チェック! 今週の日経(46)出勤は午前8時でも10時でもOKの会社って?

日経の研修・解説委員やカレッジカフェ編集スタッフが、この1週間の日経電子版や日本経済新聞から企業ニュースを中心にピックアップし、解説する「チェック!今週の日経」。明日、3月1日は19就活生向けの企業広報が解禁になる日。いよいよ就活シーズンが本格的に始まります。そこで今回は、就活生の皆さんが気になる企業の働き方改革の話です。勤務の形を見直そうという動きが大手企業を中心に広がりつつありますが、中には社員の都合に合わせ勤務時間を柔軟に決めてもらおうという会社も出てきました。
セブン&アイが3通りの始業時刻を選べる新制度導入

2月22日付の日本経済新聞の1面トップの記事を取り上げます。
この記事は同日の朝刊では日経にしか載っていない「スクープ」ですが、日経電子版では前日の夕方6時に、「イブニングスクープ」という名称で先駆けて配信しています。
記事によれば、「セブンイレブン」やスーパーの「イトーヨーカ堂」などを展開するセブン&アイ・ホールディングスが、社員全体の3割に当たる1万人を対象に時差出勤を可能にする新勤務制度を始めます。具体的には始業時刻を午前8時、9時、10時の3つから選ぶことができるという内容です。事前に1週間分の出勤時刻を上司に申告する必要がありますが、これにより例えば子育て中の共働き家庭の場合、週に3回10時出勤を選べば、空いた時間に子どもを保育園に送ることが可能になります。
昨年夏に試験導入したところ、定時ではない午前8時と午前10時出勤を選んだ社員の時間外労働が2~3割減ったそうです。会社に早く出た人と遅く出た人が仕事を融通したりすることで職場全体の残業減につながったほか、上司より先に退勤しにくいというビジネスパーソンならではの悩みも、若干解消されたようです。
こうした1日の労働時間を変えずに出勤時刻だけを自分で変える時差出勤の試みには、「痛勤」と呼ばれるような朝の電車の混雑緩和という期待もあります。通勤・通学のピーク時間を避けて出勤すれば、通勤に伴う疲労やストレスも軽減されるでしょう。他社でも三井物産が2017年から定時より最大90分ずらして出勤できる時差通勤を導入しています。
サテライトオフィス利用やテレワークで多様な働き方

社員の負担を軽減するためにこれまでの働き方を見直そうという動きは、産業界に次第に広がってきました。例えば、自宅に近い郊外にサテライトオフィスを設けて、勤務先に出勤しなくても必要な業務がこなせるようにする例もあります。日立製作所は2016年秋以降、グループ社員が利用可能な「サテライトオフィス」を、東京都と神奈川県の8拠点で計300席設置してきました。営業などで外回りが多い社員なら、わざわざ都心のオフィスに戻らなくても仕事ができるのだから助かりますよね。
自宅での勤務も含め、通常のオフィス以外で働く形をテレワークと呼びます。富士通は2017年度から3万5000人の全社員を対象にテレワークを可能にする勤務制度を導入しました。昨年、7月24日に政府が呼びかけた「テレワークデー」には首都圏で927社・団体、約6万人が参加し、自宅などでこの日1日働きました。この日は2020年の東京五輪開会式に当たり、交通混雑緩和のための実験という意味合いもあったのですが、「PCと通信環境さえ整えば、普段のオフィスでなくても結構仕事になる」と感じたビジネスパーソンも多かったようです。
政府の働き方改革に呼応したこうした企業の取組みは、多様な働き方を認め、労働生産性を向上させるという目的があります。子育てや介護と、仕事を両立させることにも繋がるでしょう。大学生の皆さんが企業を選ぶ際には、新しい働き方にどれくらい理解があるかという点もチェック項目に入れるべきかもしれません。
(研修解説委員 若林宏)
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