日本経済新聞 関連サイト

OK
career-働き方

大学生が見たカイシャ(8)ANAホールディングス~顧客サービスこそブランド

大学生が見たカイシャ(8) ANAホールディングス~顧客サービスこそブランド
authored by 国学院大学学生キャリアサポーター

 航空機によって、人や物を国内外に運ぶ航空業界。近年はANA(全日本空輸)・JAL(日本航空)に加え、機内食などの有料化によって低運賃を実現させたLCC(格安航空会社)と呼ばれる形態も参入してきました。今回は、ANAのグローバルスタッフ職(事務)の松本巧さん、ANAエアポートサービスのグランドスタッフの小松美紀さんとグループの広報担当の方にお話を伺いました。

――社風として挙げられる、「おせっかい文化」について教えて下さい。

小松さん(右から2人目)と学生たち

小松 常に組織のなかに10名単位のチームがあるのですが、チーム員を見かけたら、特に用はなくても、「今日どうだった?」「どういうことがあった?」「困っていることはない?」というように、こちらからコミュニケーションをとっているのですが、それが「おせっかい文化」にあたるのではないかと思います。お客様に対しても、働いている仲間同士でも、いつも気を配り「何かできることはないか」と考えて行動するよう心がけています。

松本 ANAグループ全体で「アサーション」という言葉が広がっています。技術やシステムでは補いきれないヒューマンエラーを防ぐために、社員同士が職域や職責を越えて連携し確認・指摘し合うことを指します。たとえば先輩社員が「何か気づいたことがあったら言ってね」と事前に声をかけてくれ、後輩から先輩の間違いを指摘しても「言ってくれてありがとう」という感謝する習慣が、会社全体、ANAグループ全体でできています。先輩後輩のような、いわゆる権威勾配のあるような関係であっても、円滑なコミュニケーションがとれる社風がANAにはあると考えています。

――ANA全体として、採用時に求めることは何ですか。また各職種で求めることは何ですか。

ANA ANAでは、ANAグループの経営理念、経営ビジョン、行動指針"ANA`s way"を理解・共感頂けることが最も重要です。その上でそれぞれ多様な個性を持つ人財を採用したいと考えております。またANAエアポートサービスでは、弊社・羽田空港で働くことへの人間力(素直・本気・思いやり)を持つことが大切だと考えています。

安心と快適性の両面を追求

――各職種で求められる能力などはありましたか。また、それを得る為の研修などはありましたか。

小松 ホスピタリティの研修の一環として、「HANEDA's PRIDE Training」という研修があります。AEDの訓練と合わせて、ホスピタリティの訓練を一日行います。また、羽田空港ではおもてなしに優れた地上係員が推薦され、様々なシチュエーションに対応していく、ライブ形式のスキルコンテストがあり、対応力向上にも繋がるのではないかと感じています。

小松さん

 グランドスタッフの仕事では、特別持っていなくてはならない能力はないと思います。英語はもちろんお客様と関わる上で必要になってくるのですが、普段の生活から「他の方がどう思うかな」やと、「何か自分にができることはないかな」と考えて、自分のことだけでなく何かサポートできることはないかと、他人に気付くことのできる力を身につけておくと、仕事に就いた時に役に立つのではないかと思っています。

松本 私は現在、運航管理者の支援をする業務をおこなっていて、運航に携わる仕事に就いています。同期によってはグランドスタッフや、グローバルスタッフ職客室乗務員としてフライトを経験し、本社部門や各職場で企画立案や他部署、グループ各社との調整等をしている者もいます。

 また、経理業務や営業を担当している者もいて、グローバルスタッフ職は仕事の幅がとても広いことが特徴です。ですから「自分はこういう仕事をやりたい」という芯があることも必要だと思いますが、様々な事に興味を持つこと、たとえば飛行機が好きだけれども、その中でも知識を広げて「もっとこういうことがしたい」等とアンテナを張る事が求められていると思います。

――近年、FSC(フル・サービス・キャリア)でも、サービスの一部が有料になっていると聞きますが、LCCとの差別化で意識していることはありますか。

ANA 日本においてLCCの認知が高まり、需要も増加しています。お客様の声や他社の提供内容を把握しながら、プリトラベルからポストトラベル(ご搭乗前からご搭乗後まで)の安心と快適性をプロダクト・サービスの両面で追及し、幅広い層のお客様ニーズに配慮した、全体を通して一貫したANAブランドを感じていただけるサービスの提供を目指しております。

 客室乗務員として、有料商品をただ提供するだけでなく、プラスアルファの一言や、商品のオススメポイントをお伝えするなど付加価値をつけて、よりお楽しみいただけるよう意識しています。

――オリンピックで外国人観光客が増加することが見込まれますが、意識していることはありますか。

松本さん

小松 外国人のお客様が増えてきていると実感してはいるのですが、特別意識していることはありません。お客様と色々な国のことばで挨拶できるようにしたり、英語である程度コミュニケーションをとるために、iPadで色々な国の言葉でご案内できるように文章で用意しておいたりしています。学生のうちから留学などはできなかったとしても、旅行に行ったときなどに、お店の方がどんな風にお話されているか等とか、簡単なことを意識するようにしていました。

