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W内定をどうする~「好きな部署に配属する」は有効か

ホンネの就活ツッコミ論(64)

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NIKKEI STYLE

今回のテーマは「W内定」です。段々と大手企業から順に内々定が出てきて、内定承諾先を1社、選ばなければならない学生が増えてきています。内定辞退についてはこの連載では昨年2017年に13回目に掲載しています。今回、ご紹介するのは、NHK朝ドラから見る将来性、将来性を見る意外な指標、企業側がささやく甘い声。この3点についてまとめました。

NHK朝ドラが教える将来性の変貌

W内定の学生が考えるのは「どちらが将来性あるのだろう」。確かに、せっかく入社するのですから将来性ある企業を選びたいのは当然のこと。ところが、この将来性、判断できないのは学生だけではありません。親だろうがキャリアカウンセラーだろうが大学教職員だろうが、みな同じ。私も例外ではありません。

よく、「石渡さんから見て将来性ありそうな企業はどこですか?」と聞かれるのですが、それが分かっていれば誰も苦労はしません。この連載などとうの昔にやめていて、株式投資で左団扇の生活を送っています。

社会の変化はときに急激であり、ときに緩やかに変化します。現在、放送中のNHK朝ドラ「半分、青い。」でヒロインの幼馴染男子が大学教授と先輩学生に邂逅するシーン、これが面白かったです。理工学部(たぶん、早稲田大学)に入った男子はロボットを研究する教授の研究室に入ります。そこで、先輩学生がこの男子に愚痴。

「(この研究室には)夢しかないからだ。アトムやスターウォーズに憧れてここの門を叩く若者は多い。しかし、あるとき就職を考える。ロボット、ロボット産業、なんじゃそりゃ。それを親に言ってわかるか、おじいちゃんに言ってわかるか。今、日本の主力産業は自動車、家電、エレクトロニクス。今から来そうなのは?バイオにコンピューターだ。ロボットメインの会社なんかあるのか、あったとして初任給はどうだ。先行きは不安。そこで皆、この研究室の前で踵を返す」

このエピソードの時代設定は1990年ごろ。それから20年以上たった現在、ロボットは大きな産業に成長しています。自動車メーカー、家電メーカー、いずれもロボットを無視できません。2018年現在であれば、理工系学生ならロボット産業やロボットメーカーへの就職をためらう学生はそういないでしょう。が、たかだか20年、30年前は「初任給はどうだ、先行きは不安」と言われるような業界だったのです。

このNHK朝ドラのエピソードからも、企業や業界の将来性がいくらでも変わることは明らかです。

どうしても指標が欲しいなら帝国データバンク評点も

将来性がわかってもわからなくても内定を得た学生はどこか1社に内定承諾をしなければなりません。そこで、年収、従業員規模、売り上げ、利益率、株価など様々な指標を使って検討します。このうち、上場企業の年収については26回で解説していますので、そちらをどうぞ。やはり、最終的には一緒に働けるかどうか、そこが一番大事です。

とは言え、指標は指標で目安にはなります。他で出していないところだと、帝国データバンクの評点。これはちょっと面白いかな、と。帝国データバンクという企業情報会社があるのですが、ここは評点というものも出しています。なお、帝国データバンクの企業情報は有料なのでご注意を。

さて、この評点、信頼性が高いことで有名です。金融機関だけでなく、新規取引を考える商社・メーカーなどはこの帝国データバンクの企業情報を取り寄せ(くどいようですが有料)、評点も結構気にします。

目安ですが、90点を超える企業はまずめったにありません。あるとしたら、トヨタなど大手の超優良企業です。70~80点台に大手企業の大半とごく少数の中小企業が入ります。もちろん、財務状態は相当良い、と言えます。55点~60点台だと、財務・経営状態は健全。48点~54点のゾーンには中小企業が多くなります。このゾーンでも経営状態は健全。ただし、大企業だと、良くないと言われることが多くなります。

47~49点がD1、44~46点がD2、40~43点がD3、39点以下がD4。中小企業の大半はD1~4ゾーンに入ります。逆に言えば50点以上だと中小企業の中では上の部類に入る、とお考え下さい。逆に大企業でD1以下に入ると、悪い状態と見られます。社員数が少ない零細企業だとD2かD3に分類されます。売り上げを伸ばしていても、先行き不安と見られることもあります。もちろん、D2・D3のゾーンから上がっていった企業はいくらでもあります。

この帝国データバンクの評点、有料なのですが、一部の大学では、この評点を相当気にしていて、データをきちんと取っています。気になる方はキャリアセンターに聞いてみるといいでしょう。

W内定で迷う学生にささやく甘い声

さて、現在は学生有利の売り手市場。それもあって、内定学生には企業側もあの手この手で内定承諾をさせようとします。もちろん、全部の企業がそうではなく、「いや、学生の将来のことだし、学生がきちんと決めてほしい」といい意味で突き放す企業もあります。

ややこしいのは、こういう大人扱いをする企業が業績好調の優良企業で、内定学生を篭絡しようとする企業がダメ企業、というわけではありません。業績や財務状態の優劣、というよりは採用担当者や企業全体の採用に対する思想が反映されている、とお考え下さい。

では、学生をどうにか内定承諾させよう、とする企業はどうするのでしょうか。売り手市場に転じた2014年から2016年ごろに話題となっていたのが「オワハラ」。つまり、「就活終われ・ハラスメント」の略。他社の内定を断らないと内定を出さないよ、などの姿勢を指します。ただし、これはさすがに高圧的だろう、と社会問題化。風評を気にする企業がオワハラをしなくなり、沈静化しました。

