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持ち歩いて世界の50言語以上を通訳
ソースネクスト「ポケトーク」(新製品・解剖)

持ち歩いて世界の50言語以上を通訳ソースネクスト「ポケトーク」(新製品・解剖)

 本体に話しかけると翻訳してくれる手のひらサイズの音声通訳器。タップして話しかけると音声をテキストとして認識し、Wi―Fiなどでクラウド経由して適当な翻訳エンジンを使って翻訳。その文章を音声で伝える仕組み。翻訳文も画面に表示する(一部言語は画面表示のみ)。世界50種類以上の言語に対応する。

ソースネクストの翻訳器「POCKETALK(ポケトーク)」

 特別な設定は不要で、電源を入れて表面をタップしたりクリックしたりして、翻訳言語の選択や音量調整を操作する。ダイナミックスピーカーを内蔵して翻訳した言葉を聞き取りやすい。長文にも対応。翻訳精度は大手翻訳会社による第三者評価で5点満点中4.24点と高い。

 Wi―Fiモデルと62カ国で使えるグローバルSIMモデルがある。SIMモデルは2年間の通信料を含む(3年目以降は追加料金)。本体色は白と黒がある。

 家電量販店やソースネクストの通販サイトで発売したほか、交通、旅行、教育などの事業者向けにレンタル(月3000円)も始めた。オランダのトラビス社(ロッテルダム)と共同開発した。日本と米国、カナダ、韓国ではソースネクストが独占販売する。

【評価委員の目】

■長い会話も正確に翻訳できる

 ドラえもんの「ほんやくコンニャク」を実現したような画期的製品。単体での処理でなくクラウド上の翻訳エンジンを使って長い会話でも正確に翻訳できるのはすごい。蓄積したデータで精度を上げていくことも期待できる。対応語種も多く2020年の東京五輪・パラリンピックに向けて飲食店や小売店で重宝する。このような翻訳機は語学学習を否定はしない。学習のきっかけや学習補助として活用されるべきもので、教育面での普及も考えられる。〈大学教授・商品経済学〉

■手軽で簡単 

 手軽さが最大の特徴。スマートフォン(スマホ)でも翻訳はできるが街で気軽には使いづらい。大きさも価格も手ごろだ。翻訳精度もネットを使っているので専用の大きな端末と遜色ないし、翻訳時間の遅れもあまり気にならない。しかも50以上の言語に対応する。画面もついているので話した内容を確認もできるのもよい。なかなか自分から外国語をしゃべらない日本人が海外旅行に持っていく必須の製品になるのではないか。〈IT製品専門家〉

■観光だけでなく学習でも出番

 間違いなく売れる。使い方が簡単、50言語以上に対応、手のひらサイズと翻訳機としてヒットする条件をすべてクリアしている。本機によって日本人の言語アレルギーが解消されよう。急増する海外からの観光客への対応にも力を発揮するのは間違いない。観光関連業の人には必携商品になる可能性も高い。学生から社会人、高齢者までユーザー層は幅広い。ケース、ストラップなど関連ビジネスもすぐ立ち上がりそうだ。〈家電量販店関係者〉

■ポケットに入れて「日常使い」も

 自動翻訳機に対する期待が高まるなかで、現段階で手軽に利用できる「現実的な答え」といえるのが本機。中学生レベルの英会話や観光での会話であればかなり信頼できる水準にあり、音声認識の精度も十分実用に耐えうる。お薦めは専用グローバルSIM対応モデルだ。Wi―Fiモデルに5000円上乗せするだけで2年間、Wi―Fiを使える場所を探したりスマホでテザリングしたりなど、面倒がないメリットは何物にも代えがたい。海外旅行の「お守り」として心強い味方になることは間違いないし、日本にいても外国人から道順や場所を尋ねられる機会が増えたことを考えれば日常的にポケットに忍ばせておいてもいいかもしれない。〈デジタル機器専門家〉

【リサーチャーの視点】法人向けレンタルも好調

 年賀状ソフト「筆まめ」「筆王」「宛名職人」や語学ソフト「ロゼッタストーン」などで知られるソフト会社のソースネクストが、オランダのスタートアップ企業であるトラビス社と共同開発したハード製品が本機。発売後の手応えは大きく、量販店の店頭に注目商品として並ぶほか、事業者向けに始めたレンタルサービスではすでに資生堂ジャパン(東京・中央)が百貨店やドラッグストアなどでの化粧品対面販売用に導入するなど滑り出しは好調。全国各地でタクシーや観光バス事業を手掛ける第一交通産業は那覇市内の定期観光バスの受付窓口に配備して6月3日まで実証実験を行っている。

 実際に使ってみると、小声で話しかけた音声も拾い、長めの話でも精度は高い。「えーっと」「うーん」といった間投詞が交じってもそれを無視して訳してくれる。改善点を挙げるならば画面の小ささだ。音声翻訳に対応していない言語は画面表示が頼りとなるが、直径25ミリメートルほどの円形画面を相手に見せて確認してもらうのは難しい。操作方法もタップ、ダブルタップ、クリックが交じるので慣れるまで多少の時間が必要だ。画面はタッチ非対応だがスマホを使い慣れた人はつい触れてしまうかもしれない。こうした点はあるにせよ世界の主要言語に対応するうえに、価格も海外旅行に携帯する個人ニーズを取り込める水準だ。

 ソースネクストは20年までに50万台の販売目標を掲げる。十分に達成可能な数字といえよう。(シニアリサーチャー 紙谷樹)

【製品の仕様】
■発売日 2017年12月14日
■価 格 2万6784円(本体)、3万2184円(専用グローバルSIM付き)
■本 体 縦110×横60×厚さ16ミリメートル。重さ90グラム
■動作時間 待機時約5日間、連続翻訳時約6時間

【ベンチマーク製品】

 なし。50種類以上の言語に双方向で対応する携帯通訳器は独自性が高く、絶対評価とした。

 「新製品・解剖」は注目の新製品を選び、同業他社や、卸・小売店の担当者ら流通関係者、大学教授や評論家などの専門家に1品目について3~5人に評価を依頼しています。コンセプト、新規性、技術革新度、生活提案性、性能・品質、デザイン、環境・健康への配慮度、価格メリット、使い勝手、広告宣伝力、販売チャネルの多寡、ブランド力の12項目をベンチマーク製品(競合製品)と比較して採点しています。独自性の高い商品は絶対評価しています。新製品・解剖に取り上げた商品以外についても日経産業新聞・新製品面「解剖NEW FACE」で概略を紹介しています。

[日経電子版2018年2月2日付]

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