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卒業後の年収は2倍以上  ISBが注目される6つの理由

インドでMBA(2)

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和泉沢剛です。前回はなぜ私がインドでMBAを目指したかについての背景をご紹介させて頂きましたが、今回は私が通っている、Indian School of Business(ISB、インド商科大学院)というビジネススクールの概要についてご紹介をさせて頂こうと思います。

インドで有名な大学といえば、いまや世界最高の理工系大学との呼び声も高いインド工科大学を思い浮かべる方が多いかと思いますが、これに対してインドの経営系大学の最高峰に当たるのがISBと位置付けられています。インドでは名実共にNo.1の学校であり、人口約13億人のインドの中でも厳しい競争を勝ち抜いた本当に一握りのインド人しか入学することを許可されないため、Indianドリームとして広く認識されています。

ISBは2001年に当時のマッキンゼー社長のRajat Gupta氏による「世界最高のビジネススクールをインドにつくる」という壮大なビジョンの元、欧米の一流ビジネススクールから教授を招き、世界中から知的資本を結集し開校されました。2008年には、創設から史上最短期間の記録で英フィナンシャル・タイムズ紙のグローバルMBAランキングでトップ100入り。トップ100校の中では一番若いビジネススクールでありながら、2010年には世界12位に入るまでの大躍進を遂げています。また、米フォーブス誌に毎年掲載されている "世界で最も人気のビジネススクール 2017"においてはハーバード, スタンフォード, ウォートン, MITに次ぐ世界5位に輝いており、インド国内のみならず近年世界中からも注目されるビジネススクールの一つとなっております。

これまではインド工科大学を卒業し欧米の一流校でMBAを取得、その後欧米で就職というのがインド人キャリアの王道だったのですが、近年ではISBやIIM(Indian Institutes of Management) といったインドのトップビジネススクールでMBAを取得後、インド国内で起業という流れが王道キャリアの主流の一つになりつつあるようです。実際にスタンフォードやINSEAD、ロンドン・ビジネス・スクール等のフルタイムMBAに受かっていたのにISBに来ている友人が私の周りにもけっこういます。もちろん全員がそうではありませんが、1~2人とかの程度ではなく、相当数のそういったインド人学生がISBにいるのは事実であり、ここでは全く珍しいことではありません。

では、なぜISBがこれほどインド人に人気なのでしょうか?実際に私がISB在校生や卒業生、インド人の同僚等に直接聞いた話をもとに下記にてご紹介させて頂きたいと思います。

(1)学生の質が高い

ビジネススクールの授業は学生によるディスカッションが中心となるため、周りの学生のレベルはとても重要です。インドは人口が多いことからも上位校は受験倍率が高く、私のような外国籍の受験希望者や特筆するアピールポイントを持ったインド人でない限りは、学業と職歴の両方で成功を収めていないと書類選考すらパスできないようです。そのためか、周りを見渡しても、インド工科大学の卒業生や有名企業出身者の割合が比較的高いように見受けられます。

また、一般的にMBAの選考に課されるGMATのISBの平均点は710点前後で、これは世界でもTop10~20に入るレベルの平均点となります。ただし、インド人はGMATの高得点者が多く、GMATで良い点を取っただけでは足切りは免れても差別化要素にはほとんどならないようです。(ちなみにこの話を聞いた友人のGMATの点数は760点でした・・・)

まだまだ給与水準の低いインド人にとってはビジネススクールに通うということは人生をかけた一大自己投資の為、彼らの学びへの意欲は尋常ではありません。特にISBは欧米のビジネススクールと比べれば半分程度の学費ですが、一方でインドの他のビジネススクールと比較すると学費が2倍以上します。インドには有象無象のビジネススクールが少なくとも5000校以上はあるといわれており、実際に私も企業で採用活動をしているとMBAホルダーは掃いて捨てるほどいるのが実態です。MBAという単なるブランドがほしくてISBに来ている学生はほとんどおらず、とにかく少しでも多くの知識を貪欲に学び取ってやろうという気概に満ち溢れており、周りの学生たちに遅れをとらないようにとみんな寝る間を惜しんで勉強に取り組んでいます。

また、ISB学生の多くは海外で生まれ育っていたり、海外の大学を卒業、または仕事で数年住んでいた経験があるため、グローバルなバックグラウンドを持った学生が本当に多いのに驚かされます。大半の学生はきれいな発音の英語を流暢に話しますが、中にはもちろんインド訛りの英語を話す学生もいるため最初は聞きとるのに少し苦労しました。それでも彼らは英語に関してはほとんどネイティブなので、発音にさえ慣れてしまえばコミュニケーションには支障はありません。

(2)教授の質が高い

ISBは世界の名だたるビジネススクール (MIT/ケロッグ/ウォートン/ロンドン・ビジネス・スクールl他)とエクスクルーシブに提携しており、実は授業を担当してくれる教授陣の多くが海外の一流校からの客員教授となっています。今のところ、これまで私が受講した授業の教授は約5割がインド系アメリカ人や米国に移住しているインド人の客員教授、約2割が欧米人の客員教授、約3割がISB専属のインド人教授といった構成となっています。ISB専属のインド人教授についても、過去に海外のビジネススクールで教鞭を振るった経験者が大半であり、彼らは母国の発展に貢献しようとインドに出戻りISBの教授を請け負ってくれているようです。

