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お悩み解決!就活探偵団2018ホントに売り手市場? 就活の理想と現実

お悩み解決!就活探偵団2018 ホントに売り手市場? 就活の理想と現実
authored by 就活探偵団'18

 内定率が92.7%と過去最高を記録(ディスコ、10月時点)した2018年卒の就職活動。「超売り手市場」で学生は楽勝かと思いきや、意外な苦戦に戸惑ったケースも多かったようだ。学生や企業、大学を取材してきた就活探偵団の探偵(記者)が座談会を開き、今年の就活を振り返った。

大手志向で全滅の落とし穴

採用面接の受付に並ぶ就活生(6月、東京都内)

キャップ 取材すると1人で内定を3~5個も獲得するのは珍しくなく、中には10個も持っていると豪語する学生もいた。氷河期と言われた10年以上前の自分の就活とは様変わりしていて驚いたよ。

探偵A 大学キャリアセンターの担当者に聞くと、たくさん内定をもらった学生が「どこの会社に決めればいいか教えてほしい」と相談に来るケースが今年は多かったみたい。企業のブランドやイメージだけで選んでしまい、入社後にミスマッチですぐに辞める学生が増えなければいいけど。

探偵B 上位大のキャリアセンター担当者は、「学生の就活が総じて受け身になっている」と嘆いていた。OB訪問をしない、説明会に参加しないなど、就活の行動量が減っている。「就活という列車に乗っていればインターンや説明会などの見どころがたくさん登場し、あっという間に終点(内定)にたどり着いているという感じ」と売り手時代の就活を表現していたのが印象的だった。

探偵C 受け身でもうまくいけばいいけどね。ただ学生が二極化しているという指摘もよく聞いたよ。早くから入念に準備し、早々に内々定をもらった学生がいた一方で、持ち駒をすべて失って、新たな志望企業探しに苦労した学生もいた。前年に就活をした先輩が大手に就職したのを見て自分も大丈夫だと思って、準備を怠ったり、応募企業を絞りすぎたりしたようだ。

キャップ 学生の大手志向はより強まったと思う。「売り手市場だから大手に行け」と親から諭された学生もいた。とはいえ実際には大手に行けるのは一握りだよ。リクルートホールディングスによると、従業員5000人以上の会社の求人倍率は年々低下し、18卒は17卒に比べて0.2ポイント低下した。全体の倍率が上がっているのと対照的だった。

探偵B ある上位大の学生は各業界の最大手企業ばかり受けたが全滅していた。もう少し業界研究をして3番手なども受ければ通ったかもしれないのに、と思う。

「体育会ブランド」は有効なの?

探偵A 体育会ブランドってどれほど有効なんだろう。ある有名大学の体育会幹部は全敗していた。三菱商事や三井物産、住友商事といった人気企業の大手商社を志望していたせいもあると思うけど。4月末のエントリーシート(ES)提出時には、試合が忙しくて、OBにESをチェックしてもらうこともせずに、自己判断で提出。SPI(適性検査)の準備もしていなかったので、努力が足りなかったと反省していた。

キャップ それも売り手市場の弊害だよね。慢心につながった。肩書だけでは通用しない。

探偵C 伊藤忠商事ではエントリーシート提出時に1分間の動画も出すことを要求していた。学生の創意工夫を見ている。売り手市場といっても、企業は学生の能力や人柄をきちんと見極めたいと考えていると思う。

キャップ これは19年卒の就活の話だけど。有名私大の3年生の男子学生が、ある就活人気ランキングの上位企業を受けようとしたら、18年卒の内定者から「OB訪問を1月以降に3人以上しないと、選考に進めない」とくぎを刺されたと面食らっていた。ハードルを上げることで学生の本気度を測っているんだと思う。

探偵B あるリース大手の採用担当者に聞いた話なんだけど。インターンシップのグループワークで、みんなの意見をテキパキとまとめ、発表の仕方もわかりやすいピカイチの学生がいて。採用担当者は「この子にはぜひ来てもらいたい!」と印象に残ったそう。でも選考が始まってから気になって確認すると、その学生はウェブテストで不合格になっていた。企業にとっても、思うようにいかないケースはある。

企業のモラルはどこに?

合同説明会に集まった就活生(3月、東京都内)

キャップ 今年は経団連が定めた面接の「6月解禁」が始まって2年目。でも、先日、人事担当者が集まるイベントで話を聞いたけど、どこもかしこも「6月より前に選考をしていた」とカミングアウトしていた。もうルールを守っている会社を探すほうが難しい。誰も守らない「経団連指針」ってもういらないんじゃないかな。

探偵B ある国公立大のキャリアセンターは、経団連の役員企業ですら6月より前に選考していた、と明かした。「経団連の立場と自社の都合は違いますから」とわざわざ言い訳を伝えてきたそうだよ。

探偵A ある就活人気ランキングの上位企業がこの秋に、19年卒の学生向けイベントを開いていて。そこで配っていた冊子が「完全にアウト」だった。表向きは18年卒の内定者が「自主的に」就活体験談をまとめたハウツー本なんだけど。実際は企業主導の冊子。人事部のメッセージがしっかり書いてあったから。そこで一番驚いたのは、「5月中旬から面接」とする採用スケジュールが書かれてあったこと。経団連指針では3月の広報解禁前に募集要項などは公表してはいけないはず。そもそも面接解禁は6月だし......。

男子学生もイクメン意識

キャップ 今年は「働き方改革」が就活の現場でも注目されていた。電通で女性社員が過労自殺した問題もあった。電通はイメージを落として学生集めに苦労しているかと思ったら、見ている限りそうでもないのかもしれない。合同説明会の電通のブースは長蛇の列だったよ。学生は会社が制度を見直して「ホワイト企業」になるのを期待しているのか、「志願者が減って入りやすくなる」と逆張りで目指すのか......。

探偵C 企業の人事担当者の中には、説明会に参加した学生から、残業や有給休暇の取得状況などについて突っ込まれるのではないかと戦々恐々としていた人もいた。最近は最終面接でもためらいなく「休暇はどれくらい取れますか?」と聞いてくる学生もいるとか。

探偵B ある大手企業では、説明会で男子学生が「男性の育休取得率」について質問したらしい。採用担当者は「女子学生だとこの手の質問はかなり多い。でも、まさか男子学生から出てくるなんて、時代は変わった」と話していた。仕事と育児を両立するイクメンとして、働きやすい企業を探す男子就活生も増えてくるかもしれない。

キャップ 19年卒も間違いなく売り手市場の傾向は強まるだろうね。変わり続ける学生のニーズを企業がどれだけくみ取れるか。優秀な学生に振り向いてもらうためにも、企業も固定観念にとらわれず、頭を柔らかくして臨む必要がありそうだね。

<参加した探偵>

キャップ 就活の時は「意識高い系」。3年生から通った就活塾で仕込まれたキャラ設定が企業人事に刺さらず11連敗を喫するも、自然体で臨んだ日経に滑り込む。

探偵A 大学院受験に失敗し、4年生の2月から就活を始める。担当教員に提出済みの卒論を不可にしてもらうという荒技で留年、5年生で日経の内定を得る。

探偵B 新卒時の就活では内定を一つもとれず、そのまま卒業。アルバイトをしながら再挑戦するもまたも全滅。背水の陣で臨んだ秋採用で日経に拾われる。

探偵C 「学者になるか就職するか」を悩んでいた大学院修士時代。最初に受けた企業が日経だった。内定を得るとあっさり学者の道を捨てて入社を決める。

[日経電子版 2017年12月19日付]

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