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チェック! 今週の日経(48)なぜIT企業が自転車シェアリング?

チェック! 今週の日経(48) なぜIT企業が自転車シェアリング?
authored by 日経カレッジカフェ 

 日経の研修・解説委員やカレッジカフェ編集スタッフが、この1週間の日経電子版や日本経済新聞から企業ニュースを中心にピックアップし、解説する「チェック!今週の日経」。日ごとに暖かくなり、外出もしやすくなりましたね。天気の良い日には自転車で走り回りたい方も多いはず。今回はそんな自転車にまつわるニュースを取り上げます。あのヤフーが自転車シェアリングサービスに参入すると発表しました。すでにいくつかのIT企業が自転車シェアリングを実施したり、参入計画を発表したりしています。でも、なぜIT企業が自転車シェアなのでしょう?

ヤフーが自転車シェアリング企業の株式過半数を取得

3月9日付朝刊

 ヤフーの記事は3月9日付の日本経済新聞「企業2面」に載っています。

ヤフーも自転車シェア 参入続々、競争が激化(3月9日)

 記事によれば、ヤフーの新規事業子会社がソフトバンク傘下で自転車シェアリングサービスを行っているオープンストリート(東京都港区)という会社に10億円以上出資し、株式の過半を取得するという内容です。オープンストリートは「HELLO CYCLING」という名称で自転車シェアの仕組みを企業や自治体に提供しており、現在は首都圏など約40地域で計約1000台が稼働中とのことです。

自転車を借りられる場所がスマホで簡単にわかる(ヤフーが出資するオープンストリートのサービス)

 利用の仕方は他の自転車シェアリングのシステムとほぼ同様で、まずスマホのアプリやパソコンでどこに自転車が借りられる駐輪場があるかを調べて予約し、利用後は所定の駐輪場で返却、そこでの乗り捨ても可能です。料金は都内では15分で60円、1日最大1000円程度。短時間の利用ならだいぶ安いですね。ヤフー以外でも、自転車シェアリングサービスに乗り出すIT企業が相次いでいます。最近ではこんな記事も出ていました。

メルカリが自転車シェア 福岡市で、「リアル」事業初参入 アプリで確保、乗り捨て(2月14日)
LINEがシェア自転車 中国モバイクと提携(2017年12月20日)

スマホで決済、GPS利用などIT企業の強みを生かせる

メルカリも自転車シェアリング「メルチャリ」を発表した

 フリマアプリ大手のメルカリが福岡市で始めると発表した自転車シェアは、その名も「メルチャリ」。ネット上でのCtoC(個人間取引)ビジネスが主な業務の同社にとって、初めてのリアルなビジネスだそうです。LINEは世界200以上の都市で自転車シェアを展開している中国の大手、モバイク(摩拝単車)と手を組み、同社の日本法人に出資しました。モバイクはすでに昨年8月に札幌市でサービスを始めており、LINEとのサービスは札幌のほか福岡市、神奈川県大磯町で18年前半に開始の予定です。

 このほか、NTTドコモは子会社のドコモ・バイクシェア(東京都港区)が2015年から都内各区など自治体向けにシステムを提供しています。都心部で赤いレンタル電動自転車を見たことがある方もいるのではないでしょうか。

 このようにIT企業が自転車シェアリングサービスに乗り出すのは、レンタル用自転車の管理・運営にITがとても役立つからです。どのサービスも原則、料金はスマホで決済するので、面倒くさい現金のやり取りが必要ありません。利用時間も細かく設定でき、メルカリはなんと1分単位です(1分4円)。また、各社とも自転車にはGPS(全地球測位システム)を搭載しており、自転車の運行管理や利用者の走行データの取得に役立てています。

無人駐輪場から24時間いつでも借りられる(NTTドコモ系のドコモ・バイクシェア)

 さらに、本業の会員獲得につなげる事業としては自転車シェアリングはそれほどの初期投資もかからず、駐輪場の場所さえ確保すれば参入しやすいことも背景にあります。

 ただ、セブン-イレブン・ジャパンが2018年度中に、1000店舗で自転車シェアリングを始める計画を進めるなど、同様のサービスは急速に広がりつつあり、今後は競争激化も予想されます。自転車シェア"先進国"の中国では、路上にシェア自転車を放置する例が後を絶たないなど、社会問題となった例もあります。利用者にとっては便利なサービスだけに、順調に育ってもらえればいいですね。
(研修解説委員 若林宏)