(3)高水準の教育プログラム

ISBは教育プログラムも海外のビジネススクールと提携し、米国のMBAをベースに作られています。そのため、授業ではグローバル企業のケースを扱うことが比較的多いのですが、もちろんインド企業を題材にしたケースもありますし、日本企業のケースも割と頻繁に出てきます。その中でも「この場合インドだったらどうなる?」といったインドビジネスにおける考え方やグローバル企業がインド市場で成功するためのポイント等も併せて学ぶことができます。

また、私が現在ISBで受講しているPGP Proというコースは、基本は週末の朝から晩までキャンパスで授業を受けるのですが、稀に平日の夜間に米国とインドを繋いでのオンライン授業が行われることがあります。大学のオンライン授業については賛否両論あると思いますが、個人的にとても有効だと感じている点が一つあります。それは、インドまでわざわざ出向いてもらわずとも、オンラインであればグローバル企業のCXOクラスにも比較的容易にセッションを引き受けてもらうことができること。これまでも米Appleの元副社長のHeidi Roizen氏をはじめ、授業のディスカッションで使用したハーバードケーススタディの実際の主人公たちがクラス50人程度の小グループを対象にオンラインで授業をしてくれることが何度かありました。キャンパスでは教授と学生同士でケーススタディのディスカッションを行い、後日そのケースの実際の主人公たちに直接話が聞けるというのは学びを深める上でとても有効だと思いますし、この様なVIPの方々と直接お話しできる機会は普段なかなか無いので、これはビジネススクールのネットワークとオンライン授業による組合せのなせる業だと思います。

(4)インド国内外の強力なネットワーク

もちろんオンラインだけではなく、2017年には前インド首相のManmohan Singh氏をはじめ、インド国内外の多くのVIPの方々が直接ISBを訪れて講演をしてくれました。マッキンゼーの社長により創設されたISBですが、インドのVIPはもちろんのこと、ゴールドマン・サックス社長のLloyd C. Blankfein氏、デル創業者のMichael S. Dell氏、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトン社長のBernard Arnault氏、HSBC元社長のAman Mehta氏、ノバルティス社長のDaniel Vasella氏等々、錚々たる面々がISBのボードメンバー(運営委員会)に名を連ねていることからもISBの持つグローバルネットワークの強さを伺うことができます。(日本からはオリックスの宮内義彦氏も!)

また、ISB卒業生の多くがインドの政財界、インド企業やグローバル企業のインド本社の上層部にいることからも、ISB卒業生によるAlumniネットワークの構築は人脈がモノを言うインドでビジネスを行うのであれば非常に強力であり、インド国内での就職または起業を目指す場合は、欧米のMBAよりもISBでMBAを取得した方がインドにおける市場価値が高いと考えるインド人学生も実際に多いようです。

(5)比較的安価な学費

ISBのフルタイムMBAの学費は年間約380万円程度で、米国の一般的なビジネススクールのMBAと比べたら生活費を除いた学費分だけでも半分以下となります。海外のビジネススクールにせっかく合格しても経済的に苦しいため入学を断念するケースも多いようで、そのような学生達にとってもインドにいながら世界の一流校の教授の授業とカリキュラムを半分以下の費用で受けられるといった点もISBの人気の理由の一つです。ISBを卒業するとインド市場での人材価値が急激に跳ね上がり、卒業3年後の平均年収が約1,500万円(入学時点の年収から約160%増)を超えると言われているため、投資対効果が極めて高い点も学生にとっては魅力的の様です。

(6)美しいキャンパスと最先端のインフラ設備

インドと聞くときれいなイメージを持っている人はあまり多くないかと思いますが、ISBキャンパスは外部からは厳重に隔離されており、構内は緑が溢れる美しいキャンパスとなっています。ISBのハイデラバードキャンパスがある地域はインドの中でも最も発展しているエリアの1つで、お隣はマイクロソフトのインド本社(米国本社に次ぎ世界2番目の大きさのオフィス)、周辺にもグーグルやアマゾン、Infosysといったグローバル企業や高級ホテルが立ち並んでいます。また、キャンパス内には日本と比べても遜色ないような最先端の設備が揃っており、例えば図書館では電子書籍での本の貸出等も可能となっています。設備面でもインドで最高の大学であることは間違いなく、勉強に集中できる環境が整っているといった点もインド人学生にとっては人気の様です。

ISBに1点改善の余地があるとすれば、海外からの留学生が極端に少ないことだと思います。学生の99%はインド人であり、いくら海外経験の豊富な学生が多いといえども、多国籍によるダイバーシティといった点では海外の一流ビジネススクール比べると明らかに見劣りします。そこは学校側も理解をしておりグローバルプロモーションを強化しているようですが、まだまだインド国外でのISBの認知度は高いとは言えません。日本でもこの連載を読んで少しでもISBに興味を持って頂き、将来の選択肢の一つとしてISBを考えて頂けるような方がもしいらっしゃったら、私としてもこれほど嬉しいことはありません。ISBの情報については今後の連載でも少しづつご紹介させて頂けたらと思います。

和泉沢剛(いずみさわ ごう) 東京都出身。立命館アジア太平洋大学卒業後、日本の大手総合電機メーカーに就職し、海外事業拠点設立/海外M&A/新規事業立上げ/戦略的事業ブランディング等のプロジェクトに幅広く従事。現在は戦略部門の責任者としてインドに駐在する傍ら、週末はインドのビジネススクールに通いMBA取得を目指す。趣味は海外旅行で、これまで世界30か国以上約100都市を訪問。

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