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学生時代の過ごし方金融庁の尾花祐美さん
「臆せずにチャレンジ!」

学生時代の過ごし方 金融庁の尾花祐美さん「臆せずにチャレンジ!」

 社会人としてキャリアを積んでいる20代の先輩が、自らの学生時代を振り返ります。今回は金融庁の尾花祐美さん(25)です。2017年11月に創刊された庁内報「FSA FUTURE」の初代編集長。FSAとは金融庁の英文表記の略称で、人事改革を進める役所の息吹を発信しようと庁内の取材に飛び回っています。

尾花祐美(おばな・ゆみ)さん 栃木県出身。東京大学経済学部卒、2016年金融庁入庁。最初の配属は監督局総務課で、17年7月から総務企画局組織戦略監理官室。中学の頃は800㍍、1500㍍の陸上部の選手で、今はランニングマシンで汗を流す。映画ファンを自認し、最近のお気に入りはイギリス製スパイアクション「キングスマン」シリーズ

――紙面に対する周りの反応はどうですか。

 「この4月の発行で第6号目を迎えました。コラム形式で幹部のみなさんから職員へのメッセージを届けたり、海外で活躍する先輩職員の声を紹介したりしています。心に残った上司・部下の言葉だとか、サラリーマン川柳ならぬFSA川柳を企画して作品を募り、私たち編集部の独断と偏見でランキングを付けて発表したりもしています。廊下ですれ違ったよその部署の先輩から、面白かったよ、と声をかけられた時はうれしかったですね。金融機関の人から頼まれ、何部かまとめて送ったこともありました」

13人のインタビュー、「ツテなし」で頑張った

 「所属する組織戦略監理官室は新設2年目の部署で、人事改革や働きやすい環境作りを推進する役割を担っています。FSA FUTUREの紙面を通していろいろな職場の魅力を伝えていくことで、組織全体のコミュニケーションが活発になればいいな、と考えています。特別企画のインタビューでは、内閣府の大臣政務官にも快く応じてもらえました。私のような若手が単独で幹部のみなさんから話を聞ける機会はそうそうありません。すごくやりがいを感じています」

――前向きな気持ちがストレートに伝わってきますね。

大学2年の夏に短期の語学プログラムで渡英、現地の大学ツアーで記念撮影

 「高校の頃、新聞部に入っていましたが、掛け持ちの調理部の時間を大切にしていたこともあり、取り立てて言うほどのエピソードはありません。大学時代のいくつかの経験が今の仕事に生かされているのかな、と思っています。思い出深いのは3年生の時のゼミ活動です。夏休みをほぼ使って、女性の起業家に個別インタビューしました。取材相手は1人や2人ではなく、合わせて13人でした」

 「女性の起業家を支援するための政策提言をまとめ、日本銀行主催の小論文コンテスト(日銀グランプリ)に応募しようと、ゼミの4人で取り組みました。とはいうものの、取材先のあてどころか、つてさえありません。まずは、女性起業家向けのシェアオフィスを運営する民間企業を見つけ、その企業が主催する交流会に足を運びました。政府系金融機関の担当部署にメールで問い合わせ、取材先を紹介してもらったこともあります。こちらから見ず知らずの方々に飛び込んでいき、一人ひとり、インタビューのアポを取っていったわけです」

 「女性起業家のみなさんは、はっきりとしたビジョンを持っていて、それぞれの夢や理想に突き進んでいる姿が印象的でした。まねをしたいなあ、と思いました。ところで、120チームが参加した日銀グランプリの結果はというと、決勝進出はかないませんでしたが、わたしたちの論文は佳作の8チームの中に選ばれました。最後まであきらめずに頑張ったかいがありました」

――大学時代のほかのエピソードについて教えてください。

 「1~2年生の時はサークル中心の生活で、茶道部と弁論部に所属していました。弁論部の正式名称は第一高等学校・東京大学弁論部。130年近い歴史を持ち、首相や東大総長など数多くの著名人を輩出している法学部公認の団体です。まじめ一辺倒ではなく、先輩と後輩のつながりが深く、温かい雰囲気に包まれていて、すごく居心地が良かったです」

庁内報の編集長として企画のアイデアを練る

人前で話す苦手意識、弁論部で取り除く

 「弁論部に入ったのは、昔は引っ込み思案で、人前で話すことが苦手だった自分を変えたいと思ったからです。1年生の夏、自ら手を挙げて弁論大会に出場しました。出たい人はどうぞ、といった自由闊達さが弁論部の魅力の1つでもありました。弁論大会では、登壇中の弁士に他の大学から容赦ないヤジが飛んできます。あれには、ちょっとビックリでした」

 「大学で茶道をたしなんだのも、臆せずに新しいことに飛び込もうと考えていたからです。大学の4年間で積極性やチャレンジする心を養われました。庁内のインタビュー取材で幹部のみなさんを前にして、緊張はしますが、落ち着いて対応できています」

――金融庁に就職した理由は何ですか。

毎号1000部を発行。「若手が活躍できる場面の多い役所」と話す

 「わたしたちは、失われた20年と呼ばれる1990年代以降の経済停滞期に生まれ育った世代です。金融機関で働く父親の頑張っている姿を見てきましたが、地域金融の力で何とかなる話ではありません。地域を活性化させるためにはどうすればよいのか。私なりの答えが、金融システムを守り、国の経済を支える土台である金融庁で働くことでした。大学3年の冬のインターンシップに参加した経験が大きかったですね」

 「現在、取材の企画書作りから、実際の取材や記事の執筆、レイアウトや見出しの制作まで、ほぼすべての作業を任されています。写真の撮影も自分でやっています。ひとつのものを作り上げるのは大変な作業ですが、ほかの役所に比べて若手が活躍できる場面は多いのかもしれません。海外関係の部署に配属された私の同期は、国際会議に1人で出席しています。金融庁で働くことの面白さを、国家公務員を志望する学生のみなさんに知ってほしいですね」

――社会人の先輩として、悔いのない学生時代を過ごすうためのアドバイスを聞かせてください。

 「社会人と違って、自分で使える時間はたくさんあります。バイト三昧でも、サークルやゼミ活動でも、海外旅行でも何でもかまいません。臆せずにチャレンジして、これからの人生において、生きがいや趣味につながることを見つけてください」

 「就活にあたっては、周りの情報や動向に振り回されないよう心がけてほしいですね。どこそこのインターンシップで受かった、という話に左右されるのは考え物です。業界研究や会社の説明会に足を運び、自分の目で確かめ、答えを探してください。視野を狭くしないでほしい。思わぬところに思わぬ発見があります」
(聞き手は山本啓一)


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