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シェア経済、なぜ拡大? 所有欲少ない若者増える

シェア経済、なぜ拡大? 所有欲少ない若者増える
民泊は個人宅以外にも広がりつつある(寺に宿泊したタイ人の旅行客。岐阜県高山市)=浅原敬一郎撮影

 自動車やホテルなどの「シェアリングサービス」が世界中で広まっているそうね。日本でも2018年6月に民泊ビジネスが解禁されると聞きました。シェア(共有)経済はどこまで広がっていくの?

 シェアサービスについて、小川めいこさん(46)と酒井あすかさん(41)が奥平和行編集委員に話を聞いた。

――シェアサービスが話題だけれども、世界でどれだけ広まっているの?

 シェアサービスの厳密な定義はありませんが、「個人が保有する遊休資産をインターネットを通じて他者も利用できるサービス」というのが一般的な理解です。ただし、貸し手が個人ではなく企業となっている一部のサービスも含めるべきだという見方もあります。

 この分野のサービスで有名なのは、一般のドライバーが移動サービスを提供するライドシェアの米ウーバーテクノロジーズと、民泊仲介の米エアビーアンドビーでしょう。両社とも10年ほど前に誕生した企業ですが、ウーバーは1日の乗車回数が1500万回にも及ぶ世界屈指の"タクシー会社"に、エアビーは登録物件数が450万を超す巨大"ホテルチェーン"になりました。最近では中国企業の躍進が目立ち、ライドシェアでは滴滴出行が大手に成長しています。自転車のシェアサービスは中国発といえます。

 これほど急拡大したのは、スマートフォン(スマホ)の普及が大きいでしょう。スマホにより位置情報の利用や本人確認が格段に便利になりました。「ミレニアル世代」と呼ばれる若年層を中心に、モノの所有にこだわらない風潮が広まっていることも見逃せません。

――日本ではどうなの?

 市場が拡大しているのは確かです。18年6月に住宅宿泊事業法(民泊法)が施行され、一般の住宅の空き部屋に旅行者が有料で泊まれるようになります。法的にグレーだった民泊も、市民権を得ることになります。関連事業に参入する企業も多く、例えばリクルートホールディングスはエアビーと提携し、空き室の賃貸物件を民泊で活用できるようにする事業を検討しています。

 一方、ライドシェアは法律の壁があり、日本ではごく一部の例外を除いて実現していません。タクシー業界も強く反対しています。ウーバーも日本でライドシェアの展開を望んでいましたが、タクシーの配車サービスを優先する意向のようです。

――シェアサービスは今後、どう発展するの?

 今はクルマや部屋といったモノのシェアが目立ちますが、時間や知恵といった"無形物"の貸し借りに拡大の余地があります。家事の代行、語学のレッスン、デザインやプログラムといった専門業務など、様々な能力をシェアするサービスが普及しそうです。

 シェアサービスは参入障壁が低いのが特徴です。売り手と買い手を結びつける仕組みは今ではパソコン1台あれば作れますし、スマホのアプリを世界に配信するのも容易になりました。アイデア勝負ですので、大企業よりも機動力のあるスタートアップ企業の方が有利かもしれません。

――シェア経済が広がるなかで課題はないの?

 まず挙げられるのは利用者の安全と安心をきちんと確保することです。ライドシェアや民泊はサービスの提供者と利用者が互いに評価する仕組みでサービスの品質を維持していますが、それでも海外ではトラブルの事例が聞かれます。また需要を奪われる既存の事業者が出てくることも忘れてはなりません。

 どの組織にも属さないフリーランスの働き手が増えることも予想されており、こうした人たちの社会保障や福利厚生をどう守るのかも課題といえます。

 これからも新しいサービスが次々と生まれ、シェア経済が世界中で拡大していく余地は大きいとみています。既にあるルールでは想定していなかったサービスが登場して一時的に混乱を招くことがあるかもしれませんが、関係者が知恵を絞って様々な利害関係者の間の調整を進めることが大切です。

■ちょっとウンチク
社会課題解決の視点欠く
 ライドシェアを提供する企業は日本を最難関市場のひとつに位置付けている。約80の国や地域に進出した米ウーバーテクノロジーズのトラビス・カラニック前最高経営責任者(CEO)が以前、社員との懇談で「夢は日本でのライドシェアの普及」と話したほどだ。
 だが、現役のタクシーの運転手に話を聞くと様子はやや違う。ライドシェアを嫌う一方、運転手の確保が難しくなっているという声もあがる。過疎化が進む地方での交通網の維持も含め、労働人口の減少や少子高齢化という社会課題の解決にどうシェア経済を活用するかという視点がもっとあってもいい。

(編集委員 奥平和行)[日本経済新聞夕刊 2018年3月12日付、NIKKEI STYLEから転載]

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