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留学は有利?不利? データから検証

ホンネの就活ツッコミ論(68)

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今回のテーマは、「留学の有利不利」です。さっそくですが、記事2本の見出しをお読みください。

・長期留学生 出遅れ懸念(2017年8月22日、読売新聞朝刊)

・留学経験 就活の力に(2017年10月2日、朝日新聞朝刊)

否定論・肯定論と両極端の記事、元ネタは同じ

見出しだけ読むといかがでしょうか。留学が就活へ与える影響について、読売新聞記事は否定的、朝日新聞記事は肯定的、と感じる方が多いはず。実際、記事内容も読売新聞記事はやや否定的、朝日新聞記事はやや肯定的になっています。

面白いのは論調が分かれる記事2本、どちらも就職情報会社ディスコと海外留学を促進する文部科学省の事業「トビタテ!留学JAPAN」のデータ・コメントで構成されていることです。元ネタは同じなのに、なぜこんな両極端に論調が分かれるのでしょうか。同じことが現在の就活における留学有利論の是非にもつながります。

詳しい事情をデータと採用担当者側の理由からまとめてみました。

日本人留学者数は実は増えている

まず、留学の基本データから。日本学生支援機構の調査によると、2009年度には36302人だった留学者数は2016年度には96641人と2.6倍まで増えています。2016年度は1か月未満が60145人、1か月以上3か月未満が9069人、3か月以上6か月未満10648人、6か月以上1年未満13664人、1年以上2456人となっています。半数以上が1か月未満である点が大きなポイントです。

次に企業側はどう見ているのでしょうか。「トビタテ!留学JAPAN」による「就活と留学に関する調査」(2017年6月)によると、採用担当者向け調査で「留学経験が仕事で役に立つ」という項目で「そう思う」と回答したのは80.4%。「留学経験者を今後積極的に採用していきたい」という項目で「そう思う」と回答したのは62.1%。

このように留学について肯定的な意見が企業側に強いのは各業界の海外展開にあります。国際協力銀行調査(2015年)によると80.5%もの企業が海外展開について「強化・拡大する」と回答しています。

いや、志望業界・職種は国内事業だから、という方には、日本政府観光局(JNTO)の訪日外国人観光客数をどうぞ。2017年の訪日外国人観光客は2869万人。2003年の521万人から5.5倍増加。さらに2020年には4000万人。2030年には6000万人とすることが政府目標になっています。2018年現在でも東京・大阪という都市部や京都など観光都市だけでなく、地方でも外国人観光客を見かけることはもはや日常と化しています。

当然ながら、交通・観光産業を中心に消費していきます。つまり、地方であっても、外国人観光客に対応できる人材は交通・観光産業から流通・小売りも含めて求められることになります。公務員も外国人観光客を受け入れる環境の整備などを考えれば留学を否定的に見る省庁や自治体はそうそうないでしょう。

商社も同じです。国内事業が中心でも日本にいながら外国企業と電話やメールでやり取りすることになります。その際は当然ながら英語または他の外国語を使うはず。そうなると、商社は商社で留学経験者を否定的に見ることはまずありません。

では、なぜ留学が就活において否定的に見られるのでしょうか?

留年しそう→留年しても影響なし

「トビタテ!留学JAPAN」の2017年2月調査によると留学に興味・関心がない理由として最も多いのが「準備が面倒、大変そうだから」です。就職情報会社ディスコの2017年2月調査(対象は留学生約8000人)でも留学をして困ったことについて約半数が「就活の進め方」と回答しています。

特に長期留学の場合、留年するリスクは高くなってしまいます。実際、卒業率(卒業者の入学者に占める割合)は国際教養大学が65.1%、東京外国語学部言語文化学部32.6%、北九州市立大学外国語学部54.2%、上智大学外国語学部55.1%、立命館大学国際関係学部65.0%などいずれも他学部に比べて高いとは言えません(数値は『大学の実力2018』から引用)。

この留年について、就職で不利、との思い込みがいまだに学生だけでなく保護者からも根強くあります。留年するとそれだけ就職で不利になっていた時期は確かにありました。しかし、男子学生だと1970年代まで(学生運動をしていた、と思われていた)、女子学生だと1990年代まで(結婚してしばらくしてから退職するのが一般的、つまり留年するとそれだけ就業期間が短く、企業からすれば採用しづらいという理屈)。

しかし、現在は留年を気にする余裕が企業側にはありません。そもそも、新卒の定義は卒業後3年以内と変わっていますし、人材の多様性という点でも留年をむしろ評価する企業すら増えています。留学が理由で留年したとしても、それは全く現在の就活には影響しません。

