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ホンネの就活ツッコミ論(56)中小企業か大企業か悩む時期
~メリット、デメリットを整理しよう

ホンネの就活ツッコミ論(56) 中小企業か大企業か悩む時期 ~メリット、デメリットを整理しよう
authored by 石渡嶺司大学ジャーナリスト

 今回のテーマは「中小企業」です。そろそろ大企業の就活が佳境に入り、学生によっては中小企業も検討に入ろうとしています。中小企業と言えば学生によってはネガティブなイメージを持つかもしれません。が、実は結構魅力的な企業もあります。

 では、この中小企業の就活、どう進めればいいでしょうか。そのポイント4点(合同説明会の休憩、社長と話す、企業のアピールポイント、企業の志向)を解説します。

合同説明会の休憩は会場外で

 都市部でも地方でもこれから中小企業が中心となる合同説明会が開催されていきます。その際、お勧めしたいのが休憩は会場外で取る、という点です。理由は簡単で、その方が休まるからです。

ひょうご就職サミットに出展するQ・R・C。高級革靴・鞄のショップを神戸や大阪、東京に展開

 これは、中小企業ないし関連団体が合同説明会の設計について深く考えていない点に起因します。就職情報会社大手の合同説明会、それも東京や大阪など都市部での開催であれば、学生の休憩スペースは採用担当者の立ち入りを禁じています。企業ブースを数社回れば学生も疲れて休憩しよう、と考えるのも無理はありません。そうした学生向けに休憩スペースがあるわけです。もし、この休憩スペースに採用担当者がうろうろしていたらどうでしょうか。学生からすれば休まりません。休まらないなら帰ろうか、となってしまいます。就職情報会社大手の関係者は、学生の合説滞在時間を延ばそう、と工夫します。その一環が休憩スペースの設置、それから休憩スペースの採用担当者立ち入り禁止措置です。この両方を押さえておけば、学生の滞在時間はそれだけ長くなります。

 ところが中小企業関連の合説だと、この休憩スペースがありません。あっても、会場の小ささが災いしてか、「コミュニケーションコーナー」などに変わっています。要するに休憩スペースなのですが、採用担当者の出入りも認める、ということを意味します。休憩スペースから採用担当者の出入りを禁じている中小企業の合説はひょうご就職サミット2019くらいです。

 せっかくの合説、数社と言わずできるだけ多くの企業を回りたいものです。そのためには合説の休憩スペースを当てにするより会場外に一度出て休んだ方が気楽でしょう。なお、休憩スペース以外にも、各種講演や相談コーナー、特典プレゼントなどを設ける中小企業の合説もあります。が、その大半は十分に告知できているとは言えません。気になるコーナーなどがあってもどこにあるのか不明瞭ということも珍しくないのです。もし、気になるコーナーがあれば、当日、会場の受付などで聞くしかありません。そのあたり、就職情報会社大手の合説と違って不親切、と割り切るようにしてください。

 余談ですが4月21日のひょうご就職サミット(神戸サンボーホール/11時~16時30分)で私は講演ないし相談対応をします。それから4月17日のジョブダス就活2019(札幌・北海道経済センター/12時~17時)では相談コーナーに常駐予定です。該当地域の方はお気軽にどうぞ。

あえて社長と話そう~合うかどうかが全て

 二点目はブースを回る際、話しやすそうかどうか、という点にこだわらないことです。大手企業であれば、採用の際に学生が話しやすいかどうかを重視します。その一環として若手社員を採用担当者に起用しますし、あるいは、合同説明会などでもよく登壇します。

大阪労働協会・大阪府主催の大阪ジョブフェアにて。企業のアピールポイントを掲示。こういうのができるイベントも意外と少ない

 一方、中小企業だと、合同説明会で説明するのは社長本人、ということが珍しくありません。社長でなくても役員ないし部長クラスが出るのが良くある話です。学生からすれば若手社員ではなく年配の社長・役員がいるブースには寄りづらいかもしれません。が、そこは中小企業独自の事情があります。社長・役員からすれば「採用は重要だし、若手よりは自分が出なくては」という思いがあります。

