世界へ届け 「食べるだけ」の社会貢献って?
食べる幸せ 広げたい!(2)
こんにちは!お茶の水女子大学のサークル、Ochasです。今日も「食べる幸せ」を広げるための活動に取り組んでいます♪ 連載第2回目では、Ochasが行っている、食べることを通してできる社会貢献活動についてお伝えします。
世界と繋がる食卓 "TABLE FOR TWO"
「ここに『20円』があります。さて、あなたはどんなものを連想しますか?」
そう言われたら、何が頭に浮かぶでしょうか。駄菓子屋やコンビニで買う小さなお菓子? 物を買った時のお釣り? レジ横の募金? 神社でのお賽銭? はたまた、スクラッチ用の硬貨? たったの20円、言ってしまえば「小銭」です。道端に落ちていても遺失物として警察に届ける人はいないでしょうし、これだけでは何もできず、文字通りとても小さな力しかないお金だと思ってしまいます。しかし、20円をこんな風に使うこともできると聞いたらどうでしょうか。
「20円を、1食分の給食に」
先進国での20円が、開発途上国で給食に変わる...。そう、これこそが私たちOchasの「インターチーム」が行っている活動の一環、TFTプログラムなのです。
現在、世界では約10億人が飢餓・栄養失調に苦しむ一方、20億人近くが食べ過ぎで肥満状態・生活習慣病になっています。そんな不均衡を解消するために始まったのがTFT―― "TABLE FOR TWO"という、日本発の社会貢献運動です。直訳すると「二人の食卓」で、先進国と開発途上国の子供たちが時間と空間を越えて食事を分かち合うというコンセプトを表しています。
活動の仕組みは、対象となるヘルシーなメニューや食品を購入すると、その1食につき20円の寄付金がTFTを通じて開発途上国での給食1食になるというものです。この20円には活動運営費・食材費・調理時の燃料や道具の修理費用などが含まれ、給食の提供は現地スタッフによって行われます。特に大学生が関わっているのは「TFT-UA(University Association)」と言われ、私たちOchasのインターナショナルチームもそこに参加しています。
ヘルシーメニューを考案し学食で販売
チームとしての活動は、主にヘルシーメニューの作成と学食での販売です。食に特化したOchasが持っているメニュー作成のノウハウを生かし、チーム一丸となって工夫を凝らしたメニューを作成、そして学食で提供しています。今回は、この夏に販売したメニュー「梅と野菜のさっぱりつけ麺」を例に、作成から販売までをご紹介します。
メニュー作成は、チームメンバーから案を募るところから始まります。(1)TFTの「ヘルシーメニューガイドライン」が参考にされているか (2)食べたいと思わせるポイント (3)季節感 (4)材料や学食で出すときの調理工程が煩雑でないこと――に気を配り、各々が工夫を凝らしてメニューを作成します。
特に重要である「ヘルシー」をもとにした女子大生らしい「健康・美容・栄養」を大きなテーマとし、便秘解消に有効な食物繊維が豊富なもの、野菜をいっぱい使った色鮮やかなもの、カルシウムを補うために乳製品を使ったもの、栄養バランスが取れるような食材の組み合わせ...など、コンセプトに合わせて作成していきます。
そのため、案は個性豊かで美味しそうなものがたくさん! メニュー候補をチームミーティングで決め、実際に食堂で試食会および調理してくださる生協さんとの話し合いを行い、更にメニューの細かいところを改善して最終決定します。その様子は企業の開発部門さながら!? 少しでも皆さんに食べて頂けるように、味・見た目・値段など様々な点を意識して学内PRまで行います。
今回採用された「梅と野菜のさっぱりつけ麺」は、(1)麺の上には野菜がたっぷりというヘルシーさ (2)つけ汁に梅干しが入っているという楽しさと味のアクセント (3)酸味のあるさっぱりした味で、初夏に食べたくなる季節感――をポイントにしたメニューで、実際に学食で販売されて300食以上の給食に貢献することができました!
この食事が食べた人の健康だけではなく、世界のどこかで給食に変わっているなんて、素敵な活動だと思いませんか? 今日もどこかで給食を必要としている人たちがいるこの世界で、学食のテーブルから誰かの食卓に繋がって、お互いに健康的な食事ができる...。それは世界規模で見たら小さなことかもしれません。それでも、誰かひとり、たった1食でも給食を通して豊かな生活を送ってほしいという願いをこめて、今後も学食ではTFTメニューを提供していく予定です。
お弁当に笑顔を詰めて
もうひとつ、Ochasでは「ガールズランチ」というプロジェクトで食を通した社会貢献活動を行っています。ここでは、都内の女子高である三輪田学園の調理クラブの生徒とOchasのメンバーが協力し、"女子目線のお弁当"を開発しています。そのお弁当は学園祭やお茶の水女子大学の生徒に販売され、売り上げのうち20円がWFPに寄付されます。
WFPとは「世界食糧計画」の略で、飢餓のない社会を目指して活動している国連の機関です。その活動の3分の2は紛争の影響を受けている国で、緊急支援・復興支援、また栄養支援、特に母親と子どもに重きをおいた支援などを行ったり、給食の提供をしたりしています。
ガールズランチでは、楽しいお弁当をお届けすること、そしてWFPに寄付をすることで、お弁当を食べた人も世界のどこかにいる人も笑顔になれるように活動しています。おいしくて、可愛くて、社会貢献もできて、二度三度も嬉しいガールズランチの数々をご紹介します。
ガールズランチで作るのは、バランスや彩りを考えつつ、好きなもの・食べたいものを詰め込んだ楽しく華やかなお弁当。まずコンセプトを決め、それに合わせた食材や味付け、調理法なども考えつつメニューを決めていきます。試作会に並ぶ色とりどりのおかずは、どれも美味しそうですよね!
その後、調理や提供が滞りなく行われること及びチームの理想に近いお弁当になるように、業者さんとのやり取りを重ねて試作会・反省・フィードバックをします。
そうしてできたお弁当の一部がこちら!
写真左の「暑さに負けないカラフル弁当」は、夏でも食べやすいさっぱりしたマリネとオレンジ、更に彩り豊かな野菜を使って、味と見た目の両方で食が進むようにポップなお弁当になっています。同右は前年の文化祭でも販売した「MASIC?弁当」です。個々のメニューの頭文字をとってMASICとし、おいしさのタネと仕掛けがいっぱい詰まったお弁当になっています。今年も文化祭ではお弁当を販売する予定です。
「社会貢献」と聞いてしまうと難しく考えてしまうかもしれません。しかし、私たちがしている活動は食べるだけで誰かの生活をちょっと豊かにする可能性を秘めています。一人でも多くの方にOchas発のメニューをおいしく食べていただき、またその数に比例して誰かの笑顔に貢献できるように、私たちの活動は続いていきます。
お読みいただきありがとうございました。次回のテーマはOchas×食育です。「食べる幸せ」を広げるために、私たちは何を伝えていけばいいのでしょう。食の豊かさ、食べる幸せって?... そんな答えを探しながらOchasがどんなふうに食育に関わっているのか、ご紹介します。
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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