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マスク、高価格品にシフト 各社「日常使い」狙う

マスク、高価格品にシフト 各社「日常使い」狙う

 インフルエンザが猛威を振るい、駅ではマスク姿のサラリーマンが増えてきた。3月からは飛散量が昨年の1.5~2倍ともいわれる花粉の季節が到来し、多くの人はマスクが手放せなくなる。低価格の輸入品の影響で単価は下落傾向にあるが、マスクメーカーは消費者の嗜好に合わせて付加価値の高い高額品を相次ぎ投入している。

マスクの季節がやってきた

 総務省が集計する消費者物価指数によると、マスクは2017年に前年比で1.4%の下落。17年9月からは毎月、前年同月比で2~3%程度の下げが続いている。

輸入量、6年で9倍

 「安価な海外品に全体の価格が引っ張られている」と指摘するのは家庭用マスク最大手ユニ・チャームのグローバルマーケティング本部・田口貴寛氏。小売店では「50枚200円!」など格安なマスクも目立つ。日本衛生材料工業連合会(東京・港)によると、2016年度のマスク輸入量は10年の9倍近くに拡大している。

 メーカー各社は高付加価値製品に力を入れ、輸入品との「すみ分け」を図っている。ユニ・チャームは1月、「1年中使える」をコンセプトにしたマスク「超快適マスク 息ムレクリアタイプ(超快適マスク)」の販売を始めた。1枚あたり80円と通常の製品よりも4割高い。最大の特徴は夏場での使用を意識し、素材にガーゼを使用している点だ。

 通常、マスクは糸を織らない「不織布」と呼ばれる合成繊維を3枚重ねて作る。繊維の隙間が小さくPM2.5(微小粒子状物質)など細かな粒子を防ぐ一方、消費者からは「息がしにくい」「蒸れる」といった不満の声も多い。

 「超快適マスク」は外側に不織布を1枚、口に接する部分にガーゼを1枚重ねている。不織布はきめ細かさを保つのに太さが従来製品の2分の1の繊維を採用。口に接する布にはガーゼを使用し、暑い夏でも快適に使用できるようにしている。

 日本バイリーンが17年9月に販売を始めた「フルシャットマスク ふわっと プリーツタイプ(ふわっと)」は「めがねが曇らない」を売りにしている。単価は1枚あたり80円と既製品より4割高だ。

オフシーズンの販売伸びる

 日本バイリーンの向光晴・生活資材営業部部長は「マスクが微粒子を防ぐためには『不織布のきめ細かさ』と『帯電性の高さ』が必要」と話す。帯電性は不織布が持つ静電気を指し、微粒子を絡め取ることで、のどをほこりなどから守る。

 「ふわっと」は不織布3枚からなるマスクだが、2層目に耐電性を帯びやすく、目が粗い特殊な布を採用している。通常の布は表面のみが帯電するが「ふわっと」は布の中身まで帯電しており、呼吸が抜けやすい。マスクをした状態で息をしても息は上には抜けず外に向かうため、めがねが曇らないというわけだ。空気の通りやすさは既製品の6倍という。

 各社が風邪や花粉対策以外で「日常使い」を意識した商品を投入するのは、輸入品との価格競争を避けるためだけではなさそうだ。

 日本バイリーンの向氏は「消費者がマスクに求めるものが変化している」と指摘する。「昔は風邪予防や花粉対策が主流だった。現在は女性なら『小顔に見せたい』など、従来とは異なる使われ方が出てきた」という。

 ユニ・チャームの田口氏も「マスクが特別な日に使うものではなく、日常的に使うものになってきた」と話す。同社のマスク販売は従来、インフルエンザや花粉の被害が本格化する11月~4月に集中していたが、5~8月のオフシーズンの販売数が毎年2割以上伸びる。田口氏は「シーズン以外でも使える商品をいかに出していけるかが勝負どころになってきた」と強調する。
(商品部 飯島圭太郎)[日経電子版2018年2月8日付]

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