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ホンネの就活ツッコミ論(49)説明会で評価を上げる 
デキる就活生のコミュ力とは

ホンネの就活ツッコミ論(49) 説明会で評価を上げる デキる就活生のコミュ力とは
authored by 石渡嶺司大学ジャーナリスト

 今回のテーマは「社会人とのコミュニケーション」です。広報解禁日も近づき、説明会などへの参加も増えていることでしょう。合同企業説明会ブースで企業の説明を聞いた後、もう少し質問したいと考える学生も多いはず。あるいは、OB訪問・社会人訪問の機会があって色々と話す、という学生もいるに違いありません。では、どのように話を進めればいいのでしょうか。

全体質問では複数質問・自己PR交じりはNG

 会社説明会や合同企業説明会などでは会社の説明が終わった後、学生の質問を受け付けることがあります。ここで、コミュニケーションが下手、と思える学生は主に3パターン。まず、配布された会社案内やその日に説明した内容をまた繰り返す学生です。会社説明で「××分野で弊社はリーディングカンパニーであり~」と言っているのに、学生の質問は、「御社は業界でどのような評価を受けているのでしょうか?」。話をちゃんと聞いてなかった、と採用担当者ががっかりすること請け合いです。

合同説明会にてサンセイテクノスのブース。説明を聞いた後の個別質問はタイミングも大事

 2点目は複数質問。あれもこれも、と聞いてみたい気持ちはわかります。質問する学生が全くいないときには複数、聞いてみるのもいいでしょう。ですが、他の学生も質問の挙手をする中、「お伺いしたいのは3点あります~」などと聞くのは配慮がなさすぎます。

 3点目は自己PR交じりです。「私は××へ1年間、留学をしていました。異文化とのコミュニケーションで得るものが多かったのですが、こうした留学経験は御社の選考で考慮されるのでしょうか?」。一応、質問の体裁になっていますが、単なる留学自慢とも取れます。個人面接のときの逆質問でも微妙なところ。まして、他の学生がいる説明会でこうした質問をするのは単に嫌味なだけです。

 では、全体の質問で何を聞けばいいのでしょうか。会社説明会・合同企業説明会ではその企業についてわかっていない学生を対象としています。そのため、わからないこと、素朴な質問はした方がいいでしょう。もし、個人的に聞いてみたいとか、やや込み入った話であれば個別に聞くことをお勧めします。

込み入った話は個別質問で

 込み入った話は個別質問で聞いてみる。これは多くの学生に知られているところ。注意したいのは質問内容よりもタイミングです。特に、一日に複数回の説明を実施する合同企業説明会や会社説明会の場合、採用担当者は大忙しです。次の回の準備をしなければならないこともあります。このタイミングで長々質問するのはいただけません。大企業だと、交代要員を呼んでいて、次の回が始まっても学生の質問に対応できることもあります。一方、一人しかいない企業だとそうもいきません。

 このあたり、うまい学生はうまいですね。すぐ次の回が始まる企業ブースで個別質問をしたいときは、「質問したいのですが、すぐ次の回が始まりますよね。メールで送らせていただいてもいいですか?」と聞いて名刺をもらっていました。あるいは合同企業説明会なら「終わり間際に質問に来てもいいですか?」などと聞いて、質問できるタイミングを見計らう。質問できずにさっさと帰ってしまう学生、その逆に長々質問して採用担当者をうんざりさせてしまう学生とは一味も二味も違いました。

OB訪問・社会人訪問は日時を確認、遅刻欠席は連絡を

 OB訪問や社会人訪問で、社会人と話す学生もいいでしょう。会社説明会などと違い、基本的には個人対個人のやり取りになります。時間の設定などもお互いの予定が合えば融通が利きます。日時を確認したうえで、前日あたりに確認メール(明日はよろしくお願いします云々)を送れば完璧です。

合同説明会では相談コーナーもあるので活用しよう

 OB訪問・社会人訪問の際に気を付けてほしいのは遅刻・欠席です。遅刻が良くないのは当然ですが、交通機関が遅れる、あるいは時間を勘違いした、などということもあるでしょう。遅れそうな場合には、待ってもらう、あるいは、遅れる時間が長いようなら別日程にしてもらうなど、まず連絡すべきです。これは欠席も同じ。