中・長期間なら期間も含めて話そう

本連載34回目で外国語・国際系学部の就活についてご紹介した際、留学についても触れています。ここで留学アピールは聞き飽きた、とする採用担当者の意見を紹介しつつ、どうすればいいかを書きました。

バックナンバーを読むのが面倒、という方にネタばらしすると、「留学アピールは聞き飽きた」とする採用担当者には留学期間を含めて留学ネタを話せばいいのです。特に半年以上の長期留学だと、期間の長さを話しつつ、そこで起きたことや得たものなどを話せば十分です。これは数か月ないし6か月未満の中期間でも同じです。

どうも、周囲に留学者の多い大学・学部だと、留学自体が普遍的になっています。「留学はしていて当たり前」→「あまりアピールにならないのではないか」そんな思い込みを学生からよく聞きます。その大学・学部のレベルの高さを示すものですが、一方では視野の狭さも示しています。

短期留学なら留学と留学後の変化の合わせ技で

では、1か月未満の短期留学だとアピールする意味はないか、と言えばそんなことはありません。確かに短期間の留学だと採用担当者からすれば「海外旅行と何が違うの」というレベル。それだけでアピール材料にするのは無理があります。

しかし、短期留学でも学生にとっては成長のきっかけとなったはず。そこで短期なら短期で期間や留学内容だけでなく、留学後にどんな変化があったか合わせ技でまとめていくのはどうでしょうか。実際、短期の留学・研修であっても、この合わせ技で自己PRをまとめた学生は、私が知る限り、就活はうまく行っています。長期留学ではないからダメ、ということは決してありません。

「留学アピールは聞き飽きた」とする採用担当者の意見は、裏を返せばそれだけ留学が普遍的なものになりつつあることを示します。これが、留学者の少なかった時代であれば、留学しただけでアピール材料になっていたことでしょう。が、留学者が96641人(日本学生支援機構調査2017年)まで増え、10万人をこえるのも時間の問題です。ここまで増えれば、単に留学したというだけでなく、留学の質、そしてアピール方法なども問われる時代に変化しているのです。

お金がないなら奨学金(給付)を

「トビタテ!留学JAPAN」の2017年2月調査によると留学に興味・関心がない理由として3番目に多いのが「経済的に余裕がないから」です。確かに留学には多額の費用が掛かります。それを個人で賄うのは確かに負担でしょう。

この経済的負担が留学のネックになっていることは大学だけでなく国・文部科学省も把握しています。そこで各大学とも多少の差はありますが、留学をする学生に対して支援策を強化するように変化しています。これは国・文部科学省も同じ。「トビタテ!留学JAPAN」はこの7月から「トビタテ!留学JAPAN 日本代表プログラム」10期の奨学生募集を開始しました。留学開始時期は2019年4月1日から10月31日。期間は28日から最長2年間。奨学金は毎月12万円か16万円で、これに留学準備金・授業料の一部も対象に。しかも、返済不要の給付型です。

「トビタテ!留学JAPAN」広報・マーケティングリーダーの西川京子さんによると、「留学プランは学生自身で設計してもらいます。それとアカデミックな留学だけでなく、インターンシップやボランティアなど大学・学校に行かないプランも対象です。語学力を気にする学生もいますが、TOEIC400点台ないしそれ未満で応募、実際に奨学生となった学生もいます。もし、海外に行ってみよう、と思う学生であれば、ぜひチャレンジしてみてください」とのことです。

前回の第9期は申請が1996人、採用されたのは634人。「例年、倍率は3倍程度」(西川さん)とのこと。しかも、事前・事後研修もあり、さらにこの制度を利用した先輩学生・OBや支援企業(同事業を支援する企業はソフトバンク三菱商事トヨタ自動車などを含めて232社/2020年までの7年間の寄付見込み額は約116.8億円)との交流する機会も多いそうです。

少しでも海外に行ってみようという方はこの奨学生に応募してみてはどうでしょうか。同事業による説明会はすでに終了していますが、個別の大学ではこれから説明会を開催していく模様です。

石渡嶺司(いしわたり・れいじ)
 1975年札幌市生まれ。東洋大学社会学部卒。2003年から大学ジャーナリストとして活動開始。当初は大学・教育関連の書籍・記事だけだったが、出入りしていた週刊誌編集部から「就活もやれ」と言われて、それが10年以上続くのだから人生わからない。著書に『キレイゴトぬきの就活論』(新潮新書)、『女子学生はなぜ就活で騙されるのか』(朝日新書)など多数。

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