日本経済新聞 関連サイト

OK
skill up-自己成長

AIの未来(2)もしコンピューターが想像力を持てば 
~日本の社会課題を解決したい

AIの未来(2) もしコンピューターが想像力を持てば ~日本の社会課題を解決したい
authored by 人工知能研究会/AIR

 はじめまして。京都大学情報学研究科博士後期課程の学生であり、株式会社エクサウィザーズを創業した古屋俊和と申します。京都大学在学中に、データサイエンスの会社を立ち上げて以来、現在はディープラーニング(深層学習)等の人工知能(AI)技術を産業・医療分野で応用するサービス開発を進めています。今回の連載では、私がなぜディープラーニングの世界に惹かれたのか、そのきっかけをお伝えします。

 私はコンピューターが好きで小学6年生から、ウィンドウズで動くプログラミング言語の「Visual Basic」を使ったプログラミングをしていました。元々、理数系の勉強は好きだったのですが、国語はとても苦手でした。

学生向けソフトウェアアイデアコンテストに審査員として参加

 例えば、文章を読むとき、この文がこの単語にかかっているなど、文章を構造化しながら読んでいたので、読解にとても時間がかかっていました。今思うと、まさにコンピューターのように文章を読んでいたと思います。

 高校生のとき、国語の得意な友人に相談したところ、もっと想像力を働かせて文章を読んだほうが良いと言われました。この言葉がきっかけで、想像力を働かせて、文章を読むようになりました。その結果、今まで文章を理解するのにとても時間がかかっていたのが、短時間で文章が理解できるようになりました。

 この体験から、もしコンピューターが人間のように想像力を持てば、コンピューターも人間のように言葉を理解出来るようになるのではないかと思いました。

認知科学→統計学→データサイエンス

 大学では、人間の認知の仕組みを理解し、それをコンピューターで再現したいとの想いから、認知科学と情報学が学べる学部を探して入りました。

 大学1回生のときは、認知科学の研究室で人間の想像力を分析する研究に参加しました。とても面白い研究だったのですが、この研究を通じて、人間の認知の仕組みはまだまだ解明されていないことが多いと感じました。たまたま、この研究である統計手法を使いましたが、統計学がとても難しく感じ、ちゃんと理解したいと思いました。

 その後、大学3回生で統計学の研究室に入り、毎日研究室のメンバーと数理統計学の勉強会をして過ごしました。なぜ?という疑問に必ず答えがある数学の世界に興味を持ち、数学をより実社会に役立てようとする統計学に魅力を感じました。

 大学院ではニュース記事を、テキストマイニング(文字列から情報を抽出)を用いて解析し、株価予測をする行動ファイナンスの研究をしていました。経済を勉強していると、人口動態から予測できる社会保障費の増加は最も予測しやすい未来であり、避けては通れない未来だと思いました。

 しかし、この課題はデータサイエンスを活用すれば、解決出来る問題ではないかとも思いました。将来、データサイエンス系の仕事がしたいと思い、就職活動を始めました。夏休みに大手シンクタンクのインターンで東京に行きましたが、毎日満員電車に揺られ、家賃も高く、あまり東京での生活に魅力を感じませんでした。

関西にデータサイエンティストの就職先を作りたかった

 その後、関西でデータサイエンティストの仕事を探しましたが、まだビッグデータという言葉もない時代で、そのような新しいことに取り組んでいる会社はほぼ無い状況でした。そこで、関西に無いなら作るか!と思い、データサイエンスの会社を立ち上げたのが、最初の起業です。

 私が起業した2011年は東日本大震災が起きて、就職活動も一旦ストップし、日本全体が暗い雰囲気でした。会社訪問したときも電気が消えており、物理的にも暗い環境でした。日本経済が低迷しているどん底からの起業でした。

 その後、ビッグデータ解析ブームが来て、営業しやすくなりましたが、自分ひとりで会社をやっていると、会社が小さいままで大きくなりにくいと感じました。また、どちらかといえば、社長業をしたいというより、エンジニアとして研究・開発したいという思いもあり、起業パートナーを探し始めました。

ディープラーニングで起業

グーグルのオフィシャルブログの記事より

 2012年からディープラーニングが出てきて、有名なグーグルの猫の写真を見ました。「コンピューターは猫がどういうものであるか人間に教えられることなく、自力で理解した」という、この写真を見たとき、これだと思いました! ディープラーニングを使えば、高校生のときに思い描いたコンピューターが想像力を持てるのではないかと思いました。

 その後、会社経営する傍ら、ディープラーニングの研究がしたいと思い、情報学研究科の博士後期課程に進学しました。当時、国内にはディープラーニングの研究をしている研究者はほとんどいない状況でした。また、アカデミック界隈ではまだディープラーニングに否定的な意見も多く、教えてくれる先生もいなかったので、学生同士でコミュニティーを作り、教え合う日々でした。逆に当時、国内でディープラーニングの研究をしている人材がほとんどいなかったので、元DeNA会長の春田真さん(現エクサウィザーズ会長)の目に止まったのかもしれません。

 そのような経緯で、ディープラーニングを使った大きな会社を京都で作りたいと思い2016年、新たな会社エクサインテリジェンス(現:エクサウィザーズ)を春田さんと立ち上げました。今は東京と静岡と京都に主にオフィスがあります。

 現在、エクサウィザーズには、リクルートでAI研究所を立ち上げた石山洸さんが代表を務めております。また大阪大学の佐久間洋司さんと人工知能研究会を立ち上げた浅谷学嗣さん(現執行役員)や優秀なメンバーが多く在籍しており、今では社員数も80名を超えてきました。人工知能を使って日本の社会課題を解決したい仲間を募集しています!