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career-働き方

就活教室 女子学生へ(1)インターンシップで確かめるべきこと
~自分に合う仕事って何だろう~

就活教室 女子学生へ(1) インターンシップで確かめるべきこと~自分に合う仕事って何だろう~
authored by 菊入みゆき明星大学特任教授、JTBコミュニケーションデザイン
ワーク・モチベーション研究所長

 こんにちは。明星大学特任教授の菊入です。長年、企業でやる気やキャリアに関するコンサルティングの仕事をしてきました。今は、企業と大学の両方で講義をしています。この連載では特に大学3年の女子学生に向けて、就活へのやる気の保ち方やキャリアの築き方を解説します。第1回目は、インターンシップでぜひ確かめてきてほしいことをお話しします。それはキャリアの基本、「自分に合う仕事って何だろう?」です。

【ケース1】
 入社して後悔、「仕事は楽だけど・・・」

 西野さん(仮名、女性、23歳)は今年、第一志望の会社に入社しました。でも今、後悔しています。就活中は、「お給料はいいほうがいいけど、出世とかしたくないし、きつい仕事はいや」と考え、事務職を選びました。入社してみると、確かに仕事は簡単ですし、きっかり定時に帰れます。しかし、毎日が物足りず、つまらない。事務職は全員女性で、ルーティンワーク(定型で繰り返し行う仕事)だけを任されます。昇進の機会もなく、社内に女性の管理職は1人もいません。「これからずっと、同じ仕事を、同じ平社員としてやっていくのかと思うと、憂うつになる」そうです。

仕事は、「給料」や「きついか楽か」だけでは決められません。「おもしろさ」や「昇進などに挑戦する喜び」も、大事な仕事の要素です。これからインターンシップに参加する人は、ぜひいろいろな仕事の要素を実体験してきてください。入社してから気づくのではなく、インターンシップの実習中に気づくことができれば、大きな収穫です。

【ケース2】
 インターンシップで「軸」を見つけた

 昨年、4日間のインターンシップに参加した新田さん(仮名、女性、22歳)は、実習で「自分はこういうことが好きなんだと実感した」と言います。

 インターンシップでは、小中学生向けのイベントのスタッフ業務を体験しました。そこで目が離せなかったのが、ディレクターたちの生き生きとした表情と動きでした。新田さん自身も地域のサークルでイベントを何度か開催し、その準備や運営に楽しさと達成感を感じていました。「多くの人を集めて笑顔にすること」が自分が好きなこと=「軸」だと実感したのです。以降、軸を大切に就活を行い、今年、希望する旅行業界で内定を得ました。 

 実際の仕事が体験できるインターンシップは、自分のこだわりや大切にしている軸を見つける絶好のチャンスです。

6つの軸から考える

 では、他にどのようなこだわりや軸が考えられるでしょうか。ここでは仕事の軸を、「やる気」を分析するシステムMSQ(株式会社JTBコミュニケーションデザイン)のデータをもとに、大きく6つに分けて紹介します。

1. 安心・安定
 給料などの待遇や、会社の大きさなどの安定性から得られる安心感です。給料や会社の従業員数などは、数字で示されわかりやすいので、就活初期には、これを軸にして活動する人も多いと思います。

2. プライベート
 仕事をするにあたっても、私生活や友人・家族を大切にしたいという気持ちです。残業がない、休みが取れることを重視するのは、この「プライベート」が軸になっているケースです。今後悔しているという西野さんは、就活中、上記の「安心・安定」「プライベート」が自分の軸だと思っていました。

3. 商品・業務
 仕事で扱う商品や自分が担当する仕事への愛着です。「食べることが好きだから、食品会社に応募する」というのは、この「商品・業務」が軸になっているケースです。

4. 顧客・社会
 お客様に喜んでもらいたい、社会の役に立つことをしたいという気持ちです。新田さんがインターンシップで見つけた軸は、「多くの人を集めて」の部分が「商品・業務」であり、「笑顔にする」の部分は「顧客・社会」と言えるでしょう。

5. 達成・成長
 仕事の中で、なにかを成し遂げたい、成長したいという気持ちです。これを軸にする人は、毎日同じ仕事をすることよりも、多少不安定でもいいから、挑戦することを選びます。

6. チーム・人間関係
 職場でのチームワークや人間関係の良さを大切にする気持ちです。これを軸にする人は、まわりと協調して仕事をすることを重視し、1人だけで行う仕事はきらう傾向があります。

決めつけすぎず、自分の言葉で

 いかがですか? ピンとくる言葉はありましたか? 逆に、「これは絶対違う」と思うものもあるかもしれません。

 ただ、最初から決めつけすぎないように気をつけましょう。特にインターンシップでは、実習中は指示された活動に集中して取り組み、あとで、自分はどんなときに喜びを感じただろうか、とゼロから考えてみると良いと思います。インターンシップのあとも、ES(エントリーシート)を書いたり、面接を受けたりする中で、自分の軸を意識し、徐々に明らかにしていきましょう。自分のオリジナルの言葉で軸を表現できるようになれば、それがベストです。「人と人を結びつける仕事がしたい」「チームで問題解決をしたい」などが考えられます。軸が見つかると、その後の就活で迷いが少なくなり、活動を進めやすくなります。

 軸は、実際に働き始めてからも、自分を支え、キャリアを築く基礎となります。インターンシップをはじめとした一連の就職活動は、そうした人生の基礎を作る場でもあります。大変ですが、意味のあることととらえ、前向きに取り組みましょう。

参考資料:「やる気」分析システムMSQ(株式会社JTBコミュニケーションデザイン)