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やる気スイッチを入れよう(34)身近にいる「憂うつだ」と感じる人への対処法

やる気スイッチを入れよう(34) 身近にいる「憂うつだ」と感じる人への対処法
撮影協力:大東文化大学(本文と写真は関係ありません)
authored by 菊入みゆき明星大学特任教授、JTBコミュニケーションデザイン
ワーク・モチベーション研究所長

 あなたは、コミュニケーションを取っていて、「憂うつだ」と感じる相手がいますか。憂うつな相手には、どう対応すればいいのでしょうか。

憂うつな相手とは?

大学生の65%が憂うつな相手がいる

 調査によると、大学生の65%が、「コミュニケーションをとっていて憂うつな相手がいる」ことがわかりました。憂うつな相手は、「先生・教授」(25%)、上司(24%)がトップ2です。あなたは、どうですか? 憂うつな相手はいるでしょうか。

憂うつな理由は「気を使うから」(51%)

 憂うつな理由をたずねると、先生に対しては、「気を使うから」(51%)、「緊張してしまうから」(42%)。自由記述の回答には、「わからないことがあって聞きに行ったところ、気を使って疲れた」「係の仕事をしようとしたとき、機嫌が悪くぞんざいに扱われた」「質問したらバカにされた」「スルーされた」等のコメントが目立ちました。いやな思いをした経験が憂うつさにつながっているようです。

楽しい相手は同級生(76%)、親(55%)

 楽しいコミュニケーションの相手をたずねると、同級生(76%)、親(55%)がトップ2でした。楽しい理由は、同級生とは「共通の趣味・話題があるから」(46%)、「その場・集まりの雰囲気がいいから」(44%)、親とは「気を使わなくていいから」(66%)、「自分のことをわかってくれているから(48%)です。この調査結果を見ると、憂うつな相手とはできるだけコミュニケーションを取りたくないし、楽しい相手とだけ交流したいと思ってしまいます。

楽しいコミュニケーションの危険性

 しかし、楽しいコミュニケーションには、危険も隠されています。自分と共通の要素が多く、わかってくれる相手とだけ付き合っていると、世界は広がりません。自分と違う考え方や視点に触れ合う機会が無いため、視野が広がりにくいのです。

 憂うつな相手は、こちらの思い通りにならず、いやな思いもしますが、だからこそ、自分と違うものの見方や捉え方を知ることになります。「どうすればいいんだ?」と考えることで、成長の機会が生まれます。

あなた自身も「憂うつな相手」かも

 もう1つ、この調査結果が教えているのは、あなたも私も「憂うつなコミュニケーション相手になる可能性がある」ということです。実際に、調査の自由記述には、「友達が一方的に話すので憂うつ」「同級生と、授業の合間に話そうとしても、同じ勉強をしているのに全く話が通じない」等のコメントが見られました。友達や同級生であっても、憂うつになることがあります。そして、自分自身が相手から「憂うつだ」と思われているかもしれないのです。

(本文と写真は関係ありません)

 もう少し掘り下げて考えると、こんな可能性もあります。あなたが「憂うつだ」と感じた相手は、最初にあなたに対して「憂うつだ」と感じたのかもしれません。その結果、あなたに対していやな対応をしたのかもしれません。憂うつが憂うつを呼ぶ、負の連鎖です。

 大学で先生同士話していると、「学生にこんな態度取られて、ショック受けちゃった」などという話を聞きます。先生もあなたに対して、意外に緊張していたり傷ついていたりする可能性もあるのです。

「憂うつの連鎖」を断ち切る

 「憂うつだから、話すのはやめよう」とコミュニケーションを断ってしまうのではなく、一旦、「何か誤解があるかも。もう一度話してみよう」と思ってみましょう。何度か話すうちに、相手の考え方や感じ方を理解できるようになるかもしれません。

 簡単ですが、非常に効果のある方法を紹介します。コミュニケーションの最初に、「笑顔」で「元気よくあいさつ」しましょう。人は、「この人は私に良い感情を持っている」と感じると、その相手に良い感情を持つようになります。笑顔やあいさつは、「あなたに良い感情を持っていますよ!」というメッセージです。逆に、憂うつな気持ちで、暗い顔であいさつをすると、それだけで相手は、「この人は私に悪い感情を持っている」と感じ、あなたに対して悪い感情を持つようになります。まさに憂うつの連鎖です。

 「笑顔」で「元気よくあいさつ」です。憂うつの連鎖が断ち切られ、その後のコミュニケーションが変わります。

 気の合う人との楽しいコミュニケーションを確保しつつ、憂うつな相手とも話しましょう。世界が広がり、成長の実感が湧きます。長期的に見ると、毎日がより面白くなり、やる気スイッチが入ります。

参考:コミュニケーション総合調査<第2報> 「憂うつなコミュニケーション、楽しいコミュニケーション」(株式会社JTBコミュニケーションデザイン)