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新体操のほっち(5)代表メンバーと共同生活 自分の中に大きな変化が

新体操のほっち(5) 代表メンバーと共同生活 自分の中に大きな変化が
authored by 坪井保菜美新体操元日本代表

 こんにちは、新体操の坪井保菜美です。今回で連載5回目となります。いつも読んで頂いている皆さま、本当にありがとうございます。さて今回お話しさせて頂く内容は、オリンピックを目指すために結成された日本代表団体チームのメンバーとして始まる、新たな生活・・とは。

どんな環境が待っているんだろう...

 家を離れる決心をしたとき、練習は並大抵のものではないだろうと覚悟してこの環境に入った。なぜならここは、日本代表として世界を相手に戦おうとしている場所。目指すはオリンピック。練習・・はもちろんのこと、メンバーやナショナルのコーチとの共同生活に対し、不安しかない状況の中、2006年4月~長期にわたる合宿がスタートしました。

 実は、この長期合宿が始まる前からすでに何度か短期間での合宿を行っていました。メンバーの何人かとは顔合わせをしていましたし、ジュニア時代から知っている仲間も中にはいました。とは言え、これまで個人しかしたことのない選手というのは私だけであり、みんなそれぞれに良さのある優れた選手が全国から集まります。遊びではない「仲間」が、一つの場所に集まった空気というのは、なんだかピリピリと張り詰めていたようにも思います。

 長期合宿初日、各地方から拠点となる当初千葉県に、メンバー全員家族と共に集合しました。着いて間もなく私達選手は練習着に着替え、それぞれの家族を前に公開練習が行われました。ただひたすら、連携技を繰り返す長時間の練習。団体ならではの技でした。練習中は緊張のあまり痛みを感じませんでしたが、気付くとアザや擦り傷が多数できていました。痛かった。。

 練習を見学していた家族は、私達メンバーと言葉を交わすことなく、体育館からぞろぞろと退出していきました。家族の後ろ姿を見ながらも続く練習。涙が出そうになった。ボーッとさせないコーチの作戦なのか。。それとも家族と離れる寂しさを少しでも紛らわすための愛情なのか。。追いかけたかった家族の姿が見えなくなり、グッとこらえ練習を続けたのを覚えています。

世界に向けて始まったんだと、現実味が湧いた

 学校へは行かず、練習は朝から夜まで毎日8時間。個人とは違い、団体は周りを見て動きやタイミングを合わせなければいけない。初心者のような練習から始まりました。というのは、立ち方、姿勢、目線までもを合わす。手具の持ち方、投げ方だけで1日以上かかる作業。長年かけて身に付いた個々の癖を取り除くのに、かなり苦労したのが始めであった。

 慣れない練習が続く毎日。へとへとになりながらも帰宅してからがまた大変で。。ちなみに練習している体育館まで片道20分以上の道を、みんなで自転車を漕いで通います。道中にあるあの長い坂道・・ここでも追い込む気か!!と必死で立ち漕ぎ。笑 くぅ~苦笑 
もはや移動はウォーミングアップ兼トレーニングですね(^_^;)

 みんなが帰る場所は、3人一部屋のマンション。「おかえり~」と迎えてくれる家族はいない。帰宅後、自分たちが食べる食事をみんなで作ります。決められたレシピの材料が毎日玄関に届き、そのレシピとにらめっこしながらも、はじめはご飯が出来上がるまでにかなりの時間がかかりました。

寝るの何時になるんだ~泣

 食事を終えて、お風呂や洗濯、掃除、そして毎日の反省ノートは欠かせない。朝から晩までやることだらけの生活。気を休められる場所がない状況でした。必死でついていかなければならない共同生活の大変さを感じながらも、時間は皆同じように過ぎていく。

 そんな中、団体の良さに気付けたこともいくつかあります。この苦しさは、自分1人だけではないということ。ここにいる「仲間」みんな同じ思いで頑張っている。お互いに支え合いながら、一つ一つをクリアしていく心強さがありました。

 そして何よりこの生活を経験することで、自分の中での大きな変化、そして気付きがありました。おかえりと迎えてくれる母の声、いただきますと言って食べられる食事。家族のために頑張って働いてくれる父がいるから、新体操に打ち込める。ここへ来て一つ一つの家事をこなしていくことで、こんなにも大変なことを家族はしてくれていたんだと気付かされました。家族に対して "ありがたみ" を身に染みて感じたのです。

 メンバーである「仲間」と支え合い、そして家族に対して「感謝」の気持ちに気付かされたからには、明日も頑張ろう!と、1日1日を精一杯頑張る気持ちに持っていくことが出来ました。

 さて、今皆さんの周りにいる「仲間」この「仲間」とはどういった関係ですか?

 辛い時、そばにいてくれる「仲間」
 同じ目標に向かって頑張れる「仲間」
 一緒にいて落ち着く「仲間」

 人それぞれにいろんな想いを持った「仲間」が、そこにはあると思います。

 また、家族に対してはどうでしょう。どんな想いを持って接していますか? 地元を離れて生活している学生の方も多いかと思います。初めての一人暮らしをしてみて、何か感じることはありましたか?

 私は、親元を離れて気付けたことたくさんあります。洗濯機に入れた服が、次会うときには着れるばかりの状態になっていることに感動するなんてこと、実家にいた時には感じませんでした。

 今この状況に目を向けることの大切さ、色んな想いや気付きに出会えるかと思います。そんな時間をたまには作ってもらえたら嬉しいです。これからの過ごし方、そして取り組み方も変わるのではないでしょうか。周りにいる「仲間」や「家族」を大切にし、今ある環境に「感謝」しながら、一つの目標に向かって進んでもらえたらと思っています。

 さて次回は、この「仲間」についてより詳しく触れていきたいなと思います。それでは☆お楽しみにっ