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「一緒に最高のリングを」 客に妥協させず成約トップ
プリモ・ジャパン 栗原智子さん

「一緒に最高のリングを」 客に妥協させず成約トッププリモ・ジャパン 栗原智子さん
プリモ・ジャパンの栗原智子さん

 宝飾品専門店「アイプリモ」を運営するプリモ・ジャパン(東京・中央)の栗原智子(26)さんは2017年の成約数が約350件に達し、同年7~9月と10~12月の成約数では全社のトップに立った。主力の婚約・結婚指輪は少子化や消費者の節約志向を背景に縮小傾向だが、「指輪選びで客に妥協させない」話術と熱意で販売をけん引する。

 「一緒に最高のリングを探しましょう」。婚約指輪を選びに来店した会社員の男性に栗原さんは力強く話しかけた。

 指輪の予算やデザインの好みなどを聞きながら、客にとって最良の指輪を提案する。指輪に使う素材はダイヤモンドやプラチナ、ピンクゴールドなど種類が多い。選び疲れた様子の客には「妥協しないでください」と訴える。「栗原さんには負けたよ」と購入に踏み切る客も多いという。

◇     ◇

 プリモ・ジャパンは婚約・結婚指輪を中心に販売する宝飾品専門店を3つのブランドで運営している。栗原さんが勤務するアイプリモ銀座本店(東京・中央)は宝飾品各社の一番店が並ぶ激戦区にある旗艦店。14年に入社した栗原さんは国内約83店に配属されている600人を超える販売員のエースだ。

 「指輪選びで妥協してほしくない」。栗原さんは客に結婚相手の好みや性格まで聞いたうえで、最良の婚約指輪を探し出す。自分のために真剣に考え選んでくれたことが印象に残り、結婚指輪も選んでほしいと指名が入ることも珍しくない。

 栗原さんの熱意は説得力のある話し方にも表れている。決まり文句はあえてつくらない。それぞれの客の不安や悩みに応じて、話す内容や順序を変える。

 例えば婚約指輪を選びに来たという客の中には、結婚指輪より一般に高額で身に着ける機会も少ない婚約指輪を購入すること自体を迷っている場合もある。そんな客に指輪の価格やデザインの説明をしてもすぐ販売に結び付けることは難しく、迷いを深めさせるだけ。まずは婚約指輪を買う利点を説明することから始める。

 客の性別によっても説明の仕方を変えていく。男性客には実利を強調して話すことが多く、女性客には共感を示す言葉を多用して情に訴える。婚約指輪の購入を迷っている男性客には「婚約相手のご両親は婚約指輪を買うのが当たり前だと思っている世代です。婚約の挨拶をする際に指輪があると印象が良いですよ」と婚約指輪を買う利点を強調する。

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 説得力を持たせるために欠かせないのが正確な情報の提供だ。客からの質問で分からないことがあったら、すぐには答えない。栗原さんの一言が長い間使う高額な指輪を買う決め手になるかもしれないからだ。

 入社間もない頃は「接客が怖かった」と打ち明ける。「商品を見ていてください」と客に伝えて、先輩の元へ駆け寄り質問をする。原産地や原材料、今どきのデザイン――。分からないことを一つずつなくしていくなかで、確かな知識を蓄積していった。

 伸び悩んだ時期もあった。入社3年目の頃だ。売り上げの成績を反省するなかで「数字を追い求めるあまり、客の立場に立てていなかった」と気づいた。そして「客の記憶に残る販売員になりたい」という思いで入社した当時を思い出した。

 毎日数多くの客を相手にするが、客にとっては一生に一度の貴重な体験かもしれない。一人ひとりを大切にし、一緒に納得のいく指輪を選ぶと決めた。

 プリモ・ジャパンは通常、若手販売員には優秀な販売員が集まるアイプリモ銀座本店で経験を積ませる。同店での在籍期間は1年が一般的だが、栗原さんは4年目まで同じ店で「時間をかけて育ててもらった」。栗原さんが4年目で花開いたことを契機に、全社でも時間をかけて若手を育てるように方針を見直しつつあるという。

 「今後は自分も他の店舗で後輩を育てたい」。栗原さんの夢も一つ、増えた。

くりはら・ともこ
 2014年プリモ・ジャパン(東京・中央)入社。宝飾品専門店「アイプリモ」の旗艦店である銀座本店に勤務。17年7~9月期と10~12月期の契約数が国内トップに。東京都出身。学生時代は吹奏楽部でトランペットを担当し、技術面の指導役を務めた。

(高橋彩)[日経産業新聞2018年1月25日付、NIKKEI STYLEから転載]

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