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新体操のほっち(3)ヒントはどこに隠れているかわからない

新体操のほっち(3) ヒントはどこに隠れているかわからない
authored by 坪井保菜美新体操元日本代表

 こんにちは。連載第3回目を書かせていただきます、坪井保菜美です。皆さんいかがお過ごしでしょうか?今回も、前回に続き幼少期時代の坪井保菜美にさかのぼってみたいと思います。

 選手クラスとなり、6歳になった私は新体操という新しい世界に触れていく中で、新体操の楽しさを感じつつ柔軟や基礎練習といった様々なことに興味を持ち始めました。

はじめての演技づくり

 私の生まれた岐阜県では、毎年秋になると県内にある各新体操クラブが集まり、予選・決勝と2回、県の大会(県大会)が行われます。もちろんそんなことがあるとは知らず、遊び感覚でやっていた新体操(←と、母が言っていた!笑)。

 ある日の練習で、先生が私に曲を聞かせてくれました。これが後に、試合に出るための演技用となっていきます。←前回はこのあたりまでお話しさせていただきました。実はこの曲、先生がブルガリアで買ったCDの中の一つ。「子象の行進」という曲をアレンジしたもの。皆さんもきっと1度は聞いたことがあるんじゃないかなぁ。機会があったら聞いてみてくださいねっ♪ この曲に合わせ、私の初となる演技は手具を持たない"徒手"という個人演技。新体操には個人と団体があり、個人は1分15秒~1分30秒、団体は2分15秒~2分30秒以内で踊らなければなりません。

 曲が決まったところでさっそく、杉山先生の指導のもと演技づくりに取り掛かります。一緒に身体を動かしながら音楽に合わせ、少しづつ演技ができていったのを今でも覚えています。進んでは踊り、曲と演技が合っているかを繰り返し、何度も確認しました。

偶然から生まれたポーズ

 先生が演技の構成を考えている間、横で待っている私はというと、流れる音楽に合わせ、何か言われるわけでもなくふらふらと動いていました。その妙な動きが意外にも採用され、なんと演技の中で使われることに。自分の発想(偶然生まれた動きだったが)が一つの演技となったことを実感した頃には、嬉しさに変わりました。他にも、何気なく足を上げてくつろいでいたら(本当はダメですよね。ましてや足なんか上げてくつろぐとは!(笑) それがポーズにもなったのです! 演技づくりっておもしろい!笑

 先生は、そんなマイペースな私を頭ごなしに怒ることはせず、いつも楽しそうに笑っていたのが印象的です。それが私のペース、リズムに自然とマッチしていたようにも思うのです。私の個性を理解してくれた先生には、本当に感謝。こうして、私にとってはじめての演技が仕上がりました。

 振り返って見ると、たまたま私の動きが使われたというのも不思議なもので、先生がもし、練習しなさい! とただ怒るだけで終わっていたら、この動きは存在しなかったのです。いつどこで、どんな時に、ヒント、きっかけが隠れているかわからない、そう思うと見逃せない景色がいっぱいあることがわかります。その瞬間のチャンス、そして発想を無駄にしないためにも、常に目を輝かせておきたいと、改めて思い知らされました。

 さてここからは、これまで行ってきた柔軟、基礎練習だけでなく、そこに演技の練習が加わってきます。13メートル×13メートルのマット(フロア)の上で、音楽に合わせたリズミカルな動き、スピード、また柔軟性などが求められるようになってきますが、そういった中で、これから目指す試合に向けて今後どういった練習へと変わっていくのか......。

 それでは次回もお楽しみに!