日本経済新聞 関連サイト

OK
career-働き方

就活リポート2019(10) 首都圏企業が注目し高い内定率
地方大の東京就活組の悩みとは

就活リポート2019(10)  首都圏企業が注目し高い内定率地方大の東京就活組の悩みとは
authored by 佐久間大地方のミカタ

 NHKニュースによると「5月1日時点で就職内定率は42.8%(リクルートキャリア調べ)」でした。一昨年が25%、昨年が35.1%と、年々5月1日時点での内定率が上がってきています。そのなかで、地方大学から東京に来て就職活動している学生の実態はどうでしょうか?

 まず、弊社が運営している「就活シェアハウス」の昨年の2月から6月までの稼働状況をご紹介したいと思います。地方のミカタの利用者は、地方国公立大学の学生が6割強です。テストやレポートの関係上、上京できるのが2月14日のバレンタインデー前後になることが多く、そこから4月までの稼働率は常に90%前後と、満室状態が続きました。4月からはゴールデンウィーク(GW)だけではなく、履修登録の手続きや必修の授業、ゼミなどで大学へ戻る学生も増え、徐々に稼働率が低下しました。経団連企業からの内定が出る学生が増えた6月は稼働率が約30%程度でした。

内定率10ポイント高く

地方のミカタが運営する就活シェアハウスでの様子

 つまり、東京就活組の7割の学生は、6月までに就職活動を終了した計算になります。同時期の全国の内定率が61.9%(リクルートキャリア調べ)だったことを考えると、東京就活組の地方学生の方が、約10ポイント高い結果となりました。

 今年も同様に国公立大を中心とした地方大生の東京就活組の内定率は全国平均を上回っているものとみられます。

 ではなぜ、東京就活組の地方学生の内定率が高いのか?これは企業の採用側面を紐解く必要があります。一昔前は、地方支社へ配属するための現地採用として、地方採用を行っておりました。5,6年前からは、「首都圏だけで母集団を集めきるのが困難」ということで、東京勤務の求人募集を地方へ出向いて採用活動をする企業が増え始めました。当時は、仙台、名古屋、大阪へ出向くことが主流でしたが、その後、札幌や福岡までエリアを拡大する企業が増加しました。地方の学生は東京の企業と出合うことが少なかったこともあり、先んじて地方展開を実施した企業はその恩恵を受けました。しかし、札幌や福岡へ出張採用する企業のさらなる増加に伴い採用イベントも多く行われるようになりました。

 地方のミカタの調査では、地方学生の就職地域の志向としては、地方大都市がメーンで、東京で就職する人は1~2割と少数派となります。しかも、東京で就職をした学生の優秀さに気づき、積極的に東京就活組を狙う企業もベンチャーを中心に増えています。それが、ここ2~3年の「地方からわざわざ東京に出てきて就職活動をしている学生を採用したい」というニーズが顕在化した理由です。

地方大生、秋冬インターン参加困難

地方大生の東京就活組だけが集まるイベント「就活カーニバル」

 しかし、採用活動におけるインターンシップの重要性が増したことで状況は変化しています。企業は主に大学3年生を対象にしたインターンシップの開催を通じ学生の母集団形成を進めています。しかも、サマーインターンシップに参加した学生だけが参加できるイベントや懇親会、秋冬のインターンシップ、といった「フォロー」も充実させています。その結果、サマーインターンシップに参加しやすい首都圏の学生と地方の学生の情報格差や機会格差が一気に広がりました。就職活動でいう成熟度の差の値が、より大きくなった印象です。

 特に10月~1月の期間に実施されたインターンシップは、上京するための「距離と時間」が大学の授業と衝突し、高いハードルとなりました。また地方学生は4年生の前期を就職活動期間にするため、3年生の後期に出来るだけ単位を取る傾向があります。真面目で戦略的な学生であればあるほど、秋冬のインターンシップに参加できない、構造上の問題が露見しました。

 とはいえ、2~3月に選考する企業も増えたことで、地方学生の東京就活組の3,4月の内定率は結果的に上昇しました。今年もGW明け頃から内定を承諾した、という話が増えており、東京就活組の就職活動は5月末現在で最終章となっています。

実家に帰る回数減る? 女子学生に不安

 ただ、そうした就活の早期化もあってか、内定を複数社もらった学生からの相談が増えています。相談内容で多いのが①内定を承諾していいかふん切りがつかないので、企業分析をして欲しい。②学歴コンプレックスから来る大手企業への憧れが捨てきれない。③内定先企業に家族が納得してくれない。の3点です。

 1つ目の相談は、新卒紹介サービスを使ってエージェントに紹介された場合が多いです。学生自身でしっかりと情報収集をして企業を選べてないので、内定をもらってから他の企業と初めて比較して、条件面で不安になる学生が陥りやすいです。

 2つ目の相談は、旧帝大に行けなかった地方国立大学に通っている学生が、就職活動で学歴コンプレックスが顕在化するパターンです。大企業への憧れが志望理由になってしまうものの、ベンチャー企業からも内定をもらっている場合が多く、「人生に悩んでいます」といった切り口で相談されます。

 3つ目の相談は、家族に公務員がいる女子学生で内定先が大手企業以外の場合に多い相談です。東京での一人暮らしで、実家へ帰る回数が減ることと、事業内容を理解出来ない不安が重なりストレスとなって子供と衝突してしまいます。

 いずれの相談も「悩んでいる事自体は正しいこと」と伝えた上で、問題を複雑に考えずに一つ一つのブロックに分解して解決していくように伝えています。問題をノートに書き出して、その属性に近いものをグループ化することで整理ができます。

 全ての学生に言えることですが、100%自分に合っている企業を探すことは不可能です。最後は自分自身で「決断をする」ことが、就職活動の一番の醍醐味であり、大切な社会人の一歩へと繋がります。