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career-働き方

サステナブルな会社選び(13)自然エネの開発から発電まで一気通貫、自然電力

サステナブルな会社選び(13) 自然エネの開発から発電まで一気通貫、自然電力
authored by 「オルタナ」編集部

 この連載では、ソーシャル・イノベーション・マガジン「オルタナ」編集部の記者が企業の規模や知名度を問わず、CSR(企業の社会的責任)で先進的な役割を果たし、社会的課題にも積極的に取り組む企業を紹介していきます。企業のCSRやサステナビリティ担当部署で働く若手社会人や社会起業家へインタビューし、「社会的課題を解決する働き方」を様々な角度からお伝えします。

 今回取り上げる自然電力グループは、太陽光や風力など自然エネルギーに特化した発電所の開発を行う自然電力を中核に2011年6月に創業し、以降グループとして成長を続けています。2013年1月には、自然エネルギーの開発・EPC(設計・調達・建設)で世界トップクラスの規模を誇るドイツのjuwi(ユーイ)社との合弁で、発電所のEPCを行うjuwi自然電力を設立しました。

 さらに、同年5月には発電所の運営と保守を行うjuwi自然電力オペレーションを設立し、自然電力グループは自然エネルギーの開発から発電事業までを一気通貫で行うベンチャー企業へと成長しました。今回は、juwi自然電力オペレーション代表取締役の磯野久美子さんにお話を伺いました。

震災後、「何ができるか」自問自答し起業

juwi自然電力オペレーション代表取締役の磯野久美子さん

 自然電力を立ち上げたのは磯野謙さん、川戸健司さん、長谷川雅也さんで、現在は3人とも同社の代表取締役です。3人は風力発電を扱うベンチャー企業に勤務していましたが、景観の問題から風力発電所を建設することへの風当たりは厳しいものでした。東日本大震災後から、「自分たちにできることは何か」と自問自答を繰り返した結果、自ら会社を立ち上げることを選びました。

 自然エネルギーへの潮目が変わる転機となったのは2012年に施行された「固定価格買取制度」です。これにより電気事業者には一定期間、太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギー源でつくられた電気を、国が定める固定価格で調達することが義務づけられました。

 さらに2016年に始まった電力の小売自由化も大きな変化となりました。電力自由化で消費者一人ひとりが自由に使う電力を選べるようになることで、自分が使う電力がどこから来て、どのようにつくられたものかを考えることができるようになったのです。

企業の「地球環境への配慮」を手助け

小売事業で実際に電力を供給している、新茶第二太陽光発電所(宮崎県、提供:自然電力)

 消費者と同じく、企業も変化を迫られています。世界190カ国以上が合意したパリ協定では世界の平均気温の上昇を産業革命前から1.5度から2度までに抑えることを目標にしており、脱炭素化へ向けて各国が舵を切っています。

 パリ協定の一環で、事業で消費する電力を100%自然エネルギーで調達することを掲げる国際イニシアチブ「RE100」も、サステナブルな経営をする上で欠かせないものです。現在は、米国のアップルやスターバックスなど世界で約120社が加盟し、日本ではリコー、積水ハウス、アスクル、大和ハウス工業の4社が入っています。

 ただ、日本企業の中には「RE100」の意義を理解はしていても、その達成のための基準や準備についてはそれほど詳しくない担当者が多いのも事実です。そこで、自然電力ではそのような企業の「RE100」への加盟支援を行っています。

 国際社会における「脱炭素化」の勢いを受けて、自然電力グループの事業規模は拡大しています。グループとして約700メガワットの太陽光発電・風力発電事業に携わった実績を持つ企業へと成長しました。

エネルギーの大転換期、自分の目で見て判断を

電力業界では過去にないパラダイムシフトが起きていると話す

 磯野久美子さんは、京都議定書の策定など世界的に地球環境への関心が高い時期に学生時代を過ごしたそうです。大学時代は環境省で地球環境政策を主導した浜中裕徳教授のもとで環境政策について学びました。

 新卒では地球環境の持続可能性に対してビジネス分野より貢献できる仕事を探しましたが、当時はその分野で新卒社員を募集する企業は少なく、まずは経営について学ぶために経営コンサルティング会社へ就職。その後、MBAを取得するためにカリフォルニア大学バークレー校へ留学。帰国後に、大学の先輩である磯野謙さんが創業した自然電力への転職を決めました。

 大学卒業から6年半の時を経て、念願の「サステナビリティ」に関する職に就いた磯野さん。どうしたらサステナブルな会社を選ぶことができますか、と聞いてみました。

 すると、「インターンやアルバイトなどで、まずは企業に入るためのドアをこじ開けて」とひと言。続けて、「もちろん、前提として企業を見極めるための勉強も重要です」と強調されました。

 最後に大学生へ会社選びのアドバイスとしてメッセージをもらいました。「エネルギー業界ではいま、従来とは全く異なるパラダイムシフトが起きています。これまでは重厚長大型産業のように見られていましたが、若い世代が変化を主導する新しい時代となり、とてもダイナミックな変化が日々起きています。世界で何が起こっているのかを自分の目でしっかりと見て、おもしろいと思えるところを見つけて、チャレンジして下さい」。
(「オルタナS」編集長・池田 真隆)
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