日本経済新聞 関連サイト

OK
information-お知らせ

【PR】大学改革、社会と連携する「高大社接続」がカギ
リクルート進学総研・小林浩所長に聞く

【PR】大学改革、社会と連携する「高大社接続」がカギリクルート進学総研・小林浩所長に聞く

 日本の大学が変革に向けて動き始めました。少子化対策はもちろんですが、グローバル化や人工知能(AI)台頭といった技術進展で環境が急激に変化するなか、学生、企業、地域からの大学に対する期待が高まっていることが背景です。大学が取り組むべき課題は何か。こうした問題意識からリクルートマーケティングパートナーズは、9月21日に発行する「大学の約束2018-2019」で各大学の教育や研究の取り組みを紹介します。発行に先立ち、リクルート進学総研の小林浩所長に今後の大学のあるべき姿を聞きました。

――大学改革が必要な背景には何がありますか。

小林浩(こばやし・ひろし) 1988年(株)リクルート入社。早大法卒。グループ統括担当や「ケイコとマナブ」商品企画マネジャー、大学ソリューション営業、社団法人経済同友会出向(教育問題担当)、会長秘書、大学ソリューション推進室長などを経て、2007年4月よりリクルート進学総研所長兼「リクルートカレッジマネジメント」編集長

 2つの社会的な背景があります。一つは日本の人口減少。もう一つは世界的な社会の形の変化です。人口減少は、大学経営の観点から見ると、大学の4割ほどが消滅するほどのインパクトがあります。一般的な大学入学年齢である18歳人口は急激な減少が始まっています。18歳人口は現在約120万人ですが、2030年には104万人、2040年には88万人になると予測されています。現在との比較で32万人減少ですが、大学進学率を5割とすれば16万人の新入生がいなくなる。これは、定員500人規模の大学320校分で、現在の大学数約780校の4割という規模になります。実際にその数の大学がなくなるというわけではありませんが、大学全体でその人口構造に合った規模に適正化していく必要があります。

予測困難な時代に対応できる人材育成

――世界的な社会の形の変化とはどのようなことでしょうか。

 グローバル化のさらなる進展と第4次産業革命とも呼ばれるICT(情報通信技術)によるビジネスや生活の変化です。グローバル化に関しては、世界的な人口の動きも理解しておく必要があります。日本では人口減少が進んでいますが、ASEAN(東南アジア諸国連合)では人口増加が2025年頃までは続くと見られています。また、2050年に向けてはアフリカに人口増加の軸が移ると考えられています。日本が海外へ人材を送り出そうとした場合、それらの地域の若者と競合するということになります。ダイバーシティに対する本格的な取り組みとともに、国際的に通用する人材の育成が必要になります。

 第4次産業革命では、今の仕事の半分ぐらいはAIやロボットに代替されると言われています。人間がする仕事の質と内容が全く変わっていくわけです。具体的には企画開発や対外交渉などを始め、答えが一つに定まらない事柄を取り扱う非定型業務ということになります。しかも、そのような社会は今まで全くなかったわけですから、実際の仕事がどうなるのかはそのときになってみないとわからないのです。

 従来の日本は、成功モデルについて行く、先行している欧米をキャッチアップするということをやっていました。その時代には大教室で座学でという形が有効でした。しかし、これからは、何が起こるのか予測できない社会で通用する人材を育成する必要があり、今までとは全く異なる教育が求められています。

――企業はどんな人材を求めているでしょうか。

 かつて多くの企業には、仕事の教育は入社後にするから大学は余計なことをしてくれるなという傾向がありました。しかし、今は企業も人材教育をどうすべきか悩んでいるようです。しかも、社員教育に時間をかける余裕もなくなってきています。入社後に教育するよりも、戦力になる人材として入社してもらったほうが、効率的であるし、これからの時代に合っているという認識が広がっています。求める能力を人事担当者に尋ねた結果では、文理共通して、論理的思考力、課題解決能力、チームを組んで課題に取り組む力でした。

