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チェック! 今週の日経(42)近未来のコンビニ「アマゾン・ゴー」を体験する

チェック! 今週の日経(42) 近未来のコンビニ「アマゾン・ゴー」を体験する
authored by 日経カレッジカフェ 

 日経の研修・解説委員やカレッジカフェ編集スタッフが、この1週間の日経電子版や日本経済新聞から企業ニュースを中心にピックアップし、解説する「チェック!今週の日経」。今回は近い将来、日本にも登場するかもしれない新型コンビニのニュースを紹介します。米アマゾン・ドット・コムが1月22日に米シアトルで開業した無人コンビニエンスストア「アマゾン・ゴー」です。その店舗は驚きの連続のようです。

スマホをかざし入店、カメラで顧客の行動を認識

日本経済新聞では開店を告げる1月23日付朝刊、夕刊の記事に続き、24日付企業2面では、記者が実際に店を訪ねて買い物をしてみた体験記が掲載されました。

アマゾンの無人AIコンビニ、米で開店へ。実店舗と融合、レジも行列も無し

無人コンビニ「アマゾン・ゴー」シアトルで開業

アマゾンの無人コンビニ体験 購入品の把握、実力十分

 「アマゾン・ゴー」は2016年末にシアトルの本社1階にプロトタイプの無人コンビニを開業し、社員相手に実験を続けてきました。1年間の試行後の一般向け開業だけに内外からの注目度は高かったようです。最大の特徴がAI(人工知能)の技術を駆使して、レジを無くしたこと。来店客は買いたい商品を棚から取り出し、そのまま外に出るだけで自動的に支払いも済んでしまいます。

 24日付の記者の体験記に沿って、どういう仕組みなのか、見てみましょう。買い物にはまず、専用アプリをスマートフォンからダウンロードすることが必要です。自分のアマゾンの口座を登録すると、商品の代金はここから引き落とされます。店に入るにはゲートでアプリに表示されるQRコードをかざします。店の天井には130台以上のカメラが備えられ、カメラが捉らえた映像とQRコードによって店内の買い物客を特定し、どの商品を棚から取ってバッグに入れたかを追跡するそうです。ただ、客のプライバシーを考慮し、画像認識では顔ではなく、衣類などの特徴を把握しているとのことです。

レジ待ち時間がないのが最大のメリット

昼どきには最先端のコンビニを体験しようと、周辺で働く多くの人が「アマゾン・ゴー」に訪れた(22日、シアトル)

 でも、本当に正しく決済されているか不安ですよね。記事では記者がちょっとしたフェイントをかけて試しています。カップケーキを買おうとして、まずチョコレート味をいったんバッグに入れて棚に戻し、次に同じ段にあったイチゴ味で同じような動作をしました。そして最後に、レッドベルベット味をつかみ、手元を隠すように店外に持ち出しました。スマホで決済結果をチェックしたところ、正しくレッドベルベット味だけがレシートに記載されていたそうです。無人コンビニも結構やるものですね。

 「アマゾン・ゴー」の利用者にとってのメリットは、レジ待ちの時間を気にしなくてもいいことです。開店初日には入店を待つ客が100人以上いたそうですが、客の回転が速いので、待ち時間は10~15分ほど。来店客からは「忙しい人には最適」「とてもクールだ」という声が上がった、と記事は伝えています。

新たなアマゾン・エフェクトを小売業は警戒

 この無人コンビニは今後、日本を含む世界に広がるのでしょうか。アマゾンは実験開始当初、「全米に1000店展開したい」とぶち上げていましたが、技術的な課題も残っているようで、「いまはシアトルの店舗に集中する」とトーンダウンしているようです。米国ではウォルマートが150万人もの従業員を抱えているように、小売業が大きな雇用の受け皿になっている側面もあり、そう簡単に主流になることはないかも知れません。

試験中の「アマゾン・ゴー」の店内。自動改札機のようなゲートの奥に商品が並んでいる

 ただ、この無人コンビニが極めて高い注目を集めているのは、EC(電子商取引)で世界最大手のアマゾンが手がけているからです。同社は最近、ネットとリアルの融合を打ち出し、昨年は米国内では有機食品スーパーとして有名な「ホールフーズ・マーケット」を買収して話題になりました。アマゾン・エフェクトと呼ばれるように、米国では大手の百貨店やスーパーがアマゾンの成長のあおりで業績不振に陥っています。アマゾンがどこまで本気でこの無人コンビニを推進するか、小売業界は固唾を呑んで見守っているのでしょう。

 さらに、レジを無くしたことでAIが一部の人の仕事を代替するという見方が現実になったという点でも、特筆されるでしょう。アマゾンはまさしく小売業のイノベーターですね。
(研修解説委員 若林宏)