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お悩み解決!就活探偵団2019スーツ着なきゃNG? 就活コーデの境界線

お悩み解決!就活探偵団2019 スーツ着なきゃNG? 就活コーデの境界線
authored by 就活探偵団'19

 2019年卒業予定の学生の就職活動がいよいよ春に向けて本格化する。3月からは大手企業の説明会も始まるが、就活生から必ず出る疑問が服装についてだ。「説明会や面接はどんな格好で行けば良いの?」「リクルートスーツは着なきゃダメ?」――。悩ましい就活コーデ。「ここまでOK」の境界線を調べた。まずは男子学生編。

 「当社は面接時の服装を指定しておりません」。企業のこんな言葉が就活生を悩ませる。真に受けてカジュアルな格好で臨んだら、周りは全員スーツだった――という先輩の体験談もよく聞く。

 では19年卒の就活戦線で適切なスタイルはどんなものか。様々な業種や企業に取材してみた。

 まず作成したのは、男子学生の服装のサンプル。(1)~(8)の計8種だ。

 作成にあたり就職情報会社のディスコ(東京・文京)で学生向けに就活マナーなどを教える、杉原真理子・学生広報課長に協力してもらった。

 番号が進むにつれて、カジュアルで派手なデザインになる。

 (1)は王道のリクルートスーツ。ジャケットとパンツとも同色・同素材。生地は無地で、黒色または紺色の暗めの色だ。

 (2)はスーツは同じだが、中に着るシャツをストライプや色が付いたものに変えた。

 (3)はさらにスーツの生地を明るめの色やストライプにした。

 (4)~(7)はいわゆる「ジャケパン」。ジャケットとパンツを別の色や素材で合わせている。

 そして(8)は、クルーネックセーターにダメージジーンズというカジュアルな普段着とした。

 これを企業・自治体の採用担当者に示し、選考で訪れる就活生のスタイルとして、どこまで許容できるかを質問。30社・自治体から回答を得た。限られたサンプル数ではあるが、それぞれ担当者の率直な声が得られた。

「上下そろい」がカギ

 まず、(1)のリクルートスーツ。いつから定番になったかは定かではないが、1980年8月16日の日経朝刊ではすでに「スーツ商戦 就職用の特設コーナーも」という見出しとともに、「紺色無地のリクルートスーツは秋口の目玉商品としてすっかり定着した」とする記事を掲載している。

 (1)と回答したのは3社・自治体。

 森永製菓は「『場に応じた服装のできる社会性があるかどうか』も見たい」。また、東京都の人事部人事課は「一個人の感覚」と前置きしたうえで「ビジネスシーンにおける基本は上下スーツ」とした。ヤマト運輸も「服装では直接判断しないが、面接では最低限のマナーとしてシャツは白地が最適」とする。

 では、(2)はどうか。今回取材した限りでは、(1)よりも数は多かった。

 ゼンショーホールディングスは「フラットな状態で中身・能力を選考したい」。また、オリンパスは「初対面の人に会う際に、失礼がないスタイルを基準としている」と説明する。ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人グループは「上下そろいのスーツであることがポイント。紺やグレーなどダークカラーのピンストライプ程度であれば、許容範囲」と、細かく教えてくれた。

 同じスーツでも、少しくだけた(3)ではどうか。

 川崎重工業や太平洋セメントといった「重厚長大」の企業が選んだ。やや意外な感じもするが、これは「ストライプスーツがOK」というより、「社会通念上スーツが妥当」というメッセージの方を重視すべきだろう。つまり「ジャケパン」は妥当でないということだ。

 そもそも面接は、就活生の「人物」を見るためにある。服装はあくまでその要素のひとつだが、「学生の考え方を知る端緒となる」(大手メーカー)といい、面接の印象を左右すると考えられる。「明らかに場違いな服装の学生は、当社で働くイメージを抱きにくい」(大手損保A)。

「ジャケパン」健闘

 一方、最近は若いビジネスパーソンの間でジャケパンが浸透している。新卒の面接でも受け入れられるかに注目したが、6割が「OK」と回答した。あくまで取材の範囲内だが、健闘したといえるのではないか。

王道はリクルートスーツだ(2017年6月の採用面接解禁時)

 (4)のカッチリしたジャケパンは、マクドナルドや大塚製薬などが選んだ。「営業職を採用しているので、TPOが考えられる人かどうかを軸にしている」(大塚製薬)。

 ジャケパンに白スニーカーを合わせた(6)を許容したのは、東京ガスだ。公益性が高くて堅いイメージの企業だが、それだけに、イメージの枠にとらわれない柔軟な人材を求めているという採用担当者の思いが反映された回答と言えそうだ。

 さて、今回の調査では最も多かったのが、実はカジュアルな(8)だった。業種にもよるが、この結果を「意外」と受け止める人も多いだろう。

 「私服を着用することで緊張がほぐれ、普段に近い姿で話してもらえる」(テイクアンドギヴ・ニーズ)、「学生が最もリラックスできる服装が良い。実際、多くの学生が普段通りの服装で面接に来る」(ディー・エヌ・エー、DeNA)、「どんな服装だったら合格という基準もない」(サイバーエージェント)

「服装自由」のワナ

 IT企業の場合は内勤のエンジニア職もあるせいか自由な印象が強い。「過去には短パンで来た学生もいた」(ソフトバンク)。

 同じ「自由」といっても、百貨店やアパレルは商材として衣料を扱っているだけに、流行やセンスなどに気を使う必要がありそうだ。

 また、バンダイナムコエンターテインメントのように「ダメージジーンズのように極端に清潔感の欠ける服装は違和感がある」と答えた企業もあった。カジュアルも可としながらも、社会人としての常識的な清潔感は備えるべきだろう。

 一方で、難しいのは高島屋のようなケースだ。「服装に関する選考基準は一切ない」として(8)を選びながら、「ただし、当社クールビズの規定に準ずると(4)までが望ましい」と付け加えた。

 どの企業も同様だが、採用方針にも理想と現実、本音と建前はある。人事の意向をある程度「忖度(そんたく)」する必要もありそうだ。

 ただ、学生同士がナビサイトやソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)で情報を共有する昨今。学生のコーデは年々、無難で似たようなスタイルになっているとの指摘もある。違いを出すなら「受ける企業のコーポレートカラーのネクタイを着用すれば、世間話のネタにもなり有効」(ディスコの杉原さん)という意見もあった。

 伊藤忠商事が社員に対して毎週金曜日に脱スーツを奨励するなど、服装を巡る職場環境も変化している。「服装での判断は(以前より)しなくなってきた」(吉野家ホールディングス)との声もあった。清潔感や社会常識を踏まえつつも、その会社のカラーに応じたスタイルで勝負してみてもいいかもしれない。
[日経電子版2018年1月30日付]

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