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liberal arts-大学生の常識

役に立つ子どもの発想

役に立つ子どもの発想
authored by 野口功一PwCコンサルティング パートナー

 皆がSNS(交流サイト)を当たり前に使うようになってからだいぶ時間がたった。連絡が途絶えていた仲間や同級生とネット上で再会できたり、メールよりもコミュニケーションが円滑になったりした。SNSが人間の持つ「つながりへの欲求」をわかりやすく満たすことができ、急激に普及したのだろう。

 もちろん私も一部のSNSを使ってはいる。ただ、本当に限られた範囲で使っているだけで、使いこなしているとは言い難い。一方子どもから20代くらいまでの若い世代は、様々な機能を使いこなしている。

 昔から若い人のやることはわからないという話はあり、きっと両親たちは私たちのことをそう思っていたのだろう。私もそう思う年代になってしまった。若い世代が楽しんでいるSNSの利用方法など、あまり理解ができないのである。

 こうした話は世代ごとに繰り返される。だが、今までとはちょっと違う部分がある。SNSを提供する会社は時価総額が短期間で急激に大きくなっているケースが多い。平均的な大企業の10倍のスピードと言われることもある。

 私の若いころはどうだったであろうか。成功している企業、有名な企業はほとんど大企業だったような気がする。つまり大人も理解できる企業なのである。

 大人が理解できない会社が急成長し、経済的、社会的にもどんどん影響力を増していく時代なのである。これは大人の感覚や価値観の重要性が低くなっていると言ってもいいのではないか。将来、成功するアイデアや事業は、大人からはあまり出なくなってくるのではないだろうか。

 先日、高校生と社会課題解決についてのワークショップを行った。フィールドワークで課題を見つけ、議論し、解決策のアイデアを皆で共有するといった内容だ。10年前に同じことをしたら、私は「高校生にいい勉強をさせてあげた」と満足していたかもしれない。だが、実際には高校生の発想力に感心させられた。

 先の見えない時代に、私たちが頭をかかえながら考えてもなかなか思いつかないようなアイデアを高校生はいとも簡単に考える。思えば米国から世界を席巻したハードウエアやウェブ検索サービス、SNSのような発想も大学生から出てきたものが多い。時代がもっと進んでいる現在では、高校生が世の中を変えるようなビジネスを考えてもまったく不思議ではない。

 もちろん、人生経験が豊富な大人の方に知恵があるのは間違いないだろう。ただ、その知恵自体の優位性が変化してきているような気がする。

 テクノロジーが進化し社会の構造が変わるスピードが圧倒的に過去と違う。何ものにもとらわれない発想を持つ子どもや若い世代が、大人よりも社会の役に立つ時代が来るのかもしれない。
[日経産業新聞2017年12月20日付、日経電子版から転載]

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