日本経済新聞 関連サイト

OK
career-働き方

曽和利光の就活相談室「インターン落ち」は本選考も黄信号?

曽和利光の就活相談室 「インターン落ち」は本選考も黄信号?
authored by 曽和利光

 就活生の皆さん、こんにちは。人材研究所(東京・港)の曽和利光です。経団連が「ワンデーインターン」を認めたことで、インターンを実施する企業が急激に増えました。就活生にとって会社のことを知るにはいい機会かもしれませんが、実は注意が必要です。就活相談室に集まった、2019年卒予定の3人の大学生の質問に答えながら、一緒に考えていきましょう。

今回の参加者
▽森岡優香さん(立教大学法学部3年)
▽中下智也さん(早稲田大学人間科学部3年)
▽松本卓巳さん(国士舘大学政経学部3年)

森岡さん インターンをとりあえず受けるというやり方に疑問を持っています。というのも、行きたい業界が定まらないんです。ここかと思って受けたら「やっぱり違う」ということがこれまでに何度もありました。このままだと、本当に自分に合う会社を見つけられず、気づいたら「どこの会社の選考も終わっていた」ということになっていそうで不安です。

「面接の練習のためにインターン」はアリ

面接の練習をするためにインターンの選考を受けるのも一つの手だ(模擬面接の様子)

 今の段階で「面接という場が苦手で仕方ない」という状態なら、とりあえず受けといたほうがいいです。練習を全くせずに本番の本選考に臨むのは良くありません。特に「面接スキルの高くない面接官」に出会うというのは練習になりますよ。変な質問をされたときに、どうやって切り返せばいいか、考える訓練になりますからね。逆に面接が上手な面接官ばかりに当たっていたら、聞かれたことに答えるだけになるので練習になりません。学業のこともあるので、20~30社受けろ、とは言いませんが、場慣れする意味でどんどん受けてみるのも手です。

 こう言うと、「受けに行く会社に失礼なんじゃないか」と心配する学生もいますが、僕は全く気にする必要ないと言っています。というのも、今は「売り手市場」と言われているように、学生は就職しやすく、企業は採用しにくい「採用難時代」です。人気企業や大企業は別ですが、学生が来てくれるだけでうれしいと思っている会社は多いです。中堅企業やベンチャー企業なら面接官は「あわよくばウチに入ってくれるかもしれない」と期待して真剣に接してくれますので、いい練習になると思います。もちろん、「ただ練習で来ただけです」というのは失礼ですから、会社のホームページくらいは見ておいてくださいね。

 逆に人気企業を練習で受けるのはおすすめしません。人気企業の採用は、大勢の学生をいかに減らすかに重点が置かれているからです。「うちの会社のこと、研究していないですね」などと本質的でない理由で落としてきますので、そもそも練習にならないのです。

インターン選考落ちにリスクも

中下さん 商社に入りたいのですが、インターンのエントリーシート(ES)で落ちてしまいました。もう本選考でも望みがないということでしょうか。

 表向き、インターンと本選考は関係ないというルールになっていますが、裏ではインターン選考と本選考のデータの連続性を持たせている会社は結構多いです。これにはいろいろなケースがあります。インターンで落ちた場合、本選考ではインターン選考の当落に関係なくESが通常の基準に達していれば面接まで進める会社もあれば、ESすら通らない会社もあります。

人気企業は大勢押し寄せる就活生を「落とす」ことに必死だ

 特に人気企業ほど「同じ人に何回も受けてもらおう」というよりは別の人に機会を与えたいという心情があります。インターンで落ちた人はESすら通さない可能性は高いです。なんせ減らすのが目的ですから。学生からみればひどいことですけど、企業側もボランティアで採用活動しているわけではありません。もうすでに「インターン落ち」というフラグが立っちゃっているかもしれません。準備不足のまま受けて落ちてしまったら、本選考での受験資格をひそかに失う、ということになりかねません。準備がどのくらいできているか、自身で見極めてみることが大切です。

 インターン以外で、皆さんが現時点で疑問に思っている問題についても考えたいと思います。

松本さん 「6月選考解禁」のルールが守られていないと聞きました。いつ内定がとれるのか、ものすごく気になります。

 皆さんの先輩である18年卒の学生の場合、リクルートなどの調査では2月時点で内定をとっている人が一定数いたようです。ただ「早く受けなきゃ」と焦って、会社研究や自己分析などの準備が不十分な状態で受けたら、落ちることも否めません。では採用期間が決まっている場合、早くに受けるのと遅くに受けるのとでは、どちらが有利だと思いますか。

松本さん 先に受ける方がいいと思います。

 その通りです。採用難の時代ですから、企業は「人数を確保しなくてはいけない」と考えています。はじめのうちは、一定の基準を超える人ならとる。つまり、最初のうちは、採用基準が緩いわけです。でもある程度人数が確保できて、基準ぎりぎりの人ばかりになったら、「ちょっと上げよう」と基準が高くなっていきます。そうやって遅くなればなるほどハードルが上がるのです。早いほうが門戸が広いわけですから、皆さんは準備も早めに済ませておくといいでしょう。

「顔採用」はあるの?

中下さん ある損保会社のインターンに参加した際、女性の内定者と話す機会がありました。その方はエントリーした会社の全てで内定をもらったそうです。その方はとても美人でした。就活で「顔」って大事なんですか。

 難しい問題ですね。確かに営業や受付業務など、対人業務がある会社の場合は「対人影響力」が重要視されます。でもそれは、顔の作りとか造形だけではありません。言い方が難しいのですが、男女に限らず、不細工でも愛嬌(あいきょう)がある人がいるじゃないですか。そういう魅力があることはスキルの一つとして扱われるかもしれません。

まともな人事担当者は顔立ちなど表面的なものに惑わされないので安心を

 ハロー効果(後光効果)という言葉を知っていますか。ある際立った特徴に引きずられ、他の部分の評価もゆがめて捉えてしまう現象です。つまり、1個の美点があるとそれに引きずられて全部よく見えてしまうのです。例えば俳優の福山雅治さんだったら、何をしても許されますよね。ちまたでも「ただしイケメンに限る」なんて言いますし。

 しかしです。私は日ごろ企業の人事担当者などの面接官をトレーニングしている立場で言うと、面接官にはこうしたハロー効果に「惑わされないように」と強く言っています。「しゃべる能力が高い」「相手がしゃべりやすいような雰囲気を作れる」ことだって、対人能力の一つですよね。逆に顔の見た目はいいけど、しゃべらせるとからっきしダメというようなこともあります。ハロー効果によってその人の本質がかき消される可能性があるのです。

 まともな人事担当者は美人や美男子というような表面的な対人影響力だけで軽やかに生きてきた人に「だまされないようにしよう」と強く意識していますので安心してください。余談ですが私の経験上、ハロー効果は男性面接官が女子学生を面接する際に起こりやすく、逆に女性面接官が男子学生を面接する際には起こりにくいようです。科学的根拠はありませんが。

曽和利光(そわ・としみつ)
 1971年生まれ。京都大学教育学部卒。リクルート人事部ゼネラルマネージャー、ライフネット生命総務部長などを経て2011年、主に新卒採用を対象にしたコンサルタント事業の人材研究所を設立。著書に「就活『後ろ倒し』の衝撃」(東洋経済新報社)、「『できる人事』と『ダメ人事』の習慣」(明日香出版社)などがある。

(構成 鈴木洋介)[日経電子版2017年12月12日付]

「日経College Cafe」のお勧め記事はこちら>>