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10代女子口パク動画、マジ卍!

10代女子口パク動画、マジ卍!

 10代女子は何でもやってみたいお年ごろ。スマートフォン(スマホ)アプリ「SNOW」で犬顔の写真は撮ったから、次は歌・ダンスでしょ。で、撮影とか録音なんだけどパソコンとかムリだし超忙しいから「秒」で「やってみたい」アプリがいいんだよね。街で10代女子100人に聞いた最近気になる「マジ卍(まんじ)」なアプリ、教えてあげるね。

SNOWに次ぐ人気アプリは?

 「はい、撮るよー」

 「えがおーさくー きーみーとー だーきあってーたいー」

お笑い芸人のネタをまねて「Tik Tok」に投稿する動画を撮影する女子高生(東京都新宿区)

 合図とともに半分のスピードで流れる歌手・大塚愛さんの「さくらんぼ」。曲に合わせ変顔をした2人の女子高生が、お笑いコンビ「にゃんこスター」のネタをゆっくりと踊りはじめた。

 30秒のろのろと踊って音楽が止まると、笑いながらスマホに駆け寄る。曲に合わせ早送りのように2人が踊る動画を見て叫ぶ。「え、超うまく撮れてるー。これアップしよ!」

 彼女たちが投稿しているのは「口パク動画」。動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」を使い、音楽やCM、お笑い芸人のネタに合わせてノリで踊ってみた様子を撮影、投稿している。

 中国発のティックトックが昨年夏、日本に上陸して以来、口パク動画をやってみる10代女子が急増している。

 記者が渋谷・原宿・池袋などで10代女子100人にアンケートした結果、24人がティックトックを使っていると答えた。日本に上陸してわずか半年で、2013年の登場以来10代から人気を集める動画投稿アプリ「MixChannel(ミックスチャンネル)」(30人)に迫る勢いをみせる。

踊って、歌って、つながって

 「学校では『あいつらティックトッカーだ』って言われてます」。冒頭の都内の高校2年生、星雛夢さん(17)は友人と学校の休み時間などに2~3分で動画を撮っては投稿している。「いいね」が1000以上つくこともざら。「音楽にはまってる感じが超楽しい!変顔とかネタ系の動画を気軽に投稿できる」。おしゃれな写真を投稿するインスタグラムと使い分けているという。

 口パク動画自体は3年前ごろから米国を中心に「musical.ly(ミュージカリー)」というアプリで投稿されてきた。今回の調査でも6人が使っていた。

 口パク動画が一気に拡散するきっかけとなったのがティックトックだ。「ユーチューブ」での広告がウザすぎると話題になり、それをまねてユーチューバーや人気モデルらがティックトックに投稿すると、10代のやってみたい心に火がついた。

 モデルでフォロワー16万超の「ティックトッカー」として人気の古川優奈さん(16)は「編集も楽だからさくっと撮ってる」と語る。

動画投稿、簡単さ優先

 秒単位で興味が移ろうスマホ世代。1投稿当たり15秒と短く、アプリだけで編集が完結し、最短1分もあれば投稿できる。簡単な操作性が「やってみた」を誘発しているようだ。

 見るのも気軽で「ユーチューブは15分で長いから最近はティックトックを頻繁に見る」(福岡市・高3)という声も。

 一方、顔を出さずに気軽に歌ってみたいし、聞いてほしいという人が使っているのが、日本発の音楽共有アプリ「nana(ナナ)」だ。

「nana」は顔出しなしで自分の声を発信(歌う都内の中学生)

 こちらは音声だけ。アプリを開き曲を選んだらワンタッチで録音開始。歌だけ、ギターだけなどパートごとに録音し知らない人同士がアプリ上で音を重ねて1つの楽曲をつくりあげる。今回の調査では100人中7人が使っていると答えた。

 「歌は恥ずかしいからハーモニカで参加している」と話すのは名古屋市の女子高校生、楠瀬未奈さん(18)。台湾で出会った現地の人がナナを使っていたのがきっかけで始めたといい、「ドラえもん」などの曲を国境を越えてセッションしている。「世界の人とつながれるから面白い」

 現在、全世界で500万人以上が盛んに歌や演奏をふき込む。日本では200万人以上が利用し、6割以上のユーザーが10代と、多くの中高生が「歌ってみた」を体験している。

ホンネで口コミ

 10代女子ならではの関心事といえばコスメ。メーク初心者の彼女たちが頼りにするのがコスメに特化したSNSアプリ「LIPS(リップス)」だ。昨年1月に配信を開始し55万人がダウンロードしており、今回の調査でも100人中9人が使っていると答え、スマホ世代の「@コスメ」の座をうかがう。

 福島県の高校3年生(18)は「肌の悩みとか共感がもてる人の投稿をよく見る。『@コスメ』や公式サイトはいいことしかかいてない」と同世代のリアルな口コミ情報を頼りにしている。

大学生のみみさんはメークをしてコスメの使用感などを投稿する

 口コミ比較サイト「@コスメ」が商品を中心としたつくりになっているのに対し、リップスはユーザーが中心。プロフィルには年齢のほか「混合肌」「乾燥肌」などの肌質や「イエローベース」など肌の色などの記述があり、利用者は自分に近い人をフォローできる。

 都内の大学に通うみみさん(19)は昨年11月から化粧品を実際に自分の腕、顔に使った写真・動画を1日1件のペースで投稿する。現在、中高生など7600人からフォローされている。「私も自分と同じ肌質の人のレビューを見てるから情報交換の感覚」。デートメークはどうしたらいいですか、などのコメントにも気さくに返す。

 コスメという共通の話題が、コスメ好きの10代の「使ってみた」コミュニティーを広げている。

「インスタより使う」、乙女心移ろいやすく

 16年に10代の心を捉えた写真加工アプリ「SNOW」。今回の100人アンケートでは73人が使っていると回答した。アプリ利用者分析のフラー(千葉県柏市)は「あるラインを超えて人気を獲得したアプリは『標準アプリ』として長寿化する傾向がある」と指摘する。

 特に画像加工アプリの人気は根強く「PicsArt」は70人、加工しやすいカメラアプリ「B612」は77人と大半の10代女子が使っている結果となった。

「PicsArt」を使う女子

 みんなが入れている定番アプリは使うが、写真や動画を大量に保存するためスマホのデータ容量は生命線。飽きて使わないアプリはすぐ消される運命に。

 SNSのユーザーに匿名で質問を送れるアプリ「サラハ」は今回の調査では19人が使っていると答えたが「悪口を言われたから」などの理由で1週間もたたず消したという声も少なくなかった。見切りが早いのも10代女子の特徴だ。

 フラーの調査によると、月に1回以上起動するアプリは26個前後と過去1年間でほぼ横ばい。頭打ちの状況にある。

 都内の高校2年生の西田沙耶花さんは「インスタを使ってた時間でティックトックを使う」と話す。スマホ動画の普及がテレビ視聴の時間を奪ったが、今後はアプリ同士で消費者の隙間時間を奪い合う競争が強まる。

 10代女子の心は春の天気。広告でもマーケティングでも「超高速」な変化に対応しなければ、彼女らの心はつかめない。
(二村俊太郎、千住貞保、高橋彩)[日経MJ2018年3月7日付、日経電子版から転載]

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