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目指せソーラーカー世界一(2)カメラを手に3000キロ 
メディア班、もう1つのレース

目指せソーラーカー世界一(2) カメラを手に3000キロ メディア班、もう1つのレース
authored by 工学院大学ソーラーチーム

 初めまして、工学院大学ソーラーチームメディア班所属の大原広暉です。今回は、私たちソーラーチームのメディア活動を紹介します。これから本格的にカメラをやってみようかなと思っている方にとって「良い写真」とは何かを考える機会になればと思います。

サンセット
世界大会のキャンプ地でのサンセットの様子

大規模なプロジェクトの中でPDCAを高速で回す

 チームのメディア活動方針は主にメディア班と濱根監督で相談し決定しています。メディア班は大学やチームスポンサーのため、チームの認知度の向上、社会貢献を主眼に置いた活動をしています。また、学生のみで構成されていることおよびチーム設立から10年くらいのこともあり、比較的若いチームでとても自由に活動しているというのが実感です。

 活動内容は大きく分けて、(1)撮影・編集(2)SNSの活用(3)宣伝物の作成――の3つがあります。普段はチームの活動を撮影し、編集した写真や動画をコツコツとfacebookやtwitterにあげることを主としています。

・工学院大学ソーラーチームFacebook:https://www.facebook.com/KGUsolarcar/
・工学院大学ソーラーチームTwitterユーザー名:@KGU_Solar_Car

2018年度新歓用の卓上POP

 最近では2018年度の大学新入生歓迎会に向け、キャンパス内に設置するポスターや配布用のビラ等のデザインを担当しました。今年初めてメディア班が担当し、製作物作成のルールなどで少し悩む点もありましたが、3日間で合計30近くの案を出し合い、一人ひとりのアイデアと、チーム全体の意見を合わせ、ベストなものを仕上げることができました。

 ここまでで、「なんだ、大したことやってないじゃん」と思われた方もいるかもしれません。確かに、もっとマーケティング活動をしてWin-Winの関係ができるスポンサーを見つけるとか、まだまだできることはありますが、メディア班が最も密度が高い活動をするときがあります。それは、国内大会やオーストラリアで行われる世界大会の時です。


3000km縦断して僕が学んだメディアスキル

 2年に一度開催される世界大会、ブリヂストンワールドソーラーチャレンジ(BWSC)に、僕は去年初めて参加しました。前回の記事でもお伝えした通り、この大会には20を超える国と地域から約40チームが参戦しており、オーストラリアを縦断する最も過酷なソーラーカーレースの1つです。

 "初めて"を言い訳にするのは嫌いですが、大会のレギュレーションやオーストラリアの法律などを一から調べなければならなかったのが想像以上に大変な作業でした。ドローンで撮影するために必要な申請は、いつ、どこで、何時から飛ばすのかなど、敵チームにリークしてしまったら不利に働く情報もあったので色々と工夫して対応しました。

 さらにこの大変さに追い打ちをかけたのが現地の環境です。例えば、ポート・オーガスタという都市では海風が強く、当時チームで持っていたマイクで撮影するのは、風の音をひろってしまうため厳しいとか、大陸の真ん中を通過する日はWi-Fi環境が整っていないため、グーグルマップ上に登録しておいた撮影スポットを事前にオフラインで使えるようにしておかなければならないことなど、想定外の状況を大会の2カ月前に知り、急ピッチで対応しました。さらに、機材の準備に加えて、グーグル・マップのストリートビューで3000kmのコース上にある撮影ポイントを探すのがものすごく大変で、仮想でレースコースを体験した感じでしたね。とっても長かったです(笑)。

数えてみたら200近くポイント地点を打っていた

 ついに現地入りし、最初に各国の出場チームを見かけた時は、豊富な撮影機材に圧倒されました。

 ドローンなんて当たり前で、街中で見かけることがあるグーグルカーについている360度カメラのような機材を持っているチームもあり「すごい」としか思いませんでした。

メディア班一同が尊敬する佐々木さん

 ただ、冷静になってみると、良い機材を持っているから「良い写真」が撮れるわけではないです。

 そのことを実際に教えてくださったのが、チームに帯同し、チームでシェフ&カメラマンの役割を担当された佐々木さんです。

佐々木さんが発した「主役にする対象物をよく観察し、素直な気持ちで撮ること。これが大事」。この言葉が今でも心に残っています。そのため現地滞在中は、工学院大学だからこそ、このメンバーだからこその写真や動画を取ろうと必死になりました。

予選の時、スタートラインまで向かっているチームの車体とメンバーで「出陣!」を表した
路面のデコボコ具合を表現したくて、さらに奥行きを持たせた写真。道路と空の比率が整っていなくても良さを感じる

 また、レース期間中、その日ごとの動画制作は他のチームがどこもやっていなかったので、情報提供のスピードで一番になろうと昼間に撮影し、夜通しで編集し、翌日の早朝に約1時間かけて動画をアップする作業を6日間行いました。その時は眠気と疲れでしんどかったですが、振り返ってみると「良い思い出になってよかった」という典型のパターンです。

秘密裏にミーティングをしている感じを表現したかった。木の間に主役の車体を入れることで強調され、地面とメンバーの並行さが良い感じに
動画を編集中(右端が筆者)

走り出すwingを追いかけながら撮った

さらに発展するために

 レースが終わった後、1日オフがあり、ゴール地点となったアデレードの街中を観光しました。一番面白かったのはアデレード動物園です。動物が展示されているエリアで、その動物が生活している故郷を想像できるくらい自然を感じられるような工夫を凝らした展示方法で飼育されている点に感動を覚えました。何よりも動物たちが生き生きしていました。あんなに竹を豪快に食べるパンダは見たことありません(笑)。

 そして、大会が終わり、徐々に他チームの世界大会の結果を伝えるメディア活動が盛んになっていく中で、帰国後彼らの動画や写真を見て、そのクオリティーの高さにまた「すごい」と驚かされました。しかし、このときは「今度はすごいって思っただけではなく次頑張ってみよう」とか、「ここは見習っていきたいな」という思いが自然と沸いてきました。これも、「良い写真」の極意の1つを佐々木さんから教えてもらったからだと思います。チームのメディア班としては、自分が好きと思った技法に留まらず、その画を見た人に撮影した際の背景やストーリーが伝わるような「素直な主役の姿」を撮ることが求められるのかなと、気持ちを新たにし活動しています。