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トビタった!私たち(13)フィリピンの孤島で教育を(上) いなかっぺの私が留学した理由

トビタった!私たち(13) フィリピンの孤島で教育を(上) いなかっぺの私が留学した理由
authored by トビタテ!留学JAPAN

地図で見るとミンダナオ島の少し上にポツンとあるのがカミギン島です。大阪市と同じくらいの大きさの面積に8万人ほどが暮らしています

 みなさん、こんにちは! 横浜市立大学4年生で、現在、トビタテ!留学JAPAN7期生として、フィリピンのカミギン島で教育支援を行っています、ジェイミーこと中川千絵美です。「カミギン島」と聞いて、フィリピンのどこの島かパッとわかる人、ほとんどいらっしゃらないのではないでしょうか? 今回は、私がこの「カミギン島」で教育支援をするに至った道のりをお伝えできればと思います。

高知から横浜へ。いなかっぺ、都会におののく

 1996年、私は高知県で生まれました。以来、高校卒業までの18年間、ずっと高知県の中で成長しました。今では地元が大好きな私ですが、当時の私はド田舎で「ないない尽くし」の高知県を出ていきたくてたまりませんでした。「大学は絶対関東の大学に進学しよう!」という野望のもと受験に臨み、その結果横浜の大学に進むことができました。

 大学に進学してからは驚きの連続。とくに、「修学旅行は海外だったよ」「帰国子女です」「高校の時1年間留学していた」「第二外国語として高校のときに○○語を勉強してたよ」など、大学に入る前から海外に慣れ親しんで来た人が多いことにびっくりしました。

高知県のはりまや橋の上で

 私が高知県の高校に通っていたときには、高校生が留学するなんて考えもつきませんでしたし、周りに留学をしているような人もいませんでした。また、当時の私の勉強に対する感覚は「受験のための勉強」だったので、受験科目にないにも関わらず英語以外の勉強をできる学校があるということが驚きでした。

 いろんな世界をすでに知っている友人がうらやましくもありましたし、せっかく大学に進学したのだから、もっといろんな世界を知りたい! とも思うようになりました。

社会の問題がジブンゴトに。いろんなことに気づかせてくれた友人たち

 大学では、いろんなバックグラウンドを持った人と友達になりました。例えば、敬虔なクリスチャンの子、韓国にルーツを持つ子、LGBTの子、身体にハンデがありつつも大学に通う子。どの人もかけがえのない友人です。

 一方で、ニュースを見ると、宗教の違いからお互いを忌み嫌ったりする社会が映し出されています。ヘイトスピーチの報道は、そのスピーチで傷つく友人のことを思うと涙が出そうになりました。LGBTの人が公的・私的なサービスを受けるのも、日本の社会の中ではまだまだ不便なところがたくさんあります。ほかの人と違う部分があっても、もっとその人の個性を生かした活躍ができる職場・学校・地域になるように、一人ひとりが意識できる社会を作りたいなと思うようになりました。

 こうして、大学で多種多様な人々と出会ったことが、社会の問題をジブンゴトとして見るきっかけとなりました。私は、一人ひとりが生きやすい社会にするにはどうすれば良いのだろうかと考えるようになり、それを知るために大学2年生の終わりから東京の国際人権NGOでインターンとして働くことにしました。

親友と行ったTOKYO RAINBOW PRIDE2016。東京には多様な考え方の人がいて、いろんな刺激をくれます

大学1年生の時には、アメリカに1カ月間語学留学に行きました。その後もドイツ・ポーランド・タイなどに行きましたが、いずれも数週間。長期の海外での活動に対してのあこがれはありましたが、大学3年生まで結局実行に移されることはありませんでした

無力感と義務感から生まれた次の挑戦

 国際人権NGOでの半年間のインターンでは、今まで私が知らなかった世界のたくさんの問題を目の当たりにしました。毎日入ってくるニュースは膨大な量で、日本国内にも、国外にも、自分の力だけでは一生かけても解決できない量の課題があることを思い知らされました。そこにあったのは無力感と、一方でこの事実を知ってしまったからこそ、自分が何かしなければいけない、という義務感でした。

トビタテ!留学JAPANの魅力は奨学金だけではなく、そのコミュニティーも大きな魅力です。世界各国で活動するトビタテ生に留学中に刺激をもらえるのはもちろん、日本国内でもこれほどたくさんの面白い人達が集まるコミュニティは他にないと思います。「トビタテ」という繋がりから、世界で活躍する社会人の方ともお話することができ、その魅力は尽きません

 国際人権NGOでのインターンを終えたのは、大学3年生の秋。周りはそろそろと就活ムードに染まっていきます。一生の時間も、お金も限られた私が、たくさんの矛盾や課題を抱えたこの世界をどうしたら少しでも、1ミリでも良くできるのか? 大学卒業後、私は何をしたら良いのか?

 2カ月ほどモヤモヤと悩む日々を過ごし、気が付きました。「頭で考えても答えはでない。実際に行動しないと!」。さらに、行動するなら、まずは実際に現場で課題を知り、周りの人を巻きこんで課題を解決したい。国内も国外もイシューはつきないけれども、時間が許される学生のうちに国外の現場を見に行きたい。

このような「現地で課題を知り、現地を巻き込んだ課題解決を行いたい」という思いと、自身が塾でアルバイトをしていて「教育」に関心があったことから、「現地」×「課題解決」×「教育」という3つからアプローチできるNPO e-Educationのインターンになりました。また、渡航にあたり、資金面でハードルがあったので、給付型の留学奨学金「トビタテ!留学JAPAN」に応募、7期生に採用されました。

カミギン島の高校生たちと高知県の高校生たちのオンライン交流会を開催したときの様子。カミギン島の高校生も、地理的理由から海外から来た人と交流する場はそこまで多くはなく、交流をとても楽しんでくれました

いざ行かんフィリピン!熱意と共に日本を出るものの...?

 インターンにも採用され、資金も万全、さあフィリピンへ! と意気込んだ私が、ついたのは南国の雰囲気漂う島、カミギン島。みんなのんびり日々を暮らし、収入は多くないものの、豊かな自然の中で支え合って生きている人々がそこにはいました。マニラのような、ストリートチルドレンの多くいるフィリピンを想像していた私。「あれ、みんな普通に楽しそうに生きている。別に、何か困っているわけでもなさそう......?あれ、私、何のために来たのだっけ......?」という思いになりました。

現地で一緒に活動する先生たちと一緒に

生徒も先生も一生懸命にやっているのを見ると、微力だけど私にできることを全力でしたい、という思いに駆られます

 そんな第一印象を受けたカミギンでしたが、現地で生活し、現地の人々と話すことで見えてきたカミギンはまた違ったものでした。私が見つけたカミギン島の姿とは? そして、一体どんな活動をしているのか? それは、次の記事でお伝えしたいと思います!

プロフィール
ジェイミー(中川千絵美:なかがわ・ちえみ) 1996年、高知県に生まれる。横浜市立大学国際総合科学部4年、ヨーロッパ史専攻。NPO e-Education フィリピンプロジェクト カントリースタッフ。2017年8月末から「トビタテ!留学JAPAN」7期生としてフィリピンへ。現地教育局と協働しながら、ドロップアウトした中学生の支援を2018年8月まで行う。現地での教育支援の他にも、日本の地方の子供たちにもっと海外を知ってもらいたいと、高知とフィリピンの高校生の間でオンライン交流会も開催している。好きなことは絵を描くこととピアノを弾くこと。特技は開脚と側転で、これをすると現地の人に喜んでもらえる。