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新社会人のSNS術 公の場の意識を

新社会人のSNS術 公の場の意識を

 入社式を終えビジネスマナーや専門技術を学び始める新社会人のみなさん、交流サイト(SNS)を学生気分のままで使っていませんか。仕事でも対話アプリなどで取引先や上司とやりとりすることはあるが、会社を代表する1人のビジネスパーソンとして注意点は多い。実際にどんなリスクが潜んでいるかを探ってみた。

 「SNSをやめてくださいとは言いません。あくまでツールとして上手に使ってもらいたいと伝えています」。ネット上のリスク検知サービスを提供するエルテスの企業向け研修担当者、小高健士氏はこう話す。

 研修ではまず実際にSNSで炎上した例を見せている。ネット上に一度載ってしまったモノは消すのが困難だということを理解してもらうためだ。

 例えば小売店で従業員がふざけた写真や動画を投稿して炎上したケース。元の投稿を削除しても拡散されてしまった投稿はスクリーンショットなどで残る。

 炎上した場合、本名や学校、住所などが特定されて拡散される例が多い。投稿を削除しても本名で検索すると数年間、炎上した内容がネット上に残る。ビジネスや転職活動、結婚にも影響する恐れもある。炎上を起こした人は、結果的に引きこもりになることもあるという。

 20代の新入社員の大部分は学生時代をSNSとともに過ごし、私生活の内容を公にすることに抵抗が少ない。ささいな投稿で会社に大きな損失を与えかねないことを考える必要がある。

 ではSNSの投稿での注意点は何か。小高氏は「まずは鍵をかけて知人しか見られないように設定する」と助言する。

 フェイスブックなどに勤務先を登録している人は多く、このリスクは大きい。顧客や機密情報、著作権や肖像権に触れるもの、過度に批判する投稿は避けた方がいい。「人権や性別、政治や宗教など批判を受けやすい投稿も注意が必要だ」(小高氏)。趣味に関しても偏見を持たれる可能性があるものは注意した方がいい。

 SNSで自らの投稿が炎上して仕事に影響が出る可能性がある場合、まず上司にすぐに相談しよう。企業の一員であることを自覚し、1人で解決しようと思わないことだ。

 社内や取引先と「LINE」や「SMS」といった対話アプリで会話するビジネスパーソンは多い。この対話アプリでもビジネスマナーに注意した方がいい。

 電話やメールをあまり使わない企業も増えるなか、相手が対話アプリを好んで使う場合、最初は丁寧な対応を心がけ少しずつ相手に合わせて調整する。仕事上はメールと同じようなマナーにした方が無難だ。

対話アプリで連絡する場合、最初は丁寧な文面を心がけた方がいい

 ディー・エヌ・エー(DeNA)は2017年から従業員同士の連絡に対話アプリ「スラック」を使っている。同社の担当者によると「常識に考えて道徳観などに反するものは禁止されている。また社外の人が入るチャンネル(グループ)は名前を明確にし、社外秘の情報を漏らさないようにしている」という。

 スラックでどこまで業務連絡をしていいかは部署や上司によるケースが多いが、「多くの社員が遅刻などの業務連絡や打ち合わせの相談などをスラックで行っている」(担当者)。ゲームの協業先など取引先にITやスタートアップ企業が多いため、社外の人とスラックで連絡することも多い。スラックで連絡する利点は、メールの定型文なども省くことができ迅速にやり取りができる点だという。

 SNSや対話アプリはリスクが潜む一方で、便利な機能が多くビジネスパーソンにとって重要なツールだ。自らが勤める会社や取引先によって使い方は様々だが、SNSが公の場であることを念頭に置き上手な使い方を身につけよう。

「会社の代表、自覚が必要」

(プリンシプル・コンサルティング・グループの秋山進社長)

 新社会人となったビジネスパーソンがSNSを使う上で注意すべき点は何か。コンプライアンス研修などで講師をするプリンシプル・コンサルティング・グループ(東京・港)の秋山進社長に聞いた。

 ――SNSにどんなリスクがありますか。

 「SNSの炎上問題は11年ごろから出てきた。飲食店やサービス業のアルバイトや従業員による芸能人などのプライバシーを侵害する投稿や過度にふざけた内容の投稿などが多い。ただ正社員が重要な機密情報を漏らしてしまう危険性も増えている」

 ――機密情報を漏らさないための注意点は。

 「居酒屋などで社内の人間と話す分には問題ない内容でも誰が見ているかわからない。そのような投稿はしないことが重要だ。SNS上での投稿は拡散の恐れがある。SNSの公開範囲を友人限定にするなどの設定も気をつけるべきだ」

 ――学生から社会人になった時に気をつけることはありますか。

 「学生の時は許されたことでも社会人では許されないこともある。社員は外に出ると会社の代表であるという自覚が必要だ。公私のけじめをつけ、SNSは公の場であることを意識すべきだ」

 「企業が社員に対し、この点を教育する必要がある。法律に触れないことは当然だが、プライバシーや人権にかかわる投稿への注意などは新入社員にかかわらず、どの年代の社員でもできていないことが多い。マネジメント層に社内の規定を理解しているか、若手の社員に説明できるか、研修などを通して確認し教育する必要がある」

 ――ツイッターやフェイスブックでは見た投稿を他の人に「シェア」する人も多い。

 「シェア文化はポジティブな面とネガティブな面がある。自分の友人の範囲内で投稿したつもりでも誰かが拡散することもある。第三者に会社などを特定される危険性もあるので固有名詞などは投稿しない。誰に見られても問題のない内容の投稿にすることが重要だ」
(企業報道部 桜井芳野)[日経電子版2018年4月3日付]

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