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お悩み解決!就活探偵団2019リュックで面接、ダメですか? 企業に聞く

お悩み解決!就活探偵団2019 リュックで面接、ダメですか? 企業に聞く
authored by 就活探偵団'19

 就活シーズン本番を目前に控え、学生が意外と頭を悩ませているのが「カバン」だという。リクルートスーツや靴など何かと物入りなこの時期。ビジネス用のブリーフケースをわざわざ買う必要があるのか。普段使っているリュックではダメなのか――。カバンを切り口に、就活生の現実と企業の受け止め方に迫った。

 男子学生の場合、最も一般的な就活カバンは黒色のブリーフケースだろう。2017年の就活でも、説明会や選考の会場ではブリーフケースがよく見られた。

 ただ、不満を感じる就活生は少なからずいるようだ。薄いブリーフケースだと容量が小さく、「同じ日に大学の授業や部活動がある時はサブバッグが必要」。持ち物にこだわりがある学生からは「いかにもビジネスパーソンみたい」「スーツ以外に合わせられない」といった指摘もある。

 一方、20~30代の若いビジネスパーソンの愛用カバンは多彩だ。普段は肩にさっと掛けられるトートバッグを、ちょっとした出張には容量があるリュックタイプを、使い分けている人もいる。

 「ビジネスで許されるなら就活でも」。そんな発想はNGだろうか。

人気リュックは縦型?

 男性ファッション誌や情報誌で服飾雑貨を取材してきたライターの津田昌宏氏のアドバイスを参考に、売れ筋なども盛り込みながら、計8種のサンプルを作成した。

 数字が(1)から(8)に行くほどカジュアルになる。このサンプルを様々な企業の採用担当者に示し、「どこまで許容できるか」を聞いてみた。

 (1)は王道のブリーフケース。床に置くと自立するため、椅子に座っての面接時も重宝しそうだ。

 (2)は、よりスタイリッシュなタイプ。ナイロン素材と革の縁取りなど、遊びがあるデザインだ。

 (3)はトートバッグ。色は黒色で肩から下げられる。今回は男子学生を想定しているが、女子学生ではこれが最も主流のデザインだろう。

 (4)~(6)はリュックのバリエーションだ。

 (4)はリュックでも手提げでも肩掛けでも使える多用途な「3WAY」。

 (5)は最近ビジネス向けで人気の縦型。「ビジネスリュックの流行に火を付けたブランド、ザ・ノース・フェイスの製品がこの形。ノートパソコンを持ち歩く人が好む印象」(津田氏)という。

 (6)は、丸形のカジュアルなリュック。学生なら誰でも一つは所有していそうだが、フォーマルな印象は薄い。

 (7)は若者に人気の、肩からかけるメッセンジャーバッグを選んだ。

 (8)は「手ぶら」とした。就活生はスケジュール帳やエントリーシートを持ち歩くことが多い。しかし、中にはスケジュールからエントリーシートの内容まで、あらゆる情報をスマートフォン(スマホ)で管理している学生もいるだろう。スマホと後はせいぜい財布のみという軽快なスタイルもあり得るかもしれない。

 それでは、企業の回答を見てみよう。

機能性に評価

 (1)を選んだ森永製菓は「服装と同様、場に応じたふさわしい所持品を使用しているかどうかについて見たい」とした。

 大手生命保険も「(1)~(2)がふさわしい」。また、日比谷花壇は(3)までを可としたが、リュックは「カジュアルと感じる」とコメントした。

 就活はフォーマルな場面であり、TPOを考えると納得の答えだろう。津田氏も「就活であえて冒険する必要はないのでは」と話していた。

 ただし、調査はここでは終わらない。今回の焦点はリュックの可否だったが、「リュックNG」と明確に回答したのは3社のみ。24社が「リュックOK」だった。

 以前にリクルートスーツを採り上げた際、学生の個性を尊重して「スーツ以外」を許容した回答が意外に多かったことと、相通じるものがある。

 リュックを許容した企業が重視したのは、使い勝手の良さだ。明治安田生命は「華美な色のものを除けば、機能性は許容する」と(5)を選んだ。

 東京ガスも「業務において適当かどうか」を理由に(5)を許容した。

 (5)のデザインや色合いがシックで、ビジネスの場面でも違和感がないという側面も大きいだろう。同じく(5)の三菱ケミカルも「就活生の負担が少ない」と評価している。

黒色でシックなカバンが王道だが……(写真は就活中の学生)

 オリンパスはよりカジュアルな(6)のリュックでも可とした。「遠方から来る場合、荷物がたくさん入るカバンを選ぶ学生もいる」と指摘した。

 地方から東京などに出てくる就活生の場合、事態は深刻だ。ブリーフケースとボストンバッグなどの「カバン2つ持ち」で上京し、駅のロッカーにボストンバッグを預けてから会場に向かうパターンも多い。確かにリュックの方が便利そうだ。

 一方で、その業種ならではの見方もある。すかいらーくは「よほどTPOを外したものでなければ許容範囲」として(4)を選んだが、「フードビジネスなので清潔感や衛生的な身だしなみを厳しく見ている」とした。

情報管理の落とし穴

 さて、探偵(記者)にとって驚きだったのは、(8)の手ぶらまで許容した企業が、今回の調査では最も多かったことだ。

 ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人グループは「最近はリクルートスーツに丸形リュックのような学生も多い。特に気にしていない」。

 就活人気企業ランキングで常に上位に入っているJTBは「周囲の人を不快にさせるレベルではない」として、すべて可とした。オリックスも「社員のドレスコードと照らしても問題ない。学生にだけ特別な基準は設けていない」とした。

 企業側は学生が思うほど「リクルートスーツや持ち物にこだわっていない」のかもしれない。

 ただし、注意しなければいけないのは「情報管理」。手ぶらのリスクへの目配りだ。ユーグレナは「手ぶらが完全にNGではないが、書類紛失等の懸念がある」とした。

 バンダイナムコエンターテインメントも「状況によっては書類を封筒に入れずにそのまま渡すこともある。何かカバンを持ってきてほしい。A4サイズの書類が入れば問題ない」としている。

 たかが外見、されど外見。「自分らしさを考慮したうえで服装や所持品を選んでほしい」(三菱電機)という企業側の期待は、実はなかなかハードルが高い。カバンひとつをとっても選択肢は幅広く、何を優先するかは人によって様々だ。

 就活生たちの悩みは尽きそうにない。
[日経電子版2018年2月20日付]

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