 それから、中小企業によっては若手社員が出るのですが、うまく話せないケースが大半です。私も以前、とあるイベントの採用担当者パネルディスカッションに中小企業の若手社員を抜擢したところ、これが大失敗でした。何しろ、企業のことについて話せない、自身の就活も話せない(大してしないまま入社)。これが大企業の若手社員だと自身の就活談や、なくても知人・友人の話も含めて話ができます。企業のことについても話す機会が多く慣れています。中小企業の若手社員だとそうした機会が少ないこともあり、うまく話せないのです。そのため、合説などで先頭に立つのは社長や役員というケースがどうしても多くなります。

 これは学生にとって敬遠すべきことではなく、むしろ歓迎すべきことです。と言いますのも、中小企業の場合、社長の考え方が全てです。全て、とまではいかなくても、色濃く反映していると言っていいでしょう。そのため合説で社長・役員の話を聞いて、合うと思えば選考に参加した方がいいですし、合わないと思えば志望企業候補から外した方がいいです。

 仮に条件が良くても、フィーリングが合わないとやめた方が無難です。もし企業規模が大きければ、仮に社長とのフィーリングが合わなくても、逃げ場はいくらでもあります。何しろ企業規模が大きいので社長とそこまで接点を持たなくても済みますし。ところが中小企業だと社長が先頭に立って動いています。当然ながら社長の考えは相当反映されます。ここで社長と考えが合うかどうかが左右します。

 もし、考え方が合わないといくら好条件の企業であってもフィーリングの合わない社員からすればブラック企業となるでしょう。もちろん、その逆ということもあり得ます。このフィーリングを確かめるうえでも社長と話すことは重要なのです。

企業の魅力は探し出すくらいの気持ちで

 3点目は中小企業の魅力です。大手企業は採用予算をかけていることもあって、企業の強み、アピールポイントの出し方が洗練されています。一方、中小企業は、意外と自社の強みをアピールできていません。これは採用のサイト・パンフレットだけでなく合説のブースの飾り付け、話し方なども同様です。

 中小企業の大半はビジネスの対象が学生ではありません。そのため対学生のコミュニケーション能力は学生が思っているほど高くはないのです。そこで学生は面倒であっても企業側の魅力を聞き出す必要があります。もちろん、中小企業の中には自社のアピールポイントをうまく話せる企業もあります。それはそれでラッキーと思ってください。

中小企業と一口に言っても差がある

 4点目は、中小企業とひとまとめにしないことです。学生が中小企業と思い込んでいるところの中には、実はそれほど規模が小さくない、というところもあります。従業員規模が500人から1000人程度の企業だと、数千人ないし1万人の企業に比べれば小さいでしょう。が、実はこの規模の企業だと、業界トップクラスというところがゴロゴロあるのです。もちろん、企業によっては500人未満のところでもあり得ます。

 従業員規模だけではありません。企業の方向性も同じです。中小企業の中には、儲かっているのにあえて拡大を目指さないところもあります。一方で、現状では中小企業であっても上場を目指しているところもあります(もちろん、上場できるだけの利益を出しています)。前者であれば、本社所在地から動こうとしません。が、後者だと地方企業だと東京や大阪などにもビジネスを広げようとします。

 もし、大手企業志望だった場合、拡大志向のある中小企業だと近い働きができます。一方、地元から動きたくない、とする学生だと拡大志向のない中小企業の方が向いています。どちらが向いているか、これは合説や個別説明会などで聞いていくしかありません。

 中小企業を志望するうえで気を付けたいポイントとして4点まとめました。学生が考えている以上に魅力ある企業は中小企業にもあります。これから開催される合説や個別説明会などから探してみてください。