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人事部の視点(4)興味のない企業の説明会に行くべき意外な理由

人事部の視点(4) 興味のない企業の説明会に行くべき意外な理由
authored by 日経カレッジカフェ×人事部

 こんにちは。大型リチウムイオン電池のモノづくりベンチャー、エリーパワー人事部の玉井亜以子です。今回は、就活でよく話題になる「業界研究・企業説明会」についての疑問にお答えしたいと思います。

「希望業界・企業以外の研究や説明会って無駄じゃない?」

 疑問:「業界研究や企業説明会って幅広くした方がいい」ってよく聞くけれど、希望業界・企業が決まっていれば、興味のあるところ以外は無駄じゃない?

 興味の持てない話を聞くことは、誰にとっても苦痛ですよね。時間的にも授業・サークル・アルバイト、就活準備もあって余裕がない。企業説明会に足を運ぶための交通費だってバカにならない。「興味のある業界や企業だけでも手一杯。効率的な就活を行うためにも、無駄なことはやりたくない」というのが本音だと思います。しかし、その気持ちを理解した上で、「興味の持てない業界の研究・企業説明会に行くこと」をオススメします。

 その理由は、意外かもしれませんが、興味の持てない業界・企業の話が、「第一希望の企業への志望動機に、説得性をもたらせてくれる」からなのです。

 誰しも「第一希望の企業から内定をもらう」ことが就活のゴールであり、そのためには、選考を通じて企業に「自分の考えや想い」を理解してもらうという過程が必要になります。どの企業の選考でも必ず質問されるのは、「志望動機」。志望動機で、企業に納得する内容を伝えることが出来たら、ゴールに大きく近づきますよね。

志望動機、他の応募者とかぶってない?ちゃんと伝わってる?

 自身の価値観(価値観の抽出方法は前回ご参照)に基づき、本心から出た嘘のない想い。
「仲間と一緒に成長するのが好き」
「新しいことに面白みを感じる」
「挑戦的な会社で働きたい」

 とはいえ、就活でこれらのフレーズ、よく耳にすると思いませんか?同じことを伝えた時、自分のことをよく知る親や友人には伝わるけれど、あなたのことを全然知らない企業は、他の応募者とかぶってしまうと「マニュアル的」「他の会社でも同じことを言っているのかな?」ととらえてしまう可能性があります。いくら本心から出た言葉であっても、伝わらずに終わってしまうことも......

志望動機が誤解を招く理由-「主観」と「抽象度の高い」言葉

 なぜそんな誤解が起こりえるかと言えば、価値観は、
1、事実から抽出しているため、抽象度が上がり、他の応募者と同じになる可能性が高い
2、「好き」「おもしろい」という主観が支えているため、他人が真偽を判断しにくい
からです。

 前回のコラムで、自己分析だけでは価値観は完成しないとお伝えしたのも、これが理由です。企業が「本心だな」と理解してくれる志望動機にするためには、信頼性の高い価値観である必要があり、今までの経験や決断から抽出された価値観が、就活でも同様なのか確認する、いう過程が必要です。

対比が価値観をブラッシュアップさせる

 「興味のある業界・企業=価値観に一致している可能性が高い業界・企業」ということがいえます。しかし、対象が「好き」「おもしろい」というものばかりだと偏りがあり、価値観の信頼性が上がりません。対象に幅を持たせるために必要なのが、相反する「好きじゃない、おもしろくない=興味の持てない業界・企業」なのです。
「つまらない点は何?」
「違うなと思う点は何?」
「理解できない点は何?」
と自分の中で確認し、価値観をどんどんブラッシュアップさせ、信頼性を上げていく。

 興味がないと思っていたことにも、「おもしろそうだな」「楽しそうだな」と思える点が出てくると思います。
それらが自身の価値観に合致するものであれば、その価値観は、あなたの知らない人も「なるほど」と理解できる信頼性の高いものだと言えるでしょう。

 逆に、「好き」「面白い」だけでは出てこなかった価値観が出てきたら、興味の持てないものだからこそ生まれた発見と言えるのではないでしょうか。

量と質が価値観の信頼性を上げる

 対比で幅を持たせるといっても、対象が1社だけだと「その企業特有では?」となってしまいます。信頼性のためにも、対象には一定数が必要です。できれば、興味のある業界・企業と同数であればベストですが、そこまで手が回らないという場合は、
①業種・企業が幅広く・偏りなく掲載されているサイト・本(日本標準産業分類・業界地図等)で
②興味の持てない業種を3種以上選ぶ
③ナビサイトなどで説明会を実施している企業の情報をざっと読み、説明会を2社以上予約する
で量を確保してみてください。

 余裕がある方は、対象を「(興味のある業界・企業と)関連する業界・企業」にも広げることをお勧めします。希望業界が「住宅業界」であれば、「総合不動産」「建設業」「マンション」「住宅設備」など「類似するが異なるもの」と比較することで、さらに価値観がブラッシュアップされます。

 また、対象とする情報が、インターネットからではなく、企業からの生情報という点も重要です。情報の質の高さが、信頼性を支えていることもお忘れなく。

あなたを理解したのは、企業だけ?

 この手順を踏んで考えられた価値観・志望動機は、表面は他の応募者と同じに見えても、中身は他の人と全く違うあなただけのものです。価値観が「私はこうだ!」といえるものに仕上がった時、一番納得したのは、希望する企業ではなく、誰よりも自分自身であることにも気づくはず。

 ぜひ「対比、質、量」の方法を味方につけて、自分自身も企業もまわりも「なるほど!」という志望動機で就活のゴールテープを切ってください。応援しております!


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