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ヨコスカを着て何をする? ~みんなで創る第2章と1000枚の足跡

「わたし」が生まれた、横須賀(6)

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NIKKEI STYLE

こんにちは、八村美璃(はちむら・みり)です! 前回の記事では、高校卒業と同時に瞬く間に広がったネイビーパーカーの話題と、大学入学と共に活動をアップグレードさせたいという想いが固まったお話についてシェアしました。今回は、そんな第2章の全貌についてお話します。

試練の連続から始まった、大学生活

第2章では、大学入学後も実家のある横須賀に残り続けるメンバーや、その時動けるメンバーだけで動こうという、とても流動的な形態をとって挑戦することになりました。大学寮へ旅立つメンバーを見送り、残された自宅通いメンバーでの活動はかなりの寂しさ。でも、そんなことも言ってられない状況でした。なぜなら、話題の熱が熱いうちに取りかからなければ、ネイビーパーカーの普及効果は激減してしまうから。ツールとして使ってもらう以前に、ツールを獲得してもらうというハードル。

すぐさま市長提言をきっかけに紹介してもらった観光企画課や観光協会に、パーカーと商店街の連携や、地域での販売について相談しに行きます。しかし、パーカーをツールとして運用するべく他の団体を巻き込んでいくことは、中々上手くいきません。150着をあっという間に作った時のように、自分たちだけで何とかするのとは訳が違う。行政からお金を出してもらう難しさ、在庫を抱える難しさ、企業ではない自分たち、社会的信用の低さ、リスクや責任、色んな立場での視点が必要です。

それに加えて「高校生」と「大学生」への対応は、全然違ったのです。明らかな「もう大人でしょ」という社会の対応の変わりぶりに、つい最近まで制服を着ていた18歳の心境は複雑そのもの。クラウドファンディングに挑戦しようと会社に相談するも、宣伝にかかる時間やリターンのコストは今の状況に合わないと判断、身動きがとれずにいました。

一方、入学したての大学生活はというと、わたし自身、法律の勉強がしたいという気持ちが、将来的には司法試験へ挑みたいというビジョンへと具体化していった頃でした。きっかけは中央大学で伝統的に設けられている、司法試験受験団体への合格。入学直後、試験で選ばれた学生のみが自分の自習机やゼミの受講が認められるという環境に、ラッキーにも身を置くことができたのです。

通学2時間半を超える多摩キャンパス、週4日の1限、バイトの掛け持ち......。案の定、二兎も三兎も追い始めながら、ネイビーパーカーの悩みはがんじがらめ。「大学の講義でネイビーパーカーが紹介されていた」という嬉しい報告や、小中学校に直接招いてもらったり、想いを伝える機会がたくさん舞い込む日々とは裏腹に、夏には単位取得がかかった初めての定期試験、skype会議すら叶わないわたしたちの第2章は身動きがとれぬまま、とうとう秋を迎えてしまいます。

第2章のコンセプト=「ヨコスカを着て、何をする?」

チャレンジの内容も、取り組み方もアップグレードを要求される大学生。でも、年齢や環境が変わっても、変わらないものがある。ネイビーパーカーが「本物」になったのは、心の声に素直に、真正面からぶつかってみたからこそ。そこで、あの時企業に直談判したように(4回目の記事参照)、公式facebookページから、今度はフォロワーの市民のみなさんへ、直接協力を投げかけました。今のメンバーの状況やパーカーを再販したいこと、パーカーと様々なコラボレーションを起こし、横須賀を盛り上げるうねりを生み出す政策を実現したいとの想いを投稿。

すると、拡散は2万件、応援や提案のコメントで溢れました。それを機に発足されたのが、「ヨコスカテラス」に集まってくれた大人のサポートチーム。地元企業のトップやメディアの方々が、団結してバックアップをしてくれることになったのです。わたしたちも「テラス」でのコンビニ飯は卒業し、打ち合わせがてら、あの中華定食屋さん(4回目の記事参照)に限らず、(色んな地元のごはん屋さんに訪れました。白熱したわたしたちに、思わず声をかけてくれた店長さんに「ネイビーパーカー」と伝えると、「知ってる!」との反応と共に、その場に居たお客さんをデザイナーとして紹介していただくなんてことも。

