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リアル店も活用、ブランド育成 動画の3ミニッツ

リアル店も活用、ブランド育成 動画の3ミニッツ

 グリー傘下のファッション動画サイトの3ミニッツ(東京・渋谷)が自社アパレルブランドの育成で成果を見せ始めた。SNS(交流サイト)で影響力のある「インフルエンサー」を中心に独自のブランドを発足。SNSで一般消費者の感覚も取り入れながら、ネットで販売するほか、実店舗も展開している。ネットとリアルの両面作戦でファン層を広げている。

商品を紹介するインフルエンサーのJUNNAさん

 1月上旬、東京メトロ表参道駅(東京・港)からおよそ徒歩5分にあるスタジオで開かれた展示会。会場は多くのインスタグラマーでにぎわっていた。お目当てはインフルエンサーのJUNNAさんが手掛けるファッションブランド「エトレトウキョウ」の新作だ。来場者はスマートフォン(スマホ)で撮影し、さっそくSNSで共有していた。

 「赤と青どちらが好きですか」――。この日に発表された商品のなかには、JUNNAさんが商品検討会をインスタグラムでライブ配信し、ファンの意見を反映させたものもある。「一緒に育ててきた商品に愛着を持ってくれている消費者も多い」(JUNNAさん)といい、「がんばって」とJUNNAさんにフレンドリーに声をかける来場者も目立った。

 JUNNAさんは16年に同社が開いたインフルエンサーのオーディションでグランプリを受賞したことをきっかけに、同ブランドのディレクターとなった。17年3月にブランドが発足した後、通販サイトで1週間で1000万円を売り上げた。

 同年9月には新宿ルミネ2(東京・新宿)に半年限定の店舗をオープン。18年3月には大阪市と名古屋市に店舗を開く。30歳前後の女性を中心に人気を集めている。

 3ミニッツは同ブランドのほか、若い女性向けの「エイミー・イストワール」というブランドも抱える。こちらはインフルエンサーのMANAMIさんがディレクターとなって展開している。同ブランドは16年7月に発足。17年2月にルミネエスト新宿(東京・新宿)に、同年9月には名古屋パルコ(名古屋市)に実店舗を開いた。ルミネエスト新宿店は開業日に1000万円を売り上げる反響ぶりだったという。

 JUNNAさんは「インスタグラマーは専門家に比べて一般の消費者に近く、ファンの人たちが壁を感じずに交流できる」と話す。「私の役割は一般人の視線とデザイナーらの専門家の目線を融合させること」という。

 3ミニッツの本業のファッション動画サイト「MINE」では、エイミーやエトレのブランドばかり紹介しているわけではない。松田昌賢社長は今のところ「実店舗からのサイトへの送客効果はほとんどない」と認める。それでもリアルに進出して得られたノウハウはMINEに生かされる。

 例えばブランドの企画や商品の製造などのノウハウはネットのみの事業では得られない。松田社長は「リアルを経験することで、より説得力のあるコンテンツを作成できる」と解説する。MINEの利用者の累計は1月に700万人を突破。17年の売上高は前年比で倍増した。

 松田社長は「商品にしても情報にしても良いモノをしっかり届けたい」と話し、今後は規模よりも質の向上を追求する考えだ。そのために「ネットとリアルの両方の考え方が分かるベンチャー企業でありたい」と強調する。リアル世界で展開する独自ブランドがその理念を支えている。
(広井洋一郎)[日経MJ2018年1月24日付、日経電子版から転載]

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