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海外で働くヒント(7)「20代こそバーで飲もう」
社会で一目置かれる飲み方とは

海外で働くヒント(7) 「20代こそバーで飲もう」社会で一目置かれる飲み方とは
authored by 小嶋冬子KOVAL Distillery

 大学の新入生歓迎コンパのシーズンに合わせ未成年の飲酒が損ばかりであると書いた前回に続いて、今回は最近お酒を飲み始めた20代の方向けにお酒とのつき合い方を、若い人にブームになっているウイスキーを例に書いていきたいと思います。

 皆さんは、ウイスキーは強くて飲み辛いお酒であり、バーに対しても敷居が高いと感じていませんか。私自身も、留学していたスコットランドでウイスキーを飲めるようになるまでそう思っていたことでした。ウイスキーの嗜み方なんて全然分からなかったのです。

 しかし、飲み方さえ気をつければ、驚きに満ちていて、想像以上の多様性があるウイスキーの魅力がわかるので。例えば、ウイスキー愛好家の人たちは、その薫りや味わいを「花のよう」「甘い草の香り」という自然や「オレンジ」や「チョコレート」、「蜂蜜」といった食べ物で表縁します。表現の幅は広く、豊かで、聞いているこちらが、思わずグラスを傾けてしまいそうになるほどのものです。

ウイスキーってどんなお酒?

 まず、お酒には大きく分けて醸造酒と呼ばれるものと、蒸留酒と呼ばれるものがあります。ワインや日本酒、ビールが醸造酒にあたり、細かくした穀物やフルーツといった原材料をお湯などと混ぜ、おかゆ状にしていき(これが糖化と言われるもの)、それを一定の温度で発酵させたものです。原材料の中にある酵母成分を温めたりすることによって、アルコールと炭酸ガスを生み出すことができるんです。そして、この原材料と言うのは、ワインではブドウ、ビールではホップや大麦といったものが使われています。

 一方、ウイスキーやジンなどの蒸留酒はその醸造酒を蒸溜したものになります。蒸溜とは、発酵した液体を、釜のような機械で(蒸溜機といわれるものです)更に加熱させて、蒸気にしてアルコール分と香料のみを取り出し、ある一定の部分で温度をさげ、蒸気を液化させることです。なので、ウイスキーに関しては大麦などの穀物を糖化、発酵させ、蒸溜、そして最後に樽で熟成したものになります。簡単に説明をすると、ウイスキーというのは上記のような方法で製造されています。

香りの変化を楽しむ

香りの変化を味わう

 これまでウイスキーは、熟成年数や樽の種類で味わいが判断されがちでした。素人の私がウイスキーを飲みだした頃は、熟成年数が高ければ高いほど、それだけ高価だし、美味しいとばかり思っていました。しかし、必ずしもそうではなく、現在では熟成年数だけでなく、原材料ごとにウイスキーを製造している蒸溜所があったり、蒸溜機を伝統的なものではなく、今までにはない新しい機材でウイスキーを造る蒸溜所など、様々な個性をもったウイスキーを楽しめるようになっています。そのため最近では、熟成年数や熟成された樽の種類の味わいに縛られず、今まで以上に個性豊かなウイスキーの中から自分の好きな味わいを探ことができます。

 一般的に、ウイスキーと聞くとハイボールを思い浮かべますよね?しかし、それ以外にも様々な飲み方があります。

一気飲みはもったいない

 ただ、飲み方を説明する前に、私の大学生の頃の経験から、皆さんにやめて欲しい一気飲みの話からします。私が大学生の頃は、一気飲みをするような飲み方をする人が多くいました。これは本当に危険な飲み方だし、お酒自体嫌いになってしまう人も沢山いるはずです。しかも、一気にのんだりしたら絶対にもったいないんです!(そこ?って同世代の人には言われますが)。 その理由は、ウイスキーの特徴にあります。

 ウイスキーはグラスに注いだ瞬間の味わいと、飲み終わるときの味わいには、違いがあります。これはウイスキーが空気に触れたりすることによって、その味わいや風味に変化が出てきます。そして温度が少し上がるとその香りが更にひらいてきます。その変化をゆっくりと楽しむことが出来るのは、何も割らないで飲むストレートならではのことです。だから、私はストレートで飲むのが好きです。度数自体は強いお酒なのでチェイサーとしてお水を少しずつ飲みながら無理なく自分のペースで飲んでみてくださいね。

 その他、よく知られている炭酸水を入れるソーダ割りや、水割り。氷を入れてのむロックスタイルや、水とウイスキーを1対1で割るトワイスアップとよばれる飲み方もあります。ウイスキーによって最適な飲み方は変わってきますが、飲み方に関しては、お酒の詳しい人に聞いたり、バーにいく機会があれば、バーテンダーの方に教えてもらったりするのが一番です。

 私がウイスキーを本格的に好きなり、飲みだしたのは21歳の頃で、ちょうどスコットランドに留学した時です。以前の記事にも書いた通り、留学した街はスターリングという小さな街でした。しかしその街には、ウイスキーを飲めるパブが沢山ありました。そこで出会った現地の学生や人々と、ウイスキーを飲み交わしながら、充実し、経験したこともないような満たされた時間を過ごしていました。この時間が私とウイスキーを強く繋げるきっかけとなりました。

大人は「思い出」でも飲む

ウイスキーを飲むとスコットランドのこと思い出す

 留学が終わり、日本へ帰国後、スコットランドでの時間を恋しくないと思ったことは一度もありませんでした。そんな時は、少しウイスキーを口に含み、寂しい気持ちを紛らわせていました。そのウイスキーの香りで、スコットランドで出会った大好きな人達のことを思い浮かべ、その時の気持ちに戻ることができ安心することが出来たのです。