代わって台頭してきているのが「甘いささやき」。これは、「好きな部署に配属する」というもの、または部長・取締役クラスの出馬のどちらか。あるいはその合わせ技からなります。

実際に、とある食品メーカーの事例をご紹介しましょう。複数内定を得た学生に対して、悩んでいる段階でも、あるいは内定辞退を申し入れた段階でも、「実は取締役(または部長)が●●さんと一度話がしたいと言っている」と話を振ります。内定辞退を申し出た学生には、「うちの取締役(部長)が学生に話をしたい、というのはまずない。内定辞退とは別に機会を貰えないか」とどうにか面会の約束を付けようとします。

内定がどうこうを抜きにして、一般論として、今の大学生・院生は社会人との接点が多いかどうか。ま、多いという方は少なく、大半の方は少ないと答えるはず。で、少ない、ということは、内定承諾をめぐる争いで学生に役員・部長クラスをもってきて翻意させる、という手法は実はよくある話です。つまり、「うちの××が学生と話をしたい、というのはまずない」という時点でウソ。ま、悪い商品を売りつけよう、というわけではないのでまだ罪がない、とも言えますが。

さて、内定学生は悩んでいても辞退を申し入れても、その大半は「そこまで言われては」と折れて、面会を承諾します。指定された場所に行くと、「まあ、せっかくだから食事でも」と話もそこそこに、高級レストランや料亭に連れて行かれます。学生・院生ではまず入ったことのない、高級な店で「えと、この一噛みが学食一食分なのか」などと度肝を抜かれます。

圧倒されているところに、部長・取締役氏が学生に熱く訴えます。その社のビジョンから学生・院生の実績なども踏まえつつ、「君にはうちに来て欲しいと思っていた。こういう条件で、君の希望も必ず実現する」。

こう言われたらどうでしょうか。どう考えても、ぐらっとするでしょう?これが「甘いささやき」です。こういう話、就活取材をしていると実はよく聞きます。

希望配属は実は危険

付言しますと、学生・院生の要求は何でも呑む、という企業は、一見すると、学生・院生にやさしい企業です。が、実はどこかで無理が出ます。

学生・院生の希望部署と言えば、広報、採用、企画に営業の花形部署。理工系だと花形の研究所など。当然ながらそうした部署・研究所は現役の社員からも配属希望が高いところ。その現役社員の配属希望を押しのけて配属されるわけです。いくら、学生・院生に悪気がなくても、それだけで恨まれる、とまでは言いませんが、イラっとされるのは無理ないところ。

たとえば、あなたが研究職として某メーカーの花形の研究室で働いているとしましょうか。研究にやりがいを感じているところ、研究室長が「◆さん、今度来る新人ね、××という研究をしたいそうだから面倒見てあげて。それと君がやっている研究のうち▲と●は、時間ないからもうあきらめて。その分、新人の指導よろしく。まあ、大変だと思うけど、うちも人不足だからさあ。事情を分かってね」と言われたらどうします?

で、新人が来たら来たで、あなたが手取り足取り教えるのは当たり前。「私ぃ、取締役研究本部長と仲良くて、好きな研究ができるからって口説かれて入社したんですけど」などなど、あなたに言って来たらどう思います?その新人に悪意がないとしても、なんで新人ごときに自分の研究時間を奪われて面倒みなきゃならんのだろう、とイラっとしません?

これも取材していると、入社段階で好条件を話しておいて、それで入社すると色々トラブルが起きる、というのはよく聞きます。好条件を反故にされた、あるいは、先輩社員の風当たりが強い、などなど。どの職種でも、下積みは必要です。たとえば、文系総合職で人気の広報、採用、企画などは、営業部署で数年、営業を経験した方が結果的には成長しやすい、とされています。

ここで、学生・院生の側が、下積みを飛ばすほどものすごい実力があれば問題ありません。たとえば、研究職ならノーベル賞を獲得する五歩手前と噂されるくらい、業界内で有名、かつ研究の実力がある、論文発表の実績もある、とか。採用なら、過去から現在までの採用事情を全部調査済み、各大学のキーマンも全部抑えているとか、1日インターンシップの展開から広報手段まで全部把握している、とか。

まあ、そんな学生はまずめったにいません。日本の企業だとどうしても年次・年齢が影響します。入社すれば、まずは下積み。先輩社員を立てつつ、自分の仕事を積み上げていく。これが日本社会です。おそらくは総合職・研究職とも同じ。

こうした下積みを飛ばして、企業の甘いささやきにうっかり乗るのは危険なのです。実際、甘いささやきに乗って入社した結果、先輩社員と折り合わず苦労した、あるいは早期退職に追い込まれた、という事例があります。さて、あなたはどうしますか?我慢するか、それとも乗るか...。

石渡嶺司(いしわたり・れいじ)
 1975年札幌市生まれ。東洋大学社会学部卒。2003年から大学ジャーナリストとして活動開始。当初は大学・教育関連の書籍・記事だけだったが、出入りしていた週刊誌編集部から「就活もやれ」と言われて、それが10年以上続くのだから人生わからない。著書に『キレイゴトぬきの就活論』(新潮新書)、『女子学生はなぜ就活で騙されるのか』(朝日新書)など多数。

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