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career-働き方

「成果」を生む自己紹介術 まずされる身になってみて

「成果」を生む自己紹介術 まずされる身になってみて

 ビジネスパーソンの仕事で欠かすことのできない自己紹介。「働き方改革」の流れもあり、飲み会など時間をかけてコミュニケーションをとる機会が減るなか、自己紹介の重要性が増している。短時間でしっかり自分を伝えられれば仕事にもつながる。コツを専門家に聞いた。

 自己紹介が必要なビジネスシーンは、大きく分けて社内と社外がある。

 社内では、入社したてだけでなく、異動や転勤で職場が変われば、その都度、求められる。

自己紹介で第一印象をよくすれば、仕事にもつながる。

 「特に若手のビジネスパーソンは、相手が『教えてあげたい』と感じるような表現を心がけることが重要です」。こう語るのはヒューマネックス(東京・港)でビジネスマナー講師を務める美月あきこさんだ。組織の一員として役に立ちたいという仕事への意気込みや、「ご指導をよろしくお願いします」と謙虚な言葉を付け加えることで、その後の人間関係も円滑になりやすいという。

 美月さんによると、社内向け自己紹介は(1)名前(2)部署(3)仕事への意気込み――が基本的な構成。(2)の部署は、特に異動の場合、前の部署がどこだったのかも大切な情報となるので、言い忘れないようにしたい。

しっかり相手の目を見る

 一方、社外向けでは、(1)名前(2)会社名(3)仕事内容――が基本。担当部署名や肩書を詳細に伝えるより、今どんな仕事をしているのか具体的な中身をしっかり説明することが、覚えてもらう上で重要なポイントになる。

 さらに、大人数に向けた場面と1対1の時では、注意点が異なる。

 例えば、部署全体や取引先の大人数の前で自己紹介をするケース。人前に立つことが苦手で緊張する人も少なくないが「最初に『緊張している』と言ってしまった方が、逆に緊張もほぐれてリラックスできます」(美月さん)。笑いをとったり、自分を無理に大きく見せようとしたりする必要はなく、真摯な姿勢で臨めば心配する必要はないとアドバイスする。

 一方、名刺交換や個別紹介など1対1の場面で心がけるのは、アイコンタクト。笑顔できちんと相手の目を見て話すことが欠かせない。

 その上で、名前は名字だけではなく下の名前も含めたフルネームで名乗るようにしたい。下の名前が共通していたり珍しかったりすれば、話題が広がっていくこともある。さらに、印象に残る言葉や自分ならではのエピソードをひと言加えるだけで、覚えてもらえる確率が上がる。

 ただ、これらの前提として、原則勤務時間中であるということを踏まえておきたい。あれもこれもと話しすぎて無用に時間をとってしまうことは避ける。短くコンパクトが基本となる。

自分を伝える目的明確に

 上級編として、社外の異業種交流会などに参加して自分を売り込むケースも考えられる。積極的に仕事につなげていくにはどうすればいいのか。

 「自己紹介は『言葉の名刺』。それなのに、自己紹介の機会を軽く考えていないだろうか」と指摘するのは、自己紹介術などの研修を行うウィルフォワード(東京・目黒)で講師を務める佐藤政樹さんだ。第一印象をどううまく残すかどうかで相手との関わり方が変わる。信頼関係が構築できれば仕事につながると強調する。

 その際、最も大切なポイントが「この自己紹介からどういう結果をつくり出したいのか。そこから逆算して考える」ことだ。仕事の受発注や共同開発など、自己紹介を聞いた相手にどんな行動をとってもらいたいのか目的を明確に意識することが重要という。

 とはいえ、仕事につなげたいと考えるあまり、過去の実績や得意分野を並べ立てる人を見かけたことがあるかもしれない。相手に自慢だと受け取られてしまうと不快感が生まれ、逆効果となる。

 単なる自慢かビジネス上の強みを伝えているのか、受け止められ方の分かれ目となるのが、相手の立場に立っているかどうかだ。相手に役立ちそうな情報を発信しているか、絶えず内容をチェックするなど「徹底的に相手目線になって考えてほしい」(佐藤さん)。

 誰もが最初から完璧にできるものではない。最初は1分間でまとまる自己紹介をつくり、それから10秒や30秒にアレンジしてバリエーションを増やしていくことを佐藤さんは勧める。

 繰り返し練習し、他人の話し方も参考にしながら改善していけば、自己紹介は強力な営業ツールになるといえるだろう。
(ライター 田中輝美)[日本経済新聞夕刊2017年12月11日付、NIKKEI STYLEから転載]

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