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ホンネの就活ツッコミ論(72)旅行のついでに知りたい地方企業

ホンネの就活ツッコミ論(72) 旅行のついでに知りたい地方企業
authored by 石渡嶺司大学ジャーナリスト

 今回のテーマは「地方企業」です。夏休みということもあり、旅行をする学生も多いはず。そこで旅行のついでに食べたり、見たりしながら地方企業を知ってみるのはいかがでしょうか。東京や大阪など都市部だけではわからない、意外な企業の健闘が今後の就活の参考になるかもしれません。

メニューが豊富な資さんうどん

 小倉駅から商店街を歩いていくと、「資さんうどん」というチェーン店があります。事情を知らなければ「しさん」と読んでしまうこの店は「すけさん」と読みます。株式会社資さんが運営し北九州市が創業地。北九州市を中心に福岡県、山口県など42店舗を展開しています。

 特徴はメニューの豊富さとその大半を店内で調理する点にあります。うどんがメインですがそば、カレー、かつ丼などもあります。さらに、店内におでんがあり、セルフサービスで取ることができます。店内を広くとっているため、食事メインの客からアルコールを飲んでゆっくりする客まで、混在しているのも特徴でしょうか。

 福岡県は「天婦羅処ひらお」(県内に6店舗)もお薦め。こちらは、美味しい天婦羅定食に、塩辛が食べ放題となっています。

イオンを脅かす ゆめマート・ゆめタウンのイズミ

 西日本からは食品スーパー(ゆめマート)、総合スーパー(ゆめタウン)を展開するイズミも注目企業です。食品スーパーやショッピングモールと言えば全国区となっているのがイオン。どの地方でもイオンモールに行けば満足できる、と言われるほどに充実しています。

 このイオンと互角ないし、地域によっては勝っているのがゆめタウン・ゆめマートを展開するイズミです。広島県・福岡県など西日本を中心に200店舗展開しています。元は繊維卸だったのですが、食品スーパーに業態を変換。強みは生鮮食品の品ぞろえです。

 2018年4月20日の日本経済新聞記事「イズミ、1兆円企業への条件(下)若者開拓 セブンとタッグ」には、こう書かれています。

「生鮮食品の品ぞろえは、大手であることが必ずしも優位とは言えない」。ヒントになるのは、山西泰明社長のこの持論だ。消費者が求めるのは、地元でとれる新鮮な肉、魚、野菜、果物の豊富な品ぞろえ。高松市の店舗では香川県のブランド魚「讃岐さーもん」が売られ、福岡県筑紫野市の店舗では地元のJAと組んで新鮮な地元野菜が所狭しと並ぶ。「かゆいところに手が届くような、店舗ごとに異なる消費者の味の好みに応えることが地元密着を掲げる当社の生命線」(ゆめタウン高松の小島隆一支配人)。地域に根ざした生鮮食品の調達に自信をみせる。

 セブン&アイ・ホールディングスと提携し、似鳥昭雄・ニトリ会長を社外取締役に迎えるなど、さらに拡大しようとしています。

「なんでやろ、8番」は北陸の定番

 東に転じると、北陸地方で有名なのが「8番ラーメン」(運営は株式会社ハチバン)。石川県、福井県、富山県の北陸3県を中心に144店舗(他に海外133店舗)を展開。同社のCMは必ず「なんでやろ、8番」が付いており、北陸地方で「なんでやろ」と振るとほぼ全員が「8番」と返すほど定着しています。

 野菜たっぷりのラーメンが特徴で、餃子やチャーハンなどサイドメニューも人気。ラーメンには、ナルトではなくかまぼこ(通称・8番かまぼこ/ハチカマ)が入っているのも特徴でしょうか。JR金沢駅構内など駅周辺にも展開しているので旅行をしている学生はさっと寄れるはず。金沢発祥と言えばゴーゴーカレーも有名。こちらは北陸だけでなく東京・福岡など他地域にも展開中です。

地方だからこその強み

 2018年8月12日の日経MJでは1面に、8番ラーメンや天婦羅処ひらおなど16社・チェーンを紹介した記事「『食』の豪族 難攻不落」を掲載しました。記事では、北海道・十勝地方のインデアンカレー、北関東のフライングガーデン、南九州の「ぎょうざの丸岡」の3チェーンを紹介。

日経MJ2018年8月12日付、1面から転載

 他に紹介しているチェーンは、ラッキーピエロ(函館)、とん八(山形)、シャンゴ(群馬)、回転寿司やまと(千葉)、ばんどう太郎(北関東)、さわやか(静岡)、おにぎりの桃太郎(三重)、551蓬莱(関西)、つるや(岡山)、こだわり麺や(香川)、大分からあげ(大分)、ステーキハウス88(沖縄)。

 こうした地方チェーンは採用・価格で優位としています。新卒採用についても、「地域に密着した企業は地元からの認知度も高く、新卒採用でも親からの反対が少ない。優秀な人材の確保につながるケースも多いとみられる」と分析しています。

全国区・海外展開は?

 こうした地方チェーンはあえて地方にとどまる選択をする企業が多くあります。採用・価格の優位性が崩れ、食材調達などでも苦戦しやすいから、という点が大きいでしょう。

 一方、記事中にご紹介したゴーゴーカレーは北陸から飛び出し全国区化しようとしているところです。熊本県を中心に展開している味千ラーメン(重光産業)は国内では79店舗ですが、海外は中国を中心に739店舗。中国でもっとも展開しているラーメンチェーンと言われています。

 他業界に目を転じれば、ユニクロ(山口県)、ニトリ(北海道)は地方企業から全国区となった好例でしょう。もちろん、全国区をしたからすごい、地方にとどまるから悪い、というわけではありません。各企業とも様々な戦略、思惑があってのことです。

 記事中でご紹介した資さんうどんは後継者がいないため(創業者は死亡)、投資ファンドが全株を取得。広域展開を検討中であることが2018年4月に明らかになりました。

 では、もし学生の皆さんが経営者の立場ならどうするのか。なんてことを考えていくと、旅行中もちょっとした頭の体操になるかもしれません。まあ難しく考えるのが面倒なら、おいしく食べるだけでも十分なのですが。