 一方、「指示待ち社員」ということが問題になっています。自ら積極的に考え、行動する、変化に対応できる社員が必要なのに、そういう人を集めるのが難しくなっています。これは私たちが実施した高校生を対象にした調査にも現われています。経済産業省がまとめた社会人基礎力の12の能力要素のうち「今持っているもの」と「身につける必要があるもの」を、生徒、親、教師の3者に尋ねました。その結果、「今持っているもの」として生徒が挙げたのは「傾聴力」、親と教師が挙げたのは「規律性」で、「身につける必要があるもの」は3者とも「主体性」を挙げました。つまり、「言うことは聞く。空気は読める。しかし指示待ちである」ということでした。このような生徒を、高校と大学でいかに主体性のある人材に変えていくかが問われています。

高校、大学、社会が連携

――そうした社会の要求をすべて大学だけで解決するのは難しそうです。

 そこで、新しい時代に対応する教育を高校からスタートさせるための取り組みが始まっているのです。社会で自立的に活動していく基礎となる力をまず高校で養い、その力を大学で向上・発展させます。一方、この前後2つを接続するために、多面的・総合的に学力を評価する大学入学者選抜を行います。この、高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の3つの一体的な改革を、文部科学省は「高大接続改革」と呼んで進めています。しかし、私はさらに進めて「高大社接続改革」としていくのがいいと考えています。企業は高校・大学に対し実社会とのつながりを理解する教育をしてほしいとアピールするとともに、また高校・大学で行われていることにも関心をもって情報を出していくべきでしょう。それが「高大社接続改革」につながります。

――受験生が大学をどう選ぶかも変わっていきますか。

 今、年間8万人の大学生が中退しているという実態があります。これは、学生の考えていることと大学でやっていることが合っていないことを示していると言えます。問題の原因の一つは志望する大学の選び方にもあります。従来は、偏差値を基準に受験する大学を選ぶことが普通でした。しかし、それは模試の結果を見ながら合格しそうなところを選んでいたに過ぎません。そうではなく、受験生は何を学びたいかを考えて選ぶ必要がありますし、大学もそれに対して何ができるかをアピールする必要があります。それには、大学の個性をきちんと発信していくことが大切です。

「卒業時にどんな人材になっているか」

――大学の個性とはどのようなものですか。

 大学の個性はまず「建学の精神」に表れます。これを「ミッションの再定義」として捉えてみるのがよいでしょう。そのうえで、「専門教育」「研究」「国際」「地域」「女子」などといった個性につながるキーワードを挙げていきます。学問のジャンルだけでなくいろいろな軸があると思います。

 かつての偏差値で大学を選ぶ時代は入学がゴールでした。しかし、これからは「卒業時にどんな人材になっているか」が個性のポイントになります。「形容詞のついたプロフェッショナル」を養成できる大学ともいえます。たとえば、同じ看護師でも「英語のできる看護師」「ホスピタリティのある看護師」といったことです。

 都市部に立地する総合大学は、グローバルな競争を意識していくことになるでしょう。アジア諸国で人気のある外国の大学としては、今は欧米の大学が強い。アジア各地の大学も台頭してきていることから、日本の総合大学がアピールしていくためには、やはり個性を打ち出していく必要があります。

――大学はそうした個性をどうピールしていけばよいでしょうか。

 わかりやすい数字で打ち出すのがよいと思います。「国際性」を打ち出すなら「学生の5割が留学生」というように、わかりやすい数字でアピールするのです。これまでは「教育に数字はなじまない」と言われてきましたが、今後は数字を根拠にPDCA(計画→実行→評価→改善)を回すことが必要です。意思決定のスピードを高め、計画の進捗や効果をきちんと検証するのです。こういう体制が整備され、数字も示されていると、学生も大学を選びやすくなりますし、企業も学生を選びやすくなるはずです。



スタディサプリ 大学の約束 2018ー2019

全国国公立・私立50校の今と未来を徹底取材。
グローバルや研究や独自の教育の魅力について紹介します。
総力特集は「大人たちが見る大学ブランドランキング2018」
出版 : リクルート
価格 : 紙 500円 / デジタル 120円 (税込み)

この書籍を購入する(ヘルプ):Amazon.co.jpFujisan.co.jpMAGASTORE