(43) マスコミ志望者が知っておきたいキーワード3点
authored by 石渡嶺司大学ジャーナリスト

 今回のテーマは「マスコミ志望者が知っておきたいキーワード」です。マスコミを志望するからには知っておきたい、それでいて意外と知られていないキーワードを3点、挙げてみました。今回ご紹介するのは「やすらぎの郷~高齢化」「電子化」「地道」の3点です。

 まず1点目、「やすらぎの郷~高齢化」から。「やすらぎの郷」は2017年4月~9月にテレビ朝日系列で放送されたドラマです。石坂浩二が主演、浅丘ルリ子、風吹ジュン、加賀まりこなど、昭和のスターが勢ぞろいしたことで話題となりました。

 さて、このドラマ、始まる前は賛否両論。むしろ、昭和臭漂うドラマなんて、と否定論の方が強かったのです。ところが、放送が始まると昼の時間帯にしては大健闘(平均視聴率5.8%)、週刊誌でもエピソードの元が何か特集が組まれるほど話題となりました。テレビ朝日「やすらぎの郷」の成功は、メディアの視聴者が高齢化していることを示しています。テレビ朝日は、「やすらぎの郷」の次に黒柳徹子の半生をまとめた「トットちゃん!」、2018年からは「越路吹雪物語」を放送しています。他のキー局も、このテレビ朝日のシルバー路線には注目しています。

 高齢化はテレビ局に限りません。新聞は各調査から主読者層が50代、60代に移っていることが明らかになっています。出版も同様であり、週刊文春、週刊ポスト、週刊現代などの総合週刊誌で中高年を対象とした健康特集が組まれるのは、高齢化の表れと言えるでしょう。こうした高齢化の中でマスコミを志望するからには、昭和期の芸能人、中高年世代が好む健康食品などが筆記試験で出題されることが予想されます。面接でも、高齢化を軸としたテーマについて聞かれる可能性は高いでしょう。

「電子化」~進めればいい、というわけでもなく

 2点目は「電子化」です。新聞は全国紙・地方紙とも電子化の流れにあります。ネット・スマホがここまで普及した以上、電子化がさらに進むのは当然です。この電子化、マスコミを志望する学生はほぼ全員がさらに進めた方がいい、と答えます。しかし、実はそう簡単な話ではありません。

 欧米と違い、日本の場合、全国紙は全国、地方紙は各地方をそれぞれ網羅しています。網羅する中で新聞各社がビジネスとしていたのが新聞の折り込み広告です。スーパー、ドラッグストアや不動産などのチラシを入れることで利益が出ていました。仮に電子化がさらに進んだ場合、折り込み広告が入らなくなるわけで、その分だけ、新聞社の利益は減ってしまいます。

 それから新聞は各地域に販売所があります。配達を前提に設立されていますが、電子化が進めば不要となってしまいます。各新聞社とも電子化の必要性は認めつつ、販売所の維持を考えれば極端に電子化を進めるわけにもいかない、というジレンマがあります。そのため、マスコミ志望者が電子化について聞かれたとき、特に新聞社であれば、単に進めればいい、というだけでは厳しいでしょう。

 テレビ・出版の場合は、新聞とはやや事情が異なります。テレビの場合、ドラマなどをネットで販売、視聴可能とする、というビジネスはさらに拡大するでしょう。出版も同様です。特にマンガは電子化が顕著で、雑誌媒体の凋落とは裏腹に、漫画サイトは好調です。今後は小説やノンフィクションにもこうした電子化が広がるか、注目されます。

地道~派手さがなくても必要なスキル

 3点目は「地道」です。マスコミと言えば、いつの時代も派手さが注目されます。しかし、その内実は、いつの時代であっても地道な作業があって成り立つものです。新聞記者として入社すれば、多くは地方支社・支局の担当となります。大体はサツ回りという警察担当になります。警察署長のコメントを取るために署長の自宅前で張り込む、事件が起きれば関係者のコメントを得るために住宅街をひらすら聞きこんで回る、ということなど珍しくありません。 これはテレビも同様です。おいしいカレー特集を組むとすれば、カレー屋100軒以上に電話、取材可能かどうか、対応可能な時間は何時か、ひたすら電話で確認していきます。

 こうした地道な作業があって、はじめてクリエイティブだなんだ、という派手な部分も生きてきます。そのため、マスコミにもよりますが、面接では派手な話よりも、地道にしたという話の方が受けた、という例もあるようです。

 以上3点、マスコミ志望者向けのキーワードを挙げてきました。マスコミはテレビ局を中心に、就活時期が早いのが通例です。そのうえで今回挙げたキーワードについて、自分なりにエピソードや考え方をまとめておくといいでしょう。