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ウナギ、一段と高根の花に? 稚魚不漁で相場高騰

ウナギ、一段と高根の花に? 稚魚不漁で相場高騰

 ウナギが今年は値上がりしそうだ。稚魚の「シラスウナギ」が日本だけでなく、中国や台湾など主要な産地で極端な不漁に陥っている。稚魚の取引価格は1キロあたり約400万円と前例のない水準まで上昇。もともと高級なウナギだが、今夏の「土用の丑(うし)の日」は、さらに高根の花になるかもしれない。

ウナギは一段と高くなりそう(都内の専門店)

 「どう生き残っていけばいいか分からない」。1月23日、ウナギの業界関係者が集まり恒例の「新年情報交換会」が開かれた。3年ぶりの豊漁だった前年とは雰囲気が一変。養殖業者も輸入業者も深刻な顔つきで、ウナギをいかに確保するか話し合っていた。

稚魚の漁獲量、前年度の60分の1

 稚魚の漁期は例年、前年の11月~3月ごろまで。1月中旬までが最盛期だ。主産地である東アジア全体の水揚げ量は前年度(2017年度)の60トンに比べ、今年度はまだ1トン程度。最需要期の土用の丑の日までに成長させて出荷するには、遅くとも1月10日前後までに稚魚を確保し養殖池に入れる必要がある。しかし、今年は池入量がほぼゼロのままタイムリミットを過ぎてしまった。日本鰻輸入組合の森山喬司理事長は「もはや好漁、不漁の域を超え、"資源枯渇"という終わりの始まりかもしれない」と危機感を募らせる。

 稚魚の相場も「アクセルを踏むように急騰している」(輸入大手、佳成食品=東京・千代田の吉田哲生社長)。前年度の平均価格は1キロあたり109万円だったが、年始に360万円、1月22日は390万円前後と、日を追うごとに上昇している。

 同じく不漁だった13年度の平均価格は248万円だったが、現在は大幅に上回る。「台湾に注文したが、半分しか入荷がなかった」という輸入業者も少なくない。

 稚魚高値を受け、親のウナギも値上がりしている。活鰻(生きたウナギ)相場は1キロあたり3600円前後と、昨年末比で2割高。在庫を確保しようと引き合いは強まっており、夏に向けて「(輸入活鰻で)8千円を超えてくる可能性もあるだろう」(山商水産の山田順二社長)。

 2017年は3年ぶりの豊漁だった。スーパーや百貨店でもうな重やかば焼きを16年比で1割ほど安くし、特売する店舗が多かった。かば焼きは1匹980~1300円の値札が多く、丑の日商戦の売上高が前年比2~3割増となった店も多かった。しかし今年は値上がりが必至だ。売り場の削減を検討しているスーパーもある。

 そもそもウナギの資源量は1970年前後の最盛期から9割ほど減っていた。乱獲のほか、河口の埋め立てなど生息環境が悪化などが原因だ。さらに今年は(流れや水温が変化する)ラニーニャ現象に加え、日本近海で黒潮が東海沖で大きく南へ曲がる「大蛇行」が発生。稚魚がうまく来遊できなかった可能性もある。そもそも資源量が極めて低水準にあるのは間違いない。東大新領域創成科学研究科大気海洋研究所の木村伸吾教授は「このままいくといずれ、絶滅危惧種に指定されかねない」と話す。

「鳥重」など新メニュー検討も

 ウナギの不漁は長期化するとの見方は多い。親はマリアナ海溝で産卵し、稚魚は潮の流れにのって台湾東沖から日本近海まで半年かけて北上すると推測されている。親ウナギが減った今、生まれる稚魚の数も少なくなっている。完全養殖に期待がかかるが、まだ大量生産には成功していない。

 「かば焼き業界は経営が成り立たなくなる」(全国鰻蒲焼商組合連合会の湧井恭行理事長)。2017年の国内のウナギ消費量は5万トンと、2000年の17万トンから約3分の1に減った。さらなる値上げとなれば消費者のウナギ離れを招く。今夏はウナギが入手できなくなる場合も想定されることから、炭火で焼いた「鳥重」や「豚重」などの新メニューを検討している専門店もある。
(商品部 佐々木たくみ)[日経電子版2018年2月1日付]

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