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訪日客の店予約アプリに新勢力 チャット×人で成長

訪日客の店予約アプリに新勢力 チャット×人で成長

 インバウンド(訪日外国人)向けにチャット(会話)形式で「コンシェルジュ」をするサービスが広がっている。FAST JAPAN(ファスト・ジャパン、東京・渋谷)の「Tabiko」はアプリで会話をしながらホテルやフライト予約も可能。ダウンロードは1年弱で6.5万を超えた。多国籍な人材とデジタルを融和しながら顧客を増やしている。

Tabikoのスマホ画面(写真上)。多国籍人材が集まるファスト・ジャパンのオフィス(同下、手前右が片野社長)

 「こんにちは、旅行者さん!Tabikoは日本を旅するためのパーソナルアシスタントです」「あなたの好みに沿った完璧なホテルを見つけたり、レストラン予約ができます」。スマートフォン(スマホ)でTabikoのアプリを入れるとこんな会話から始まる。

 片野由勇岐社長(25)は「観光、宿泊、レストラン、交通のあらゆるリクエストに応える」アプリを志向し、2017年3月にサービスを始めた。レストラン予約から始まり、17年12月にホテル予約、18年2月からフライト予約も始める。

 インバウンドが増えたとはいえ、まだ外国語に慣れていない店も多い。まずはこうした店が提供対象になるが、Tabikoには「積極的にインバウンドを呼び込みたい店も協力してくれている」(片野社長)。

 レストラン予約の場合、問い合わせがあったうち2割強は実際に予約が成立した。訪日客はソーシャルメディアで感想なども書き込むことが多く、口コミで顧客獲得につながる第一歩という位置づけだ。1月から予約1件当たり利用者から基本1千円の手数料を取る有料化に踏み切ったが、それほど利用は落ち込んでいないという。

 本命はホテルとフライト。この2つの分野は事業者側から送客手数料を得るモデルだ。ホテルは現在2000軒に対応するが、大手との交渉を視野に入れている。フライトは観光業界向けIT(情報技術)の世界大手、アマデウスITグループ(スペイン)と組み、割安なチケットを検索しやすい仕組みを導入する。

 現在は英語と中国語(繁体字)に対応する。利用者の国・地域をみると、台湾、香港、米国、オーストラリア、シンガポールの順という。

 実際にチャットで打ち込むと数秒で反応がくる。自動でロボットが会話する「チャットボット」かと思うが、実は「95%は人が対応し、ボットは定型化したやりとりの一部だけ」(片野社長)。

 他社ではチャットボットによるサービスも始まっているが、片野社長は「人がボットとコミュニケーションをとるまでには行っていない」とみている。サービスも現状は午前9時から午後9時と限られている。ではどんな陣容で月間数十万のチャットをこなしているのだろうか。

 東京・千駄ケ谷にあるビル一室のオフィスでは、フルタイムで6人、インターンで10人が働き、チャット担当は毎日5人。日本人だけでなく、インド人のクリシュナ・プラハシス最高技術責任者(CTO)や台湾人のチャット責任者も同居。このほかフィリピン人、オーストラリア人も働く多国籍人材が集う。

 プラハシスCTOは片野社長を「私が信じていたのと似たアイデアで働いている」と感じ、同社に加わった。外国人スタッフの活躍の場が多く、訪日客と同じ目線で仕事ができるとあり彼らの満足度も高い。

 今後は、これから本格的に普及する民泊との連携も有望だ。「米エアービーアンドビーと提携したい」(片野社長)。大学2年生のときにサンフランシスコに留学し、世界を視野に入れたネット企業を志したという片野社長。年内にはアジアでも拡大する予定で、24時間対応も始まる。次の飛躍へ挑戦は続く。
(加藤貴行)[日経MJ2018年1月31日付、日経電子版から転載]

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