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20年後から見る職選び(特別編)3月1日就活開始!採用される戦略 綿密に

20年後から見る職選び(特別編) 3月1日就活開始!採用される戦略 綿密に
authored by 戸崎肇首都大学東京特任教授・経済学者

 3月1日に2019年度の就職活動が解禁されます。競争のスタートに当たり、皆さんに念頭に置いておいていただきたいことを以下に書いて見ます。

 まず、就「職」なのか、就「社」なのか、という問題です。近年はブランドの高い会社に就職する「就社」から、職種によって会社を選択する「就職」へと志向が少しずつ変わってきたとは言われていますが、まだまだ「就社」が主流だと思われます。また、いずれにおいても、その時々の「ブーム」のようなものに大きく左右されるのは昔からさほど変わっていません。

 しかし、1990年に入り、バブル経済が崩壊してからは、大企業と言っても、いつ倒産の危機に見舞われるかわからなくなりました。そこまでいかなくても大規模なリストラが行われたり他の大企業に吸収されたりして、環境が一変してしまうこともまれなことではなくなりました。

視野広げ精神的余裕

 もちろん、それ以前も同じリスクはありました。ただ、近年はグローバル化の進展など、経済環境の変化が激しく、企業はちょっとでも油断すると業績が急激に悪化してしまう可能性が大きくなっています。このことをよく認識した上で、それでも「この企業に自分を賭けたい」というのであれば、採用されるための戦略を必死で探っていかなければなりません。

 その場合、その思いが強すぎれば、視野が狭くなってしまい、精神的な余裕もなくなってしまいます。そのため、面接で失敗する可能性が高くなりますし、失敗した時の精神的ダメージも大きくなり、その後の就職活動にも大きく響いてくるリスクがあります。第一志望の会社に合格するためには、あえて他の業界にも目を向け、社会に対する視野を広げるとともに、どのようにして精神的余裕をもつかを考えるべきです。

 それに、様々な業種、会社の人に直接あって話を聞くことができるチャンスは、人生において最初で最後といってもいいくらいです。この貴重な人生経験を十分に活かさないのはもったいないこと。積極的に色んな機会を利用して、できるだけ多くの出会いをしましょう。

 一方、「就職」を志向する場合には、20年後、30年後を見据え、どういった産業・職種が発展しそうか、そこではどういった資質が求められるか、しっかりと考えていきましょう。その点、私が連載しているこの「20年後から見る職選び」の連載は参考になると思いますので、過去の掲載記事を含め是非読み続けていただきたいと思います。

英語、自分の考え伝えアピール

 その際には、その産業で生き抜いていくのに必要な資格も積極的に取得する姿勢を持つべきです。英語については、難関といわれる企業の採用を勝ち取るためには1つの重要な要素となっています。ただ、本当に使える英語なのかどうかも問われる場面が増えてくるでしょう。その場合、単なる自己紹介やマニュアル的な英語会話ではなく、自分の考えることを、たどたどしくてもいいので自分の言葉で伝えることができるようにしておきましょう。その他、簿記など、客観的に経営活動を分析するツールになるものは、将来的にもかならず評価されるはずです。就職活動と並行して、是非その取得に励んでほしいと思います。

 多くのエントリーシートを書くのは相当な負担となるでしょう。それなのに、最近はそれをAIで振り分けるという企業も出てきました。私はそのようなやり方をする企業は評価しません。貴重な人材を発掘しようという際に人手を惜しむのは企業のスタンスとして間違っていると考えますし、日本経済新聞でも紹介されているように、AIの判断基準にはまだまだその合理性に関しては疑問があります。そのような会社で落とされても絶対に気にする必要はありません。そこが第一志望であったとしても、この文章を思い出してすっきりとあきらめましょう。

 面接試験に進んだ場合には、十分な準備が必要です。これはマニュアル的なものではありません。その会社、あるいは業界で、現時点で自分が何をしたいと思うかをしっかりとアピールできるようにしなければなりません。

入社後の姿イメージを

 たとえば、先日東洋経済オンラインで2019年度就職先のトップになったANAに入社したいと考えてみましょう。私も航空業界出身ですので、かなりの程度予想できるのですが、たいていの受験者は「飛行機が好きだ」とか「ANA」が好きだからとかいうのでしょう。しかし、前者に関しては趣味と仕事は全く別のものです。後者についても「ファン」であることと「社員」であることは違います。航空会社の社員として将来的にどのような仕事をしたいのかが問われているのです。

 その際、業界研究も必要ですが、いくら業界知識を身に着けても、現職の面接官にかなうわけがありません。そのような付焼刃的な知識はむしろマイナスになることもあります。もちろん、まったく筋違いのことを言ってしまうのは問題外ですが。

 ここでこそ、航空業界が今後、国際化や技術進歩によってどうなっていくのか、新聞情報などをもとにしながらも、自分の頭で考えてみましょう。実際入社してからそのような展望が抱けなければ、運よく入社してからも苦労することになります。

 こうしたことはもちろん、他の業界でも同じです。たとえば「商社」というイメージはいいけれども、そもそも商社とはどのようなものなのか、自分で説明できるようにはなっておかなければなりませんし、ある程度未来のイメージも持っていなければなりません。

 そのためには自分だけでなく、友達や、できれば大学の先生やご両親などと議論をしておきましょう。新たな視点を気づかせてくれる人を積極的に求めて行動しましょう。

 そして、最後は体力です。長丁場で、かつ夏場を乗り切るためには体調管理も重要。生気のない学生を企業は採用しないでしょう。体力勝負ではありませんが、体力も重要な要素としとらえるべきです。もちろん、身だしなみ、言葉遣いは重要ですよ。男性諸君、間違っても面接で「俺」なんて言わないように!

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