 仮にすぐ連絡できないなら、連絡できるタイミングですぐした方がいいでしょう。私も毎年、相当数の学生の就活相談に乗っています。ところがごくたまに欠席、それも連絡なしのまま、という方がいます。それまでかなりの頻度でメールが来ていたのに、欠席してからは全くなし、というのでは心配してしまいます。

年齢・立場によって聞ける内容は変わる

 OB訪問・社会人訪問の際、相手が何歳か、そして立場がどうか、によって聞ける内容は大きく変わります。入社1~2年目なら直近の就活について知っていますから、その苦労、入社前後のギャップなどはよく聞けるはず。一方、入社3年目から中堅クラスになると、直近の就活をよく知りません。それよりも会社の雰囲気、活躍できる社会人像などを聞いた方がいろいろと聞けるはずです。

 それから、学生によってはエントリーシートの添削を期待するかもしれません。もし、社会人側が「添削するよ」と言えば、見てもらうのもいいでしょう。それか、話をして予定の時間の終わり間際に見てもらうのも一法です。

年上だから全部正しい、ことはない

 このエントリーシート添削も含めてですが、学生は意見の違いに戸惑うことがあります。キャリアセンター職員はAと言い、OB訪問した相手はBと言うなどよくある話。では、どちらが正しいでしょうか。学生にこだわってほしいのは、どちらが正しいか、ではありません。もちろん、情報が古かったとか、勘違いということもあるでしょう。

 それらを含めて、誰が正しいか、答えを求めてほしくはないのです。そもそも、社会人は学生に比べて長い社会経験を有しています。それだけに話せることもあるでしょう。しかし、そのすべてが正しいか、と言えばそんなことはなく。むしろ、学生の方が正しい、ということだってあり得るのです。

ユーシン精機のインターンシップ(終了済み)。インターンシップ・会社説明会の後に個別に聞いてみるのも有効

 それから、社会に出れば、人は様々な判断をしなければならないときがあります。ある企業に入って大きなプロジェクトを展開することになった、としましょうか。本部長はA案、部長はB案、課長はC案、係長はD案を支持。さて、平社員のあなたはどうします?役職がトップだから、とか、仲が良い悪い、で判断するのは論外です。役職トップでも本部長が間違っているかもしれません。普段は折り合いの悪い課長の案が優れているかもしれません。いや、ひょっとしたら、平社員のあなたが中心となって若手チームを結成、E案を提示するのがベストかもしれません。

 どの案がいいか、社会人になれば考えなければならないのです。エントリーシートを含め就活のアドバイスも同じです。誰が正しい、誰が間違っている、というよりも、どの部分のアドバイスを使うのか使わないのか、自分なりに考えてほしいのです。それで、自分に合わない、と思ったアドバイスであっても、ひとまずは聞く、それも社会人とのコミュニケーションなのです。

喫茶店などでは待つ、会計のときは先に出る

 さて、話をOB訪問・社会人訪問に戻しましょう。喫茶店などで話した場合、大半のケースでは社会人側がお茶代を出してくれるはず。それでも、おごってもらって当然、というのはやめましょう。ひとまず、「私(僕)の分はいくらですか?」と聞いてみる。おそらく、おごる場合は「いいよ、いいよ」というはずです。もう一度、聞いて、それでもおごってくれる場合は引き下がりましょう。

 ここで、できる学生は行動が違います。先に店の外に出る、ビル内のテナント店なら通路に出るなど、レジから離れます。一方、できない学生は、普段の友人付き合いの延長で、レジに張り付いたまま。別に学生の見えないところでレジで何かをする、ということはありません。単に領収証を貰うだけです。

 それだけなのですが、もし、年下である学生がおごってもらう場合、レジから離れる、というのもマナーの一つ。まあ、「レジ離れ」ができたからと言って、だから何だ、という話かもしれません。が、そんな些細なことでも気にする社会人はいます。知らないよりは知っておけ、それもコミュニケーションの一つ、ということでおあとがよろしいようで。