そんな繋がりが繋がりを呼び、冬の再販に向けて「パーカー割」の企画にも挑戦していきます。商工会議所が主催している横須賀在住者向けの「市民割」に便乗し、在住か関係なく、「横須賀愛」で商品の割引が受けられるよう、ネイビーパーカー着用者にまで割引の適用範囲を広げてもらおうと、参加飲食店・サービス店を始めとする20店舗を回って交渉。さらに、「チーム対抗でヨコスカを駆けめぐれ!」というミッションを掲げ、パーカーが5色展開であることを利用し、1着購入ごとにオリジナルの投票権を1枚渡しました。パーカー着用者に対象店に行くごとに投票してもらい、集計結果をもとに「どの色のパーカーを来た人たちがより横須賀を体感したか」ということを可視化させる仕組みをつくったのです。こうして、市民にネイビーパーカーを着てネイビーバーガーを食べてもらい、ネイビーパーカーを着て、横須賀の魅力を市民自身が再確認するツールとして、活用する道を見出したのでした。

あの時の、あの場所で、自分たちの手で届けよう

12月の2日間、再びわたしたちの想いを背負って、あのテントが同じ通りに立ち上がりました。高校卒業以来のメンバー6人全員集合。事前予約は、もう販売勧誘する必要もなく、1時間で予約分が完売。老若男女問わず、色んな方が行列を作ってくれました。これまで市民の方々とインタラクティブに再販に向けて走り出したからこそ、シップタイプやキッズサイズのパーカーが新たに誕生し、地元企業や大人の方々のサポートがあったからこそ、Twitterのパネルボードや、ポスター・チラシの作製、サイト運営や大量のパーカーを代金後払いで注文できたのです。地元の小学生と出会えたから、彼らと一緒にくりはまTシャツを販売できました。初回の倍以上の段ボールの数に圧倒されながらも全てのパーカーを手渡しできたのは、スタッフとして集まった市民の方々が協力してくれたからです。

予約の殺到を受け、さらなる増産を決定し、2カ月後には受注販売を行うことになりました。またしても商標登録をはじめとするデザインの問題や、新たな挑戦には新たな試練がいくつも付いてきたけれど、その都度、真正面からぶつかることに変わりありませんでした。大晦日も米軍艦隊と自衛隊の船が一緒にライトアップする海を眺めながら、みんなで注文の受け付け。迎えた2月の増産イベントでは、これまでに生産したパーカーと合わせると、気づけば販売枚数1000枚を突破。後日お店へお礼に伺うと、たくさんの投票権が! 「市民だけど、初めて軍港めぐりに乗った」「おれがネイビーパーカー着ていったら、たまたま同じ色のネイビーパーカー来てる人を見つけた」。そんな連絡も、たくさん頂くようになっていました。

ダジャレ物語の終わりは始まり

もしも前回の記事の打診をもとに全国販売していたら、全国の横須賀ファンにもっと多く、もっと効率的に届けられたかもしれません。だけど、あのドブ板通りで手渡すからこそ伝えられる思いがありました。あの場でそのままパーカーを着て、バーガーを食べて、横須賀を駆け巡る、それが実現したかったネイビーパーカーの姿だったのです。

わたしたちが政策コンペ当時から信じていたのは、本当の横須賀の盛り上がりとは、女子高生がつくったストーリー性のあるパーカーが偶然ウケることではなく、パーカーをまちづくりの一端として昇華させる仕組みづくりだという仮説でした。ネイビーパーカーそのものは、年と記憶と共にタンスで風化していくかもしれません。わたしたちの物語も、そもそも知らない人がほとんどの上、知っている人にも段々と忘れられていくでしょう。本当にまちにとって必要なのは、パーカーではなく、まち全体を巻き込んで、どうしたら「もしも」を「本物」にできるかを一緒に考えていくこと。これは、感度が高い人でなくても、女子高生じゃなくても、「若者」じゃなくても、パーカーじゃなくても、横須賀じゃなくても、みんなができることなんです。

全ての販売終了後、これまでの道のりについて協力者との座談会や、パーカー割の投票結果の発表をする、パーカー購入者30名限定の交流会を開きました。わたしたちはこれを最後に、企業や後輩に引き継ぐことなく、ヨコスカネイビーパーカーの活動・販売を「無期限休止」しています。それからちょうど2年が経つ今、またいつかどこかであのパーカーが必要だと思う瞬間がやってきたら、復活する......かもしれません(笑)。多くの感動をくれた横須賀に、たくさんの感謝が詰まった経験です。

ヨコスカネイビーパーカーの行方を3回に渡って読んでくださった皆さま、本当にありがとうございました!さて、次回からはわたしの大学生活について、視点を変えてお話していきたいと思います。どうぞ、新展開をお楽しみに!

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