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career-働き方

人事部の視点(12)内定はスタート前の準備運動期間
大事なのは自分と向き合い続けること

人事部の視点(12) 内定はスタート前の準備運動期間大事なのは自分と向き合い続けること
authored by 日経カレッジカフェ×人事部

 こんにちは。株式会社モザイクワーク取締役COOの髙橋実です。モザイクワークは企業の採用コンサルティングを行っている会社です。今僕は、モザイクワークのほか、2社で人事の仕事に携わり「本気の複業」を行っています。

 さて、皆さん、このコラム「ドブの1円、拾えんのか」ご覧になりましたか?社会に出て、30歳になった筆者の方が、就活・これまでのキャリアを振り返って「4つの後悔」を書かれた面白いコラムです。特に僕の中では「周りに自慢できる企業の内定ラベル集め」という視点は納得しました。皆さんのちょっとだけ歳が上の、社会に出てみた人が感じたコラム。興味がある人は是非読んでみてください。

企業の"ネームバリュー"は誰もが気になる

 ここ数年の就活マーケットはいわゆる「売り手市場」。でも、こういう環境の時には、企業は採用人数を確保しなければならないので、採用基準が甘くなりがち。学生の皆さんは内定がとりやすいのでチャレンジしやすい。一見とてもいい環境に見えるし、内定をたくさんもらう人もいるでしょう。

 でも、逆にこういう時だからこそ気をつけねばなりません。企業も学生も、お互いにマッチングの精度が甘くなりがちだからです。周囲の声に流される罠に陥りがちなのは、むしろこういう時なのです。

 人間誰しも体面は気になるものです。僕は新卒で、当時はそれほど人気のなかったクレジットカード会社に入社しましたが、大手志向が強かった時代なので、とても肩身が狭かったし、正直、周囲の声に心が揺らいだこともありました。でも、最後は「自分らしく」できそうな会社に入ると決断しました。

自分らしさはどこにあるのか

 大手企業やネームバリューのある企業に行くのは悪いことではありません。大手企業に勤めていれば、ビジネスの規模は大きいし、クライアントは企業ブランドを評価し、仕事がもらいやすいのは事実です。企業の看板で仕事はできる。でも一方で、自分の代わりができる人は周りにはたくさんいるし、競争もとても激しい。異動してやっていた仕事から離れてもあっという間に自分の仕事は他の人に取って代わられるし、僕は「転職をします」と取引先にご挨拶をしたら、それ以降ものの見事に縁を切られることもありました。自分の実力でなく会社の看板だけで仕事をしていたことを思い知らされた経験でした。

 逆に小さな企業では、一人一人の仕事の裁量は大きいけれど、ネームバリューがないことで仕事を進めていくのにはとても苦労する。やりがいは大きいけれど、こんな仕事もやるのかというドブさらいのような仕事もやらねばならないこともあります(全ての中小企業がそうだと言っているわけではありません)。

 大手企業も中小企業も、いいところと悪いところがあります。僕は幸いなことに、両方の企業を数社ずつ経験することができました。でも、今この歳になって「働く場所は大手でも中小でもいい。自分らしく生きることができる場所はどこにあるのか」。それを探し続けることが大事だと感じています。これが、本当の意味で「働く」ということだと。でも、これまで、迷いに迷って、ようやくここまで言えるくらいになりました。いや、まだ答えは全然見つかっていないですね。

就活成功の秘訣は、自分と向き合い考えることを諦めないこと

 「やりたいことが見つからない」「就職をするまでにやりたいことを見つけなければ」。最近の学生さんからそんな話をよく耳にします。僕から見ると、みんな正解求めて焦っているように見えます。

 自分のキャリアの答えは、就職までに決まるなんて人はほんの一握りだし、もしそこで決めたとしても、人生には様々な出来事が起こり、変わっていきます。でも、長い人生で大事なのは、「自分と向き合い続けること」そして「考えることを諦めないこと」なのではないでしょうか。

 仕事のキャリアは会社に入社した時がスタートライン。内定をいくらもらおうと、それはまだキャリアのスタートラインにも立っていない、人生をマラソンに例えるならばスタート前の準備運動期間に過ぎません。ただ、そのプロセスを「これでいいや」と終わらせるのでなく、自分自身としっかりと向き合って、考えられるベストな答えを決断すること。これを続けていれば、必ず道は開けます。頑張ってください!