 「記憶を呼び起こすのは、嗅覚を刺激することが最も効果的」と聞いたこともあり、留学から何年も経った今でも、私は、ウイスキーの香りから、スコットランドへの気持ちを馳せることができます。その度に、頑張ろうと思い、つらいことも乗り越えていけるような気がしています。

 そして、私が出会ってきたウイスキーを飲む人達は、大切な思い出と一緒にこのお酒を飲んでいる人たちが多く、どこかで出会った人の事を思ったり、忘れられない場所だったり、いずれにせよ、ウイスキーとは大切な思い出をしっかりと思い出させてくれるお酒だということに、私は惹かれてやみません。年数が経つにつれ、より深くなっていく思い出と、ウイスキーの熟成年数からくる色濃く、どこまでも深い味わいと重ねられるからかもしれません。

 ウイスキーをゆっくりと飲むスピードに比例して、自分の大切な思い出を辿っていける、そんなことが出来るのはウイスキーだけだと思うからです。もちろん、私はビールもワインも日本酒もホッピーも大好きですが、私にとってウイスキーとは、特別な存在です。

 次にウイスキーなどが飲むことのできる場所、バーとのつき合い方をご紹介致します。皆さんは、今までどんな場所でお酒を飲まれてきたでしょうか。ビールやハイボール、もしくはチューハイなどを出す居酒屋や、人がたくさんいる居酒屋だと思います。ここではもちろん、手軽で沢山飲める分、お財布にも優しいのでそれなりに楽しむことが出来ますよね。しかし、バーではどうでしょうか。イメージ的にはなんだか堅苦しそうなイメージで、バーに行っても何を頼んだらよいか分からないという人が多いですよね。でも、これを理由にバーに行かないとなると、少しもったいないのです。何故なら、バーで経験できることは予想以上に多く、そして深いという理由があります。

バーは安全なお酒の学校

 バーに来る人は、どんなイメージがありますか?なんとなく、お金持ちの人、大人の人、強いお酒が好きな人、...色々なイメージがあると思いますが、バーに来ている人は皆がみんな、そういった人たちだけではありません。むしろ、おいしいカクテルを飲みに来ている若い人や、そのバーの静かな空間でお酒をゆっくり飲みながらリラックスしているひと、そして、何を頼むのか決まっていないひとは、たくさんいます。私もその1人です。ウイスキーやジンに関しては、初めは銘柄がありすぎて何を頼んだらいいか分かりませんでしたし、実際に今でもそうなのです。

 最近では、お酒を教えてくれる人がいないから、お酒で何を飲んだらいいか分からない、ましてやその飲み方なんて、どんな方法が自分に最適なのか分からないですよね。自分の親世代では、そういったことを教えてくれる人が沢山いたと聞きますが、最近ではそんな人、中々出会えませんよね。

 私は、お酒をもっとも安全に、最適な方法で飲むことができるのは、手軽な居酒屋でもなく、友達の家でもない、バーだと思っています。

 最も多い、オーセンティックバーと呼ばれる、いわゆるお酒が沢山あり、それを基にカクテルなどもつくることが出来るバーテンダーのいるお店では、基本的に置いてあるお酒のことはバーテンダーの方が把握しています。例えば、何を頼んだらよいか分からないのであれば、その時に飲みたい味わいを伝えると、ピッタリのカクテルを出してくれます。すっきりしたものが飲みたいとか、クリーミーな味わいのカクテルが飲みたいなど、お酒の味わいから度数の強めがいい、弱めがいいなどを伝えて大丈夫だと思います。基本的には、何でもリクエストに応えてくれます。

 そして、私のようにウイスキーを飲みたいと思ったら、カクテルと同様にお勧めを聞くのが最適です。バーテンダーはお酒のプロ。幅広い商品知識の中から、最適なものを提案してくれます。そして、たくさん飲ませるようなことはしません。ですので、分からないことは何でも安心して頼ってみましょう。快く教えてくれる方がほとんどです。

きれいに飲むことがおしゃれ

 冒頭でバーには敷居が高いイメージがあると書きましたが、実際にはそんなことはありません。さきほど書いたように、安心して美味しいお酒を楽しめますし、バーのような静かな雰囲気でお酒を飲むという事は、なんとも言えない充実した時間を過ごすことができます。

 何よりも、「お酒を綺麗に飲める人」って素敵だと思いませんか。今春、就職した方で、歓迎会といった飲み会で酔っぱらって潰れた人はいませんか。お酒の席だとはいえ、そんな場面を上司や同僚に見せてしまうのは恥ずかしいことです。そのような人は、次からお酒の席へのお誘いが来なくなるかもしれません。お酒の席での態度が、仕事上、自分への評価の判断材料の1つになり得るということを考えると、どんな理由があっても、会社の人の前で泥酔するのはあまり良いとは言えないですね。

 しかし、逆ならどうでしょうか。お酒を綺麗に飲むことができるひとは、仕事でも、プライベートでも自分をコントロールできる人が多い印象です。お酒を綺麗に楽しむことができると、周りの人からも飲みに誘っても潰れることのない人と思われ、結果として様々な面で良い方向につながると思います。

 ここまで書いてきましたが、少しはウイスキーやバーに興味をもって頂けましたでしょうか?バーにいくことができれば、より質の高い時間を過ごすことができます。そして、いつも飲んでいるはずだったハイボールですら、驚くほど上質に、美味しくいただけるのが、バーという場所でもあります。

 お酒と上手につき合いたい学生や新社会人の方、機会があればバーに足を運んでみてください。そして、私をどこかで見かけたら、是非声を掛けてくださいね。