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チェック!今週の日経(49)ANAが北米でビジネスジェット 
VIPの足、新たな拡大期に

チェック!今週の日経(49) ANAが北米でビジネスジェット VIPの足、新たな拡大期に
authored by 日経カレッジカフェ 

 日経の研修・解説委員や日経カレッジカフェの編集スタッフが、この1週間の日経電子版や日本経済新聞から企業ニュースを中心にピックアップし、解説する「チェック!今週の日経」。今回は、就職人気の高い航空業界のニュースを取り上げてみましょう。

ANA、双日と組み乗り継ぎサービス

紙面
3月24日朝刊

 3月24日の朝刊14ページ、企業1面トップに次のような記事が掲載されました。

ANA、北米でビジネス機 乗り継ぎで企業囲い込み 双日と新会社(3月24日)

 ANAホールディングス(HD)が総合商社の双日と組み、顧客がビジネスジェット機に乗り継ぐことができるサービスを米国で始めることを伝えた記事です。記事によれば、両社はANAHDが過半を出資して共同出資会社を設立し、2018年度中に事業を始めます。まずは北米へ出張する日本企業のトップや幹部、政府要人向けに事業を展開する考えで、搭乗人数は数人から十数人まで対応し、5年後をめどに10億~20億円規模の売上高にしたいとしています。

 ビジネスジェットというのは、数人~十数人乗りの小型ジェット機のことです。忙しいビジネスエグゼクティブの移動手段として2000年代に大きく需要が拡大しましたが、リーマンショックで機体販売が半減し、成長の勢いが止まりました。ところが、最近になって新しい機体の開発などが進み、再び成長軌道を歩み始めています。定期航空路線と違って、運行スケジュールの組み方の自由度が高く、米国で3都市を周遊するスケジュールは、ビジネスジェットを利用すれば現状に比べて滞在期間は最大で半分程度になると記事は伝えています。これまでは行き先によってはANA便との乗り継ぎ時間が長く、他の航空会社などに顧客を奪われることもあったといい、乗り継ぎサービスを自社で手がけることで、こうした不便をかけないで企業の海外出張の需要を包括的に取り込むことができるわけです。

将来の日本での普及にらむ

機内
ビジネス機はくつろぎやすい内装も特徴だ 写真提供:丸紅エアロスペース

 航空会社のビジネスは定期路線を開発し、それを安定的に運行するだけはありません。航空機を使って移動したいというニーズは様々にあり、そうした需要を取り込むことで様々な展開が可能になります。安く移動したいというニーズにはLCC(格安航空会社)というビジネスモデルがあり、一方高くても効率的に移動したいというニーズには、こうしたビジネスジェットというビジネスモデルがあります。世界の航空ビジネスは競合が激しくなっており、定期路線による大量輸送だけに頼っていては、そうした競争を勝ち抜くのが難しいのです。ANAのライバル、日本航空も17年に欧州でビジネスジェット乗り継ぎサービスに乗り出しています。

 今回は米国での事業ですが、将来的ににらんでいるのは日本国内でのビジネスジェットの普及です。米国ではすでに保有台数1万機を超えていますが、日本は100機に満たないのが現状です。ですが、東京五輪など大型国際イベントが続くこれからは、またとない拡大のチャンスが到来しているといっていいでしょう。

 すでに国内でもビジネスジェット普及に向けた動きが続いています。小さな記事ですが、こんなニュースもありました。

ビジネス機専用施設 関空に6月、G20にらむ 国際定期便夏季最多に(3月21日)

 ラウンジや保安検査場などを備え、国内外の要人どが一般の施設を使わずスムーズに搭乗手続きができるビジネスジェット専用の施設で、成田、羽田に続いての設置です。対応する空港が増えれば、ビジネスジェットの普及には追い風になります。

ホンダジェットも好調

ホンダジェット
ホンダジェットは超小型ジェット機でトップシェアになった

 一方、機体そのものでも存在感を増している日本企業があります。

ホンダジェット首位 17年納入数、倍増の43機(2月22日)

 2015年に発売したホンダの超小型ジェット機「ホンダジェット」が10人乗り未満の超小型ジェット機の機種別シェアで32%となり、初めてトップに立ったのです。企業別では複数機種持っているセスナにわずかに及びませんでしたが、実質参入2年目で機種別トップに立ったのは快挙といっていいでしょう。ANAHDはこのホンダエアクラフトカンパニーとも戦略的パートナーシップを結びます。ビジネスジェットの活用がまだ少ない日本市場で経済性などの利点を訴え、共同で需要を喚起する考えで、北米で使う機材の一部にもホンダジェットを使っていきます。

 運航や利用面からも、ハード面からも様々な日本企業が絡む形で需要開拓が進むビジネスジェット。リーマンショックで一時半減した市場ですが、その分、大きな伸びしろがあるともいえ、ホンダジェットはインドや中国でも受注をのばしています。普及している米国市場で乗り継ぎサービスを確立できれば、日本を含めた広大なアジア市場が待ち受けています。

(企画委員 水柿武志)

※この連載は今回で終了します。