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就活リポート2019(11)その業界・企業 自分に合ってる?
7月以降に内定を得た先輩がした事

就活リポート2019(11) その業界・企業 自分に合ってる? 7月以降に内定を得た先輩がした事
authored by 日経カレッジカフェ就活取材班

 6月1日の採用選考解禁から2週間近くが過ぎました。就職先が決まって就活を終えた人がいる一方、選考中の企業がなくなってしまい就活再スタートとなった人、内定を持っているものの納得できずに就活を続けている人もいるでしょう。ここでは今後も就活を続ける人に向けたアドバイスをお送りします。参考にしてください。

昨年7月時点での就活継続者は4割

 6月1日時点の内定率は60%を超えました。昨年の7月1日時点の内定率は83.2%に達しており、今年も同程度になるでしょう。ところが、昨年の就活生の動きを詳しく見ると、内定を持っている学生の2割は就活を継続中で、7月上旬でも4割弱が就活を続けていたことになります。学生が就活を続けているのと同様、企業も採用活動を続けています。昨年の7月1日時点で採用活動を終えた企業は23.8%で、1000人以上の大手企業でも25.8%しか採用活動を終えていないのです。

7月1日時点の就職活動調査(ディスコ)

7月1日時点の就職活動調査(ディスコ)

 もし、読者の皆さんの中に未内定であることに焦りや不安を感じている人がいれば、実は就職活動を続けている人もいて、採用活動を続けている企業がまだまだたくさんあることを知ってください。昨年7月以降に内定を獲得した2人に話を聞きました。

8月30日に内定をもらった女子学生

 現在、都内の上場企業に勤務するMさんが、就活を終えたのは17年8月30日。街中でリクルートスーツを着た就活生をあまり見かけなくなった頃のことでした。途中で「もうやめたい」「自分が働ける会社あるのだろうか?」と悩んだことは1度や2度ではなかったと言います。

 Mさんが就活を始めたのは3年2月。当初は「インターネットセキュイリティーに興味があった」という理由でIT企業のSE職を目指していました。ところが、就活はなかなかうまく進みません。最終面接まで行った企業もいくつかあったものの、内定までは至りませんでした。8月上旬、焦りを感じながら訪れた大学のキャリアセンターで紹介されたのが現在働いている素材メーカーです。

 説明会に行って最初に感じたのは、「会社の雰囲気が自分の性格に合っているかも」でした。Mさんが振り返ります。「私は他人からのんびりしているとよく言われます。今考えれば、性格的にも合わないIT企業をよく受けていたと思います」。選考は順調に進み、無事内定を得て就活終了となりました。

不安を感じながら金融を受け続けた理系男子

2018年卒・新卒採用に関する企業調査-中間調査(ディスコ)

 自分の性格と会社の社風が合わないために、選考が進まないケースはよくあります。国立大学の理系男子Hさんも就活当初は、専攻分野とは全く関係ない金融業界を中心に受けていました。「2月半ばにはリクルーターがつき、3月は3日に1回連絡がありました。これだけ親身にアドバイスをくれるのだから、選考はなんとかなるのでは」と期待していたそうです。ところが、1次面接すら通過することなく、6月初めには持ち駒ゼロに。

 「(金融業界のリクルーターとの会話を通して)自分の性格でやっていけるかな?」という不安を感じていたと言います。「自分はひとりでコツコツ時間をかけて努力するタイプ」が、毎月ノルマに追われるような業界で大丈夫かと。7月に入って金融業界は自分には合わないという結論に達し、大学での知識・経験を生かせ、性格的にも合うシステム関係の会社から内定をもらうことができました。

「合うのか・合わないのか」アドバイスを求める

 MさんもHさんも"合わない業界・企業"を志望していたためにうまくいきませんでしたが、自分と"合う業界・企業"に進み始めてから選考はスムーズに進みました。この「合う・合わない」はとても重要なのですが、就活生自身はなかなか気づきにくく、選考がうまく行かなくなって初めて「合わない」と気づくのです。

 6月までの就活でうまく行っていない人は、大学のキャリアセンターの職員に志望業界・企業と合っているのかどうかを聞いてみるといいでしょう。相談するときには、自分のことをよく知っている職員の方に、そうでなければ自分の性格などの情報をできるだけ多く提供しながら聞いてください。

 ただ、学生の希望を否定することにもなりかねない質問に対し、直接的な回答を避ける職員の方もいるかもしれません。自分が「合っているかいないか」を質問するのではなく、業界や企業に入っている人の傾向を聞くなど、相手が答えやすいような聞き方をするのも手です。

面接での回答の確認も

 面接での回答の見直しも必要でしょう。初期の面接で落ちる人は面接担当者に自分の強み・能力を伝えられていない可能性があります。面接でよく質問される「学生生活で力を入れたこと」の内容に、あなたの強みや仕事で役立つ能力が分かる考え方や行動が盛り込まれているかどうか確認が必要です。キャリアセンターの職員の方に模擬面接をしてもらい、強み・能力が分かるかどうか見てもらいましょう。

 最終面接で落ち続ける人も修正が必要です。企業側が「この学生に内定を出したら入社するだろう」という確信を持てないことが最終面接を通過できない主な原因です。例えば、「第1志望か?」という質問に言い淀んでしまったり、「他社との違い」について説明できなかったりすると、面接担当者は入社意欲を感じません。「内定が出たら喜んでその会社に入る!」という強い思いが見えるような対応を心がけてください。

心が折れそうなときには......

 とはいえ、選考がうまく行かなければMさんのように「もう就活をやめたい」と思うこともあるでしょう。そんなときに先輩たちはどのように気持ちを切り替えたのでしょうか。

 Mさんはゼミの先生の言葉に救われたと言います。「『そんなに就活が辛いなら、他の選択肢を考えてもいいのでは?』と言われたんです。留学、公務員、NPOなど、進路は他にもあるよ、って。企業への就職がすべてだと思い込んでいたので、だいぶ気持ちが楽なりました」。実際に大学時代の友人を見ると、東日本大震災の復興支援のために三陸の町に移り住んだ人、海外青年協力隊に入り今秋から海外に行く人など、就職だけが進路ではないことを実感していると言います。

 Hさんも6月中はため息ばかりの日々。うまくいかない就活に加え、大学での研究に取り組めていないことも精神的なプレッシャーになっていたそうです。そのため、一度就活から離れて研究に戻ることを決意。「研究を始めると気持ちが落ち着き、これまで研究で学んだこと・感じたこと思い出し、元の自分に戻ることができた」と言います。その結果、専攻分野の知識・経験を生かせる企業の選考を受けて内定にたどり着きました。

 最後にMさんがこんなアドバイスをくれました。

 「マニュアル本やネットには、たまには就活から離れて友人と遊ぼう! なんてありますが、そんなことをしたら自分が辛くなるだけ。内定を持っている友人たちが『なんとかなるよ!』と励ましてくれることほど辛いことはありません。会うなら就活に関係ない人にしてください」

(日経HR 渡辺茂晃)