松本 外国人観光客のANAの認知度が上がって来ていると思っていますが、海外の航空会社などに比べると認知度という観点ではまだまだこれからであると思っています。ANAグループではお客様のことを考えて仕事をしている仲間が非常に多いので、このような機会にANAにご搭乗頂き、ANAの良さを知っていただければと思います。オリンピック・パラリンピック開催に向けて、業務の中で特別に意識をしていることはなく、普段の業務を遂行することで、ANAのサービスを外国人観光客の方にも知っていただけるのではと考えています。

全員の助け合いが生む「アイデアの連鎖」

――航空業界のなかで、ANAのここが一番といえるものはありますか。

小松 働いている中で皆「あんしん、あったか、明るく元気!」という言葉を体現している人たちばかりだと感じます。どんなに早朝でも笑顔でお客様と接するよう心がけています。その為か、「来るたびに元気がもらえる」「いつもみんなにいい笑顔だね」とおっしゃっていただくことが多いです。お客様が元気になってもらえるようなきっかけになれていると思うと嬉しいです。

松本 ANA関西空港株式会社へ出向していた際に、ANA便だけではなく、関西国際空港に就航している海外キャリアの運航に携わる業務をおこなっていました。関西国際空港での業務で感じたことは、飛行機は公共交通機関であり、ANAも他の海外キャリアも同じく、安全を第一に考え仕事をしています。その中でもANAはお客様視点に立って、安全性をはじめ、様々なシーンでお客様の快適性や利便性を考え仕事をしています。全社員がそのような意識を高く持って仕事をしていますので、ここは自信をもって1番と言えると思っています。

――ANAで働いていて、やりがいを感じる、あるいは誇りに思うことは何ですか。

松本さん(左から2人目)と学生たち

小松 全ての仲間が全力で働いている会社ということに感動しています。イレギュラー発生時、お客様が不便を感じるような状況になったとしても、「他に何かできることがないか」というセカンドベストを考えて、お客様のために何か動こうとする気持ちがあり、皆がいつも「お客様のために出来る事はないか。」と本気で働いている姿は、誇りに思います。

 また、お客様に全力で接する傍ら、そのためのフォローを周りがしてくれます。お客様に何かしてさしあげたいと思っても自分だけではどうにもならないことは多々ありますが、そういった場合、先輩後輩関わらず相談することで、「じゃあ私はこういうことをやる」と、アイディアの連鎖がどんどん広がります。ANAのグループ全員が助け合っている風土があるからこそ、より良いパフォーマンスが発揮できるのではないかと思います。

松本 私は飛行機が好きで、飛行機に携わる仕事がしたいと思っていました。入社し現在まで、実際に飛行機を飛ばすことに携わる仕事ができる事に、やりがいを感じています。私が携わっている一便には何百人ものお客様に搭乗いただいていて、飛行機が安全に目的地に到着することでお客様にとっての旅の思い出の一部になっていること、また多くの仲間がこの便を飛ばすために様々な業務に全力で取り組んでいることについて誇りに思っています。

――ANAで働くために、学生のうちに身につけておくべき能力などはありますか。

小松 特に何かをしなくてはならないということはないと思います。只、様々な人と関わる中で、その人にどういうことができるか考えて動くということは、今の仕事をしている中でとても必要な事だなと感じています。資格を持っていて役に立つことはたくさんあると思いますし、語学力ももちろん役に立つと思いますが、普段の生活から、色んな人の気持ちを考えて、どういったことができるのかと考えることが、大切だと思います。

松本 特別な能力はあまり必要無いと思います。ただ学生生活の中で様々なことを経験して、その経験の中で自分がどういう頑張りをしたか、どういう価値観を得たかということを、自分のなかでしっかり整理して身につけておくことは大事であると思います。

 会社で働き始めて、壁や困難に当たることは多くありますが、学生時代の経験と価値観を大切にすることで、似たようなシチュエーションでも自信を持って乗り越えよう、頑張ろうと思える、と思います。

 また、外国の方と仕事をすることも多いです。私も勉強中ですが、語学力だけでなく、たとえば相手の文化やバックグラウンドを知ることで初めてコミュニケーションがとれると思いますので、外国についての教養を身に着けておくとより良いと思います。私の経験としては海外キャリアの方と組んで仕事をするとき、うまくコミュニケーションが取れないと感じることもありました。会社に入ってからでも遅くはないと思いますが、学生のうちに、語学力に加えて、たとえば外国人留学生と交流してその国について知っておく等、入社してからも落ち着いて行動できると思います。

――最後に、学生に向けて一言、お願いします。

小松 私自身どんな仕事をするのがいいか、どういったことがしてみたいかなと悩んだ時期があります。もちろんどんな仕事も、楽しいことも大変なこともあると思うのですが、どういったことがしたいかたくさん考えて、後悔しないようにしていただくのがいいと思います。もし弊社で働きたいと思っていただけるのであれば、こんなにたくさんのお客様や働く仲間のことも考えて、楽しいという感動を共有できる仲間がいる職場というのは、やりがいのある仕事だと思うので、検討して頂ければと思います。

松本 スポーツをやる、留学をする、サークルの皆で何かをするなど、学生のうちに経験できることはチャンスがある限り経験しておくべきだと思います。会社に入ってチームで仕事をすることはありますが、学生のときのようにより多くのことを経験する自由な時間は少なくなると思います。学生生活でできることはやっておいて、「うまくいった」「いかなかった」だけじゃなくて、自身が何を得たか、自分なりに価値観を形成していくことが大事だと思います。

(取材:下條佳奈、茶木絵美里、大和田実沙)

「日経College Cafe」のお勧め記